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考える力

優れた男は背中で語る!子どもにしてほしいことを、まずはあなたが実践するべき理由

2016年2月 5日

キーワード:子育て指導者

“選手としての成長を成し遂げるには人としての成長がなければいけない”という信念を持って選手指導をおこなう早稲田大学ア式蹴球部の古賀聡監督。前回は、どういった経緯でその観点に辿り着き、そのためにどのどうなアプローチをしてきたのかを語ってもらいました。今回は、早稲田大学ア式蹴球部を現在のようなサッカー選手としても人としても高いレベルを目指す集団に育て上げるまでの話をメインに、古賀監督自身が長い指導経験から得た"サッカー少年・少女の親がとるべき姿"についても触れてもらいました。(取材・文 竹中玲央奈 写真提供:早稲田大学ア式蹴球部)
 

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<<「技術だけをいくら教えても、いい選手は育たなかった」早稲田大学ア式蹴球部監督が大切にする、たったひとつのこと
 

■古賀監督がグラウンドに落ちているゴミを率先して拾う理由

「まずはモラルに対する意識を修正していかないと、と思いました」
 
これは、古賀さんが早稲田大学ア式蹴球部の監督として就任して最初に取り組むべきだと感じた課題だそうです。1人のサッカー選手という枠を超え、1人の人間として模範となる人材を多く輩出する現在の部の姿からは想像できません。古賀さんはつづけます。
 
「次元が低い話ですけど、わたしが監督として就任したときは、ゴミがグラウンドのそこらじゅうに落ちている状況でした。自分たちだけが使っているわけではなく、小学生や中学生のスクールで使われたりもする。いろいろな人が使う場であるのに、ゴミが落ちていることに気づいてもだれも拾おうとしない。練習や試合観戦への遅刻は常態化していました。レギュラー選手が練習前の夜遅くまで飲み歩くことが許されてしまっていました。“サッカーが全てだ”という空気感があって、ピッチ外の取り組みや人としての取り組みが、ものすごくおろそかにされていたんです」
 
この状況を変えなければいけない、変わらなければ選手たちが成長できる場所にならない。そう感じた古賀監督は、ある行動に出ます。
 
「まずは自分が練習前に来てゴミを拾うことから始めました」
 
ゴミを拾うことを選手たちに強いるのではなく、自らの背中で”やるべきこと“を伝えたのです。ただ、厳密に言うと、指導のため”だけ”にゴミ拾いを率先してやっていた訳ではなく、「自分自身がその状況を許せなかったから」というのが一番の理由だと語りました。ここに、古賀監督自身の人間性を見てとることができます。
 
古賀さんは1年間、ゴミを拾い続けました。なかなかゴミは減らず、自ら拾い出す人間も出てこなかったそうです。ところが、2年目以降は徐々に変化が見られるようになってきました。そこには、古賀監督が部員たちに”使命”として掲げたあるコンセプトが強く影響しています。
 

■チームの大きな幹となる”WASEDA THE 1ST”の精神

それが、”WASEDA THE 1ST”というスローガンです。これは、「プレーヤーとして、チームとして、なにより人としてつねに1番であれ」という意味を持つもの。
 
「今年で創部92年目になるのですが、歴代の先輩たちが創部当初から掲げつづけてきた言葉でした。それをもう一度、強く掲げ直しました」
 
“サッカーが上手ければそれでいい”という空気感が漂っていた組織内において、“人間性”を強く求める指針を、古賀さんは打ち出したのです。
 
「人として一番であれということを継続して掲げることで、上級生を中心に理解してくれる選手がが徐々に出てくるようになりました。私が入って2年目の2011年シーズンから、その方向性に強く共感を示す部員が現れ始めて、自らゴミを拾う姿を見かけるようになりました。そうなると下の代もついてきて、次の年にはだれもが当たり前にゴミを拾うようになる。普段からお世話になっている東伏見の街のゴミなんかも通りすがりに拾っていくようになるんです。最近では雪が降ったときに、地域の方たちのためにと朝早くから外に出て雪かきをしている部員もいました。ここまで変化したんです。それがチーム全員に完全に根付いているかと言われれば、まだまだそうではないのですが、上級生が率先してそういうことをするようになって、その姿を見ることで下級生も変わっていったんです」
 
上に立つ人間が自ら模範となり、下につく人間がその影響を受けて変わっていく。これはまさに、子育てにおいての大きなヒントでもあります。組織としての変化の影には、古賀さんが方針を明確な“言葉”として打ち出しただけでなく、そこにある問題と改善すべき点を自らの”行動”で示した背景があります。これがチームにポジティブな変化を与えたことは間違いありません。
 
また、WASEDA THE 1STというコンセプトの中には“人として一番を目指す”だけでなく、“社会に利益をもたらす”ことも含まれています。これに関しては、チームが成長する過程で追加されたものだと古賀さんは語ります。
 
「お話したように、わたしが就任した2010年当時は“社会に利益をもたらす”ことの大切さが、選手たちに響く状況ではありませんでした。ですから、自分の利益よりも組織の利益を追求することを第一としたんですよ。それがいまでは、当たり前に根付いてきました。そこで初めて“組織の利益よりも社会の利益を優先して活動すること”の大切さが選手たちに響くようになりました。
 
それは、社会人になればあたりまえじゃないですか。自分の成長や利益よりも、お客さんの利益や、お客さんのことを考えて行動することが社会人として認められることにつながるわけです。企業としても、最終的には社会貢献、自分たちの利益をあげることではなくて、社会にどう貢献していくかを考えて活動していく訳ですよね。なので、大学でこういうことを理解を深めて社会に出ていくことが望ましいと思います」
 
サッカー界に限らず、一般社会で活躍するOB・OGが多く存在する背景には、組織が持つこのような方針と目標があるからに他ならないでしょう。
 
次ページ:親が自らの背中で見せることが、子どもの成長を支える

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取材・文 竹中玲央奈 写真提供:早稲田大学ア式蹴球部

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