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元日本代表コーチが教える! サッカーと勉強の相乗効果を引き出す方法

サッカーで成績アップ?サッカーと勉強がどんどん楽しくなる発想法

2014年3月 7日

キーワード:判断力勉強

 元日本代表コーチ、小倉勉さん(ヴァンフォーレ甲府ヘッドコーチ)が伝授する、サッカーで脳を鍛える方法、2回目の今日はより具体的に、勉強とサッカーの関係性、脳の鍛え方についてお聞きします。
 
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試合前の握手
 

■頭を鍛えたらサッカーはもっとうまくなる、もっと楽しくなる

「速く走りたい」そう思ったらみなさんはどんなことをしますか?
 ダッシュやランニング、足の筋肉を鍛えるトレーニングがまず思いつきますよね。「強いシュートを蹴りたい」と思ったらどうでしょう?
 シュート練習やボールの蹴り方を工夫したりするかもしれません。
こうしたすぐに思いつくトレーニング以外にも、日本代表などでは、体幹を鍛えるトレーニングをしたり、俊敏な動きを身につけるためのラダートレーニングなど、一見すると直接その動きに関係なさそうなトレーニングを取り入れています。
 それと同じように、サッカーが上手くなりたければ、直接関係しそうな身体の部位だけでなく、サッカーに必要な「脳」を鍛えなければいけません。
 
小倉さんは、身体的なアプローチの他に、脳や思考力を鍛えることが、サッカーのプレーにも大きく影響を与えると言います。
 
 

■「観る」と「見る」の違い サッカーは「観る」ことも大切

 脳の鍛え方はいろいろありますが、素晴らしいプレーを「観て」覚えることも必要です。「観る」という漢字を使いましたが、実は「観る」と「見る」には大きな違いがあります。
「見る」というのは文字通り目にするという意味ですが、「観る」の方は観察する、じっくり観るという意味が含まれます。
 サッカーがうまくなりたければ、一流選手のプレーを生で観たり、テレビやビデオで記憶に焼きつくくらい何度も何度も観ることが大切です。
 テレビで海外のビックグラブのサッカーを観るときに何となくぼんやり「見る」のではなく、しっかりと考えながら「観る」ことで脳が刺激され、自分でも知らないうちにプレーに良い影響を与えてくれるのです。素晴らしいプレーをマネすることも上達する近道です。
「真似(まね)る」と「学(まな)ぶ」は大昔は同じルーツ、語源を持つ言葉だったと言われています。サッカーがうまくなりたければ、身体や技術だけでなく観る力や真似る力、学ぶ力を総動員して、頭を鍛えましょう。
 
 見方を変えれば、頭の回転が早くなる数学や物理、観察力や創造力を高める美術や音楽、コミュニケーションや思考力を養う国語や英語もサッカーと無関係とは言い切れません。いままで何となく過ごしていた学校の授業の時間も、すべてサッカーに必要な「思考力」や「判断力」を鍛えることにつながるのです。
 
 

■頭が良いことと成績が良いことは違う?

「サッカー選手には頭の良さも必要」と言われると「いやいや、私が勉強が苦手で成績も悪かったからうちの子は……」と尻込みしてしまう人もいると思います。
 小倉さんは「頭の良さは成績のことだけを指しているわけではなく、頭の良さを勉強に発揮した結果、成績も良くなる」のだと言います。
 
試合中
 
「目の前にあるボールを蹴る」
 普段当たり前に行っているこんな動作も、脳から身体に出された命令が実行された結果です。瞬間的な判断で身体を動かすことができる「反射神経」を持った人は、「計算が早い」のと同じ様に、「頭が良い」と言えるのです。
 運動が得意でそれに多くの時間を割いている子どもたちは、勉強が苦手で「頭が悪い」と他の人から思われていたり、自分でそう思い込んでいる人もいるかもしれません。
 声を大にして言いますが、それは大きな勘違いです。
「勉強が得意な人」「勉強が好きな人」は、みなさんが「サッカーが得意」「サッカーが好き」なのと同じで、好きだからその部分を他の人より多く鍛えたのです。
「成績が良い」ことと、「頭が良い」ことは別のことです。成績が良いのはサッカーと同じで努力や繰り返しの成果で、「生まれつき成績が良い」わけではありません。
 脳は使えば使うほど働きが良くなる器官です。勉強でもスポーツでも同じことが言えるのですが、トレーニングを繰り返せばどんどん頭は良くなっていきます。
「勉強しかできない人」と「スポーツしかできない人」がいる場合、勉強ができる人は「頭が良い」と褒められるのに、スポーツに頭を使っている人は「頭が悪い」と言われてしまうのはなんだか不公平ですよね。でも、世の中には勉強もできてスポーツもできる人はたくさんいます。それにみんなが目指す、一流のスポーツ選手、アスリートはやはり優れた頭脳を持っていて、とても「頭が良い」のです。
 

■サッカーが好きなら、成績は良くなる

 ここでひとつ、良いお知らせがあります。もし、「サッカーが好き」で「面白い」「得意」と思っている子どもがいたとしたら、その子どもは「頭が良い」子どもです。
 サッカーの魅力は頭が良くない人には理解できません。サッカーが得意な人は、脳をフル稼働させて身体を自由自在に操っています。運動神経をとりまとめる脳を活用できているサッカー選手はとても「頭が良い」「頭の使い方がうまい」と言えわけです。
リフティングやドリブル、フリ-キックも算数や英語、国語の基本も実はみんなサッカーと一緒です。
 最初から思い通りにはならないけれど、我慢してやり続けるとできるようになる。サッカーが好きで練習をしたように、「練習」や「訓練」を繰り返せば成績が上がることは間違いありません。
 

 
 頭の良さと成績の良さ、それぞれは違うようでいて基本は同じ。だからサッカーで技術を身につけるように、算数の計算や漢字も「やればできる!」。
 やらないで諦めている子どもたちに、さらにやる気を失わせるようなこと言ってませんか? 小倉さんは「サッカーだけやっている人が成績が上がらないのは当たり前。同じ要領で勉強に取り組めば勉強もみるみる“うまくなる”」と言います。
 サッカーでも勉強でも、お父さん、お母さんの最大の仕事は「子どもたちへの動機付け」なのかもしれません。
 次回は元教師の小倉さんならではの授業活用方法についてお届けします。
 
 
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小倉 勉(おぐら つとむ)
1966 年生まれ大阪府出身。大学卒業後、同志社香里高等学校で講師として教鞭を執りながら、サッカーを指導。1990年に渡独、ブレーメン国際日本学園の教員、サッカー部監督を務める。92年、帰国し、ジェフユナイテッド市原 (現、市原・千葉)で育成部、サテライト、トップなど、あらゆるカテゴリの指導者を歴任。日本代表コーチとしてイビチャ・オシム監督、岡田武史監督の下でコーチを務め、2010年南アフリカW杯に出場。12年には関塚隆監督の下U-23日本代表コーチとしてロンドン五輪に出場。大宮アルディージャを経て、現在はヴァンフォーレ甲府ヘッドコーチ。
日本サッカー協会公認A 級、AFC 公認プロフェッショナルライセンス。
 
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構成/大塚一樹 写真/田川秀之(JA杯全農チビリンピック2013全国決勝大会より)

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