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考える力

小さくても奪える! 本田泰人が教えるボールの奪い方

2014年3月 3日

キーワード:コントロール

ディフェンスをするとき、いつも足が速い選手にドリブルで抜かれて、悔しい思いをしていませんか? 体の大きな相手からボールを奪うのを、あきらめていませんか?

現役時代には鹿島アントラーズのボランチとしてプレーした本田泰人さん。166センチと小柄ながら、ビスマルクやストイコビッチといった世界的な名選手から、たくさんのボールを奪い続けました。
小さくてもボールは奪える。足が速くなくても、ボールは奪える。現在はサッカー指導者として活躍する本田さんに、『ボールを奪う技術』を伝授してもらいましょう。

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奪う技術その1:間合いのコントロール

1対1のディフェンスに自信を持つ本田さんは、相手チームの攻撃的な選手から嫌がられる存在でした。たとえばヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)に所属していたビスマルクは、1997年に鹿島へ移籍しましたが、その理由の一つとして、「本田とチームメートになれば対戦しなくて済む」と考えたそうです。それほど相手を困らせる選手でした。

その本田さんが、重要なディフェンスのポイントとして挙げるのが『間合い』です。

「間合いのコントロールは重要だと思う。僕がなぜ、相手に嫌がられていたかといえば、普通のディフェンスの選手より、距離が近いから。間合いを詰めて、接近戦を仕掛けるからです」

1対1の間合いが近くなれば、相手はいつボールを突っつかれるかと焦り、目線も下がって広い視野を確保しづらくなります。接近戦により、相手にプレッシャーを与えることができるというわけです。

「"よくそんな間合いでいられるな"と、ジーコやコーチにも言われました。自信がなければここまで間合いを近くにはできない、と。相手は嫌がって、僕をかわそうとして遠くにボールを持って行こうとしますね」

 

【間合いが遠いと足を伸ばしてもボールに届かない】1対1の間合い

 

【本田泰人の間合い】

honda_yasuto_kyorikan02.jpg

 

もちろん、1対1の間合いを近くにすれば、ポーンとスペースへ蹴って、1人スルーパスのような形で置き去りにされるリスクが高くなります。普通の選手は、それを恐れて、間合いを広くするところですが...

「僕はスピードのある選手に対しても、間合いを広く取るという対応をしませんでした。すべての選手に同じように接近戦。それはつまり、最終的にはファールでもしょうがないという考えです。スピードのある選手には、ボールを奪おうとしてドリブルした方向に体を入れた結果、ぶつかって倒れてファールになってもしょうがない、と考えます。ファールせずに奪うことがベストだけど、僕はあえてボールを奪うチャレンジをした。基本的には間合いを寄せられるだけ寄せたほうがいいけど、裏を突かれるリスクをどこまで抑えられるかです」

常に接近戦を仕掛けて、裏を取られそうになったら、最終的にはファールでもしょうがない。とはいえ、そればかりになってしっかり対応できなければ、イエローカードを受けたり、失敗して入れ替わられる恐れもあります。

そこで本田さんのディフェンス術、2つ目のキーワードが『ステップ』です。

 

技術その2:ステップの切り替え

本田さんの1対1の接近戦は、なぜ可能だったのか? そのポイントは、アジリティー(俊敏性)です。

「"重心が低い"と、いつも周りに言われていた。僕はドリブルでかわされても、すぐに対応できる体勢を取っているつもり。"そんなに低い体勢から動けるの?"ってよく言われたけど、自分の感覚としては自然な構えで、それがいちばん奪いやすくて、ボールに直線的に素早く行けた。僕は瞬発力に自信があったので、それも良かったのかもしれないですね。サイドステップとかは、小学校や中学校のころから毎日やっていたし、反復横跳びは誰にも負けなかった」

低い体勢

低い重心から、鋭く寄せる能力。そのときに重要になるのはステップの技術だそうです。

「1対1の対応のときに、ボールなしで、サイドステップとバックステップをやるときに、使い分けないといけないステップがある。相手がゆっくりドリブルしているときは、サイドステップで、ゴールから遠いサイドへ追い込んでいく。ただ、相手にスピードを上げられたときにどうするか? サイドステップのままでは相手のスピードについていけないから、ラン(走り)に切り替えないといけない。だけど、顔と体が走る方へそのまま向いてしまったら、相手とボールが見えなくなる。そういうときの走り方は、顔と体を相手に向けて、体の正面で相手をとらえながら、横方向へ走る。そういう走り方のトレーニングも必要ですね」

このサイドステップとランの切り替えをマスターすることで、相手の切り返しにも対応しやすくなるそうです。

「相手がスピードアップしたら、サイドステップから走りに切り替えたり、相手が切り返したら逆方向へ反転したり、スムーズな動きが必要になります。常に体の正面でしっかりと相手をとらえていないと、フェイントや切り返しをされたときにクルクルと回って、自分がどこに行っているかわからなくなり、相手の思うままにやらせてしまう。どこでボールを奪うチャンスが訪れるかわからないから、そこに反応できるようにしたいですね」

このようなステップの切り替えは、相手の横方向への動きに対応するサイドステップだけでなく、相手の前進に対して、下がりながらバックステップを踏むときも同様です。

「サイドステップは相手の正面を向いてやるけど、バックステップは相手に対して斜めに向きながら、下がる。それをバックステップからランに変える動作がスムーズじゃないと、1人スルーパスとかで置き去りにされてしまう。大人でも難しいし、プロでもぎこちない選手はたくさんいるけど、ディフェンスには必要な技術ですね」

『間合い』と『ステップ』は、1対1の重要な要素です。
もし、自分が1対1に弱いと感じているのなら、間合いの取り方、ステップの踏み方などを見直してみてはいかがでしょうか?

次回はボールを奪う『タイミング』について、本田さんに解説してもらいます。

 

足から離れる隙を突く! 小さいからこそ考えてボールを奪う>>

 

清水英斗(しみず・ひでと)//
フリーのサッカークリエイター。ドイツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富でライターのほか、ラジオパーソナリティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。プレーヤー目線で試合を切り取ることを得意とし、著書は、『あなたのサッカー「観戦力」がグンと高まる本』『イタリアに学ぶ ストライカー練習メニュー100 』『サッカー観戦力が高まる~試合が100倍面白くなる100の視点』『サッカー守備DF&GK練習メニュー100』『サイドアタッカー』 『セットプレー戦術120』など多数。
●twitterID:@kaizokuhide
 

 

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取材・文/清水英斗 写真/サカイク編集部

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