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考える力

日本人に足りないモノは? 世界的指導者集団のコロンビア戦分析

2014年6月26日

コロンビアに1対4と大差をつけられ、ブラジルの地を去ることになった日本代表。コロンビア戦の敗因とともに、グループリーグ3戦を通じて浮かび上がった日本の課題を、スペイン・バルセロナを拠点に活動する世界的指導者集団、サッカーサービス社のポール氏が分析した。
 
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(写真・文/鈴木智之 写真/松岡健三郎)
 

■今野選手のスライディングタックルの必要性はゼロ

 
日本代表は1、2戦目に比べて、勇気を持って攻撃的なサッカーを展開しました。しかし、スコアは1対4。ゴールを決めて勝ちに行くため、ある程度守備にリスクを冒す必要はありましたが、これだけ失点してしまうと、勝利は遠く離れていってしまいます。日本は大会を通じて、守備時の判断ミスが多くありました。コートジボワール戦の2失点、コロンビア戦の4失点、すべてを防ぐことができたと言うわけではありませんが、正しい対処の仕方ができていれば、失点に繋がらなかったケースもあります。
 
コロンビア戦は最初に失点したことで、難しい試合になりました。今野選手がPKを与えた場面ですが、相手の21番(ジャクソン・マルティネス)の身体はゴールとは反対側を向いていました。ペナルティエリアの中に入ってきてはいましたが、シュートを打てる態勢ではありません。その状態でスライディングタックルをする必要性はゼロです。21番にシュートを打たせないように、身体を寄せるだけで良かったのです。これは今野選手に限らず、世界的に見ても多くのDFが犯しているミスなのですが、「ボールに先に触りたい!」という気持ちが先行し、足から先に守備に行ってしまうのです。今野選手は足から相手にコンタクトをしたことで倒す形になり、PKをとられました。守備時のファーストコンタクトは、腕や身体を使って相手のプレーを制限し、距離を詰めてから足を出すのが鉄則です。今野選手が良い状況判断とプレーの選択ができていたら、防ぐことのできたPKだったと思います。
 
2、3、4失点目は日本の守備陣がボールばかりを見てプレーしていたことで、招いたものです。ボールホルダーに気を取られ、ゴール前中央という危険なエリアで10番(J・ロドリゲス)をフリーにしてしまいました。そして、彼にボールが入ったときもマークすべき21番を見失い、そこにパスを通されました。このレベルの試合においては、ゴール前でマークすべき選手を見失うとゴールを決められてしまいます。
 
3失点目は内田選手にパワーが残っておらず、斜めのコースを走る21番について行くことができませんでした。シュートを打たれた場面では、相手との距離が離れすぎていてシュートブロックをすることができませんでした。4失点目も同様に、内田選手が守備に戻れていたら3対2の数的優位を作ることができたので、あれほど簡単にゴールを割られていなかったかもしれません。しかし、それまで何度もオーバーラップを繰り返していた内田選手に、戻って相手選手をケアするパワーは残っていませんでした。
 
この試合、内田選手は積極的にオーバーラップをし、なんとか得点チャンスを作ろうと必死にプレーしていました。点をとって勝たなくてはいけない状況を考えると、その判断は正しいと思います。ですが、チームとして内田選手のオーバーラップを活かすコンビネーションが確立されていたかというと疑問が残ります。守備時も同様で、彼が必死に戻らなくてはいけない場面が何回あったでしょうか。
 
サイドバックがオーバーラップをしたとき、当然ながら守備の人数は減ります。そこで安易にクロスボールをあげて跳ね返されると、カウンターのピンチを招くことになります。コロンビアはカウンターが得意なチームです。彼らは日本の守備に穴が空くのを、虎視眈々と狙っていました。この試合では、守備のときに内田選手が上がったスペースをチーム全体で連動してケアする、あるいは攻撃時にシュートで終わるといった“約束事”がほとんど無いようでした。
 
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■自陣ペナルティエリア内では、手を伸ばせば相手に触れる距離間を徹底すべき

 
今大会の日本は、攻守においてチームの約束事があまり見られませんでした。攻撃でこのエリアを攻略したい、そのためには最終ラインから中盤を経てボールをこう動かして…というコンビネーションがなかったので、攻撃は選手のアドリブに頼ることになり、選手同士の意思が噛み合わなければ失敗し、ボールを奪われてカウンターを受けるという状況を招いていました。
 
また、守備の場面でボールを見過ぎることによって、守るべきスペースを空けてしまい、フリーの選手を作っていました。ペナルティエリア内では、「相手に身体をぶつけて自由にさせない守備」をする必要があります。しかし、多くの場面で日本の選手は相手選手と離れたところにいて、簡単にシュートを打たれていました。コートジボワール戦の失点がまさにその形です。ペナルティエリア内では、「手を伸ばせば相手に触れる位置」で守備をする必要があるのですが、対人プレー時の認知(どこに相手がいて、どのスペースに進もうとしているか)が甘く、フリーでシュートを打たれる場面を招いていました。
 
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■即興ではなく約束事を。日本の優れた個人技術を活かすために

 
今大会の日本代表は攻守において「チームとしてどう攻めるか、どう守るか」というオーガナイズ(組織づくり)が確立されていませんでした。これから、世界の舞台で結果を残していくためには、チームとしての戦略、戦術を確立した中でどうポゼッションをして、ボールを動かしていくかがポイントになります。攻撃時に縦に急ぎ過ぎず、ボールを保持してスペースを使いながら攻めて行く。そして、チームがひとつの集団として攻撃し、ひとつの集団として守備をする。選手個々の能力を高めることも大切ですが、チームとしてプレーする中で個が輝くのです。
 
チームとして目指す攻撃の形があり、そこから逆算して、このときはこの選手とこの選手が絡んでボールを動かそう、というのが戦術です。本田にボールを入れるために、岡崎がダイアゴナルランをして相手のマークを引きつけたり、本田をフリーにするために、長谷部がボールを運ぶドリブルをして相手の注意を引きつけるといった、戦術的なプレーの精度を高める必要があると思います。今大会の日本には、ボールを動かすための約束事が少なくボールを持った選手が、視野に入った選手にパスを出すという即興性に頼ったものでした。このやり方だと、偶発的にしかゴールは生まれません。
 
日本の選手は、個人の技術は優れています。あとは、それをチームとして効果的にどう活かすか。それが今後、国際舞台で存在感を高めていくためのポイントになるでしょう。少し厳しい指摘になってしまったかもしれませんが、私自身、日本で指導に携わる中で、多くの選手を成長させることができればと思っています。
 
 
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ポール・デウロンデル
UEFA監督ライセンスA級を所持。サッカーサービス社において試合分析の責任者を務める。現在は、サッカーサービススクール常駐コーチとして来日中。
 
サッカーサービス社とは
スペイン、バルセロナに本拠を構えるプロの指導者集団。欧州名門クラブの育成監督などで構成され、リーガ・エスパニョーラトップチームの選手をはじめとした世界一流選手のパーソナルコンサルティングを行う一方、欧州を中心に世界各国でクリニックを開催し、若手選手の育成にも力を入れている。また、2014年4月から関東圏にU-12対象の常設スクールを開校した。
 
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写真・文/鈴木智之 写真/松岡健三郎

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