1. サカイク
  2. コラム
  3. サッカー豆知識
  4. 「"ずるさ"とリスペクトは相反するものではない」マリーシアについて

サッカー豆知識

「"ずるさ"とリスペクトは相反するものではない」マリーシアについて

2011年11月28日

キーワード:ファウル指導者育成

DSC06673.JPG
 
前回のコラムでマリーシアについて、ぼくの意見を書かせてもらいました。相手チームのファウルをした選手が、「ごめん」と謝っているあいだに素早くリスタートをして、ゴールを決めたという話です。
 
<<前回の記事から読む
 

■選手が考えて全力でプレーすることが最大のリスペクト

ぼくは選手たちに、「練習や試合で失敗しても謝るな」と言っています。チームメイトに謝っている時間があるのなら、次はどうすればいいか? なんでミスをしてしまったのか? を考えたほうがいいと思っているからです。そういった日々の教えが見事に出て、ぼくのチームの選手たちは、相手チームの選手が謝っているあいだにゴールを決めてしまったのでした。
 
選手たちがした素早いリスタートを「ずるがしこい」と思うかどうか。それは人それぞれだと思います。でもぼくは、非難されるプレーではないと考えています。
 
育成年代の指導現場でよく耳にする「リスペクト」という言葉。これはすばらしいと思いますが、ファウルをしてしまった相手に「ごめん」と謝ることがリスペクトかというと、一概にそうとは言い切れません。それは、試合の状況によると思います。
 
選手が一生懸命考えて、全力でプレーすること。ぼくはそれが最大のリスペクトだと思います。そして、リスペクトとマリーシアが相反するものではないことも、選手たちに教えてあげたいと思っています。
 
よくマリーシアと称されるものに、「時間稼ぎ」があります。ぼくのチームでも、勝っている試合の終了間際に、時間稼ぎをする選手がいます。なかには、へたくそな演技で足を攣(つ)ったふりをする選手もいます。そこで「早くしろ」とは言いません。
 
時間稼ぎがマリーシアかどうかはわかりませんが、選手は勝つために必死に考えて、時間を消費しようとします。それ自体、ぼくは奨励もしないかわりに、否定もしません。勝つためにどうすればいいかを考えているあいだ、脳は活性化して、その選手なりにアイデアを出そうとします。その瞬間、選手は真剣なんです。だからぼくは、なにも言いません。ただ、時間稼ぎや演技があんまり可笑しい場合は、「見苦しいぞ(笑)」とは言いますが。
 
そこで、見苦しい真似をせずに、平然とプレーすることで、メンタル的に相手を上回ることができる場合もあります。どの手段をとるかは、選手次第。そこに選手の個性が見えてきます。ある選手はコーナー付近でボールキープをしたり、ある選手は勝ってようが負けていようが、おかまいなしにドリブル突破を狙っていたり。どのプレーをするかは、選手が考えることです。
 

■大人は子どもが考えたことを頭ごなしに否定してはいけない

サッカーというスポーツで大切なのは「自分で考える」こと。大人はそれを活かしてあげないともったいない。小学生であっても、大人があっと驚くようなおもしろいことを考えることもあります。そこに大人だからとか、子どもだからとかは関係ないんです。
 
サッカー少年たちが将来、社会に出て働いて、ご飯を食べていくために大切なのは、自分で考えて行動すること。ただ上司に言われた仕事をこなしていればOKだった時代は、過去のものになりつつあります。
 
サッカーは、自分で考えるなどの「自主性」を育むことについて、うってつけのスポーツです。だから、ぼくたち大人は、子どもが考えて行動することを、頭ごなしに否定してはいけないと思っています。
 
指導者ができることは、選手のアイデアを尊重すること。より良い選択をするための引き出しを、多く持たせること。その結果、選手は状況に即したプレーができるようになるのだと思います。
 
kojima2.jpg
小島 直人//
こじま・なおと
海外での選手経験の後、指導者として中学、高校、地域クラブや東京ヴェルディコーチとして様々なカテゴリーの指導にあたる。情熱的で卓越したコーチングスキルには定評があり、NIKEエリートトレーニングでは専属コーチとして毎年1万人以上の中高生をクリニックで指導した。現在は、大森FCの代表を務める。
 
大森FC
大森FCではプロサッカー選手を目指す選手を募集中。
セレクション・体験練習のご案内はコチラ
1
取材・文/鈴木智之  写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2011より)、youpapa

関連記事

関連記事一覧へ

サッカー豆知識コンテンツ一覧へ(228件)

コメント

  1. サカイク
  2. コラム
  3. サッカー豆知識
  4. 「"ずるさ"とリスペクトは相反するものではない」マリーシアについて

Pickup

サッカースクール検索サイト ケリなび

週間記事ランキング

  1. 無名チームから國學院久我山へ―。文武両道を追い求めたとある指導者がレギュラー獲得のために"親に内緒で"したこと
    2017年8月10日
  2. 夏合宿の持ち物を準備しよう!(1/2)
    2011年7月12日
  3. 子どもは親の分身ではない 指導はコーチに任せ、チャレンジの姿勢をほめることが成長の糧になる
    2017年8月14日
  4. 「プロ100人よりサッカーで輝く社会人100人を育てたい」勝利至上主義だった監督が目を覚ました子どもたちの言葉とは
    2017年8月 9日
  5. Jリーグ選手の管理栄養士に聞いた、野菜の栄養を効率的に摂る食べ合わせ&野菜嫌い克服法
    2017年8月16日
  6. 話を聞く、自分で考えだす... サカイクキャンプなどにヒントがあった、子どもが成長するきっかけの与え方
     
  7. 結成7年で強豪チームに。甲府U-12が取り組む「試合に生きるトレーニング」とは?
    2017年2月 1日
  8. すぐ速く走れるようになる!陸上メダリストの為末選手伝授の速く走る方法
    2013年6月13日
  9. 日本とスペインの比較検証でわかった「伸びる選手の保護者」の傾向とは
    2017年8月 1日
  10. サボっているほど良い選手?その驚きの理由とは
    2015年3月19日

一覧へ