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考える力

身体のプロに訊く「体幹トレーニングって本当にいいの? 」

2014年7月10日

キーワード:運動

体幹トレーニングブームが花盛りです。多くの書籍も出ていますし、多くのプロ・アマ問わずスポーツ指導の現場でも広く取り入れられていると思います。少し検索しても、「体幹をしっかり鍛える」「芯を鍛えればブレない」「痩せやすく太りにくい体に」「姿勢改善にも効果的」……こういう称賛の言葉が多く聞かれます。
 
しかし一方で、そういった世論を疑問視する声も少なからずあります。日本代表の長友佑都選手が取り入れていることで、少年サッカーの現場にも広く普及した体幹トレーニングですが、
 
「だれもがよい効果を得られるものなの?」
「リスクはないのでしょうか?」 
 
そんな質問がサカイク編集部にも届いています。そこで今回は、身体のプロである理学療法士集団Oriental Physio Academyに体幹トレーニングの有効性についてうかがってきました。
 
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文/Oriental Physio Academy 写真:田川秀之
 

■子どもの身体の柔軟性を奪う? 体幹トレーニングのリスクとは

我々Oriental Physio Academyは、今流行している体幹トレーニングの有効性に疑問を抱いています。特に、一般的によく行われている「両肘をついてつま先を立てる」といった体幹トレーニングは腰や背骨を痛め、身体の柔軟性を損ない、腰痛の原因になる危険性があると考えています。
 
もちろん、一概に体幹トレーニングを否定するわけではありません。現に、Oriental Physio Academy代表の波田野は自転車競技を行なうアスリートですが、トレーニングメニューに体幹トレーニングを取り入れています。どういう意識で取り入れるか、それが非常に重要なのです。
 
例えば柔軟性の重要さ、身体が連動することの重要さ、インナーマッスルにしても大腰筋がどのような仕組みで伸び縮みするか、そういった知識が重要です。それなくして「体幹トレーニングってなんとなく良いと言われているから」という理由で導入することは、長い目で見て選手の身体を固くし、一言でいえば「もっさり」した選手を作ってしまう危険があります。
 
あらゆるスポーツにおいて重要なのは、特定部位の強さ以上に「身体全体が連動していること」です。例えば、強いキックを放ちたいのであれば、下部の胸椎(胸の真ん中あたり)から股関節に向けて伸びている『大腰筋』という筋肉を活かす必要があります。
 
さらに、大腰筋を考えるだけでは不十分です。キックをする際には、脚を振り出すだけでなく、股関節の外旋(外向きに回す)の動きも同時に起こります。そうなると、股関節の外旋をするために同じ側の腕も外に回って、反対の腕は内側に回って……というように、他の関節も様々な方向への運動が連動していきます。大腰筋だけを鍛えても、そういった全身の連動を指導できなければ良い動きにはなりません。最悪、トレーニングとしては鍛えているつもりでも、動作の中ではまったく働いていないということも起こります。
 
 

■香川真司の不調は、体幹を太くしてから起きている!?

また、全身の連動だけでなく筋肉ひとつひとつで考えても、筋肉を鍛えるだけでなく伸ばすことも考えなくてはいけません。筋肉というものは、『太いゴム』だと思っていただけるとわかりやすいです。ゴムは、どういう時に強さを発揮するでしょうか? そう、伸びるときですね。大腰筋というゴムは、体幹をアップライト(背筋を伸ばした状態)に保ち、さらにひねりを加えることで「勝手に」引き伸ばされます。この「勝手に」というのが重要なポイントです。
 
身体には、引っ張られると収縮しようとする作用があります。引き伸ばされたゴムが元に戻ろうと強い収縮力を働かせるイメージです。この動きに股関節が連動することで、強いキックを放つことができるわけです。
 
この動きが非常にうまい、いや、うまかったのが、ドルトムント時代までの香川真司選手です。非力に見られる香川選手ですが、セレッソ大阪に所属していた頃は30メートルのミドルシュートを決めるシーンもありましたし、ドルトムント時代にも速いシュートを何本も決めています。
 
しかし今の香川選手には、そうしたプレーができなくなっています。これは、あくまで試合映像を見たかぎりの印象ですが、マンチェスター・ユナイテッドに入団する頃の香川選手の体幹はかなり太くなっているように見えます。こちらの記事を合わせて考えると、その推測は妥当ではないかと思います。
 
香川専属調理師で屈強“プレミアボディー”に変身/スポニチ
イングランド特有の激しい当たりに負けないようにするため、トレーニングも改善。体幹を含めた上半身と下半身のパワーアップに着手。自身の武器であるスピードを維持するため、敏しょう性や持久力を強化する有酸素系トレーニングも並行して行った結果、別人のような肉体に変貌。ドイツ時代を知る関係者は「最近は見るからに体が大きくなった」と驚いたように、体重は公称の63キロから増加している。
(スポニチより引用)
 
 彼の身体の変化を考えると、非常にうなずける記事内容です。「体幹を含めた上半身と下半身」のパワーアップを目的としたトレーニングを積み、香川選手は強い体幹を手に入れたのではないかと思います。
 
一方で、香川選手は明らかに腰の柔軟性をなくしてしまっています。腰が固まったことにより全体の連動性が失われ、大腰筋をうまく使えなくなり、それでも速いシュートを打とうと身体の前側の筋肉を使って踏ん張るため、力んでボテボテのシュートになる……そういうシーンが散見されます。W杯コロンビア戦前半26分にも、そういうプレーがありました。
 
 
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文/Oriental Physio Academy 写真:田川秀之

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