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考える力

選手として成長するには人間として成長しなければいけない理由

公開:2015年11月 5日 更新:2021年1月27日

キーワード:指導自立

政財界の重鎮や文豪たちが愛する別荘地として知られる神奈川・大磯。そんな自然豊かな環境のなか、地域密着型スポーツクラブとして注目を集めているのが、星槎湘南大磯総合型スポーツクラブです。サッカーを教育の場として、クラブのキャッチフレーズである「大磯湘南から世界を目指せ!」を念頭に、まさに世界に通じる“自立した選手”を育てることを目指しています。そのクラブ長を務める大森酉三郎さんの指導テーマは、「地域密着クラブを通して、根の強い子どもを育てる」というもの。
 
子どもを自立させるために必要なものとは? 大森さんの力強いメッセージをご紹介します。(取材・文・写真 小須田泰二)
 
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■進んで物事に取り組む力を養うことで、サッカー選手として成長できる

「子どもの自立は、ライフスキルの向上によって促されます。選手として成長するには、人として成長しなければいけないとよく言われていますが、フットボールスキルを向上させるためには、ライフスキルを向上させなければいけないというのが、私たちの考えでもあるのです」
 
ライフスキルが向上するということは物事への積極性が養われるということ。その結果、ピッチ内で自分が置かれた状況を把握し打開する能力が養われ、サッカー選手としても成長できる。その考えにいたった背景には、大森さんの異色とも言える経験がある。
 
「ぼくがそのことに気づいたのは社会人になってからです。中央大学を卒業した後、海上自衛隊のチームである厚木マーカス(関東社会人リーグ1部)へ入りました。当時、Jリーガーになった仲間がいましたが、自分は2等兵(2等海士)でした。主な仕事は滑走路の間にある芝生の芝刈りや食器洗いなどの食事当番という、雑務に追われる日々を過ごしていました」
 
自衛隊に入隊してから規律正しい生活を送るようになった大森さんの中には“ある変化”が起きたそう。
 
「安定した生活を送るようになって、自分でも分かるくらい、サッカーが上達していったのです。大学時代、ぼく自身はまったくダメな選手でした。1年生の時から少しずつ試合に出させてもらえていたのに、図に乗ってすっかり遊び呆けてしまったのです。3年生で下級生にポジションを奪われ、4年生のころは1試合も出られませんでした。しかもあげく留年までして、大学には5年も通いました(苦笑)」
 
プロ選手になれる環境があったにもかかわらず、そのチャンスをフイにした。自業自得と認めながらも、サッカーへの想いを断ち切れず心機一転、入隊した自衛隊でこころとカラダを鍛え直した結果、サッカープレーヤーとして新たな道を切り開くことができたのです。言い換えれば、大森さん自身がライフスキルを身につけたことによって、一度はドロップアウトしたにもかかわらず、サッカー人生を変えることができたという。
 
「ぼく自身の人生を振り返ると、サッカーに集中してこなかった人間ですから、正直、ダメな選手でした。プロのサッカー選手になれなかったのも当然です。もっと早く気づいていたら……。もっと自分を変えることができていたら……。そんな後悔ばかりがあります。ですから、子どもたちにはもっといいサッカー人生を送ってもらいたいと強く思うようになったのです。小さいころからライフスキルを身につけることができたら、人間としてもっと成長できるのではないかと考えるようになって、2004年にサッカーコーチとしての道を進むことにしました」
 

■ボランティア活動が、子どもたちの積極性を高める

11年間の自衛隊生活に別れを告げた大森さんは、その後、神奈川大学サッカー部の監督に就任することになった。サッカーコーチへと転身した大森さんのサッカー人生から見えてきたものーー。それこそ、まさにライフスキルの重要性を再認識させられる日々だったという。
 
「自衛隊の厳しい経験のなかで得られたことは、コーチになってさらに活きています。学生たちには、サッカー以外のことを積極的に経験させたのですが、サッカー選手としての成長スピードが上がってくるのが実感できたのです」
 
大森さんが指導のなかでとくに力を入れたのは、ボランティア活動だったそうです。
 
サッカーの指導はオーソドックスなものだったと笑いながらも、学生たちにはライフスキルを身につけてもらうべく、地元商店街との連携や近隣中学・高校へのコーチ派遣、さらには三ツ沢競技場の草むしりなど、さまざまな社会活動を経験させたという。
 
フットボールと何かひとつ(football+one)。略して「F+1」という意味で名付けられたその活動によって、サッカー部員たちにあらゆる積極性をもたらすことになったそうです。
 
次ページ:最初は理解できなくても、子どもたちは徐々に理解してくれる
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取材・文・写真 小須田泰二

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