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サッカー豆知識

「"ずるさ"とリスペクトは相反するものではない」マリーシアについて

2011年11月28日

キーワード:ファウル指導者育成

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前回のコラムでマリーシアについて、ぼくの意見を書かせてもらいました。相手チームのファウルをした選手が、「ごめん」と謝っているあいだに素早くリスタートをして、ゴールを決めたという話です。
 
<<前回の記事から読む
 

■選手が考えて全力でプレーすることが最大のリスペクト

ぼくは選手たちに、「練習や試合で失敗しても謝るな」と言っています。チームメイトに謝っている時間があるのなら、次はどうすればいいか? なんでミスをしてしまったのか? を考えたほうがいいと思っているからです。そういった日々の教えが見事に出て、ぼくのチームの選手たちは、相手チームの選手が謝っているあいだにゴールを決めてしまったのでした。
 
選手たちがした素早いリスタートを「ずるがしこい」と思うかどうか。それは人それぞれだと思います。でもぼくは、非難されるプレーではないと考えています。
 
育成年代の指導現場でよく耳にする「リスペクト」という言葉。これはすばらしいと思いますが、ファウルをしてしまった相手に「ごめん」と謝ることがリスペクトかというと、一概にそうとは言い切れません。それは、試合の状況によると思います。
 
選手が一生懸命考えて、全力でプレーすること。ぼくはそれが最大のリスペクトだと思います。そして、リスペクトとマリーシアが相反するものではないことも、選手たちに教えてあげたいと思っています。
 
よくマリーシアと称されるものに、「時間稼ぎ」があります。ぼくのチームでも、勝っている試合の終了間際に、時間稼ぎをする選手がいます。なかには、へたくそな演技で足を攣(つ)ったふりをする選手もいます。そこで「早くしろ」とは言いません。
 
時間稼ぎがマリーシアかどうかはわかりませんが、選手は勝つために必死に考えて、時間を消費しようとします。それ自体、ぼくは奨励もしないかわりに、否定もしません。勝つためにどうすればいいかを考えているあいだ、脳は活性化して、その選手なりにアイデアを出そうとします。その瞬間、選手は真剣なんです。だからぼくは、なにも言いません。ただ、時間稼ぎや演技があんまり可笑しい場合は、「見苦しいぞ(笑)」とは言いますが。
 
そこで、見苦しい真似をせずに、平然とプレーすることで、メンタル的に相手を上回ることができる場合もあります。どの手段をとるかは、選手次第。そこに選手の個性が見えてきます。ある選手はコーナー付近でボールキープをしたり、ある選手は勝ってようが負けていようが、おかまいなしにドリブル突破を狙っていたり。どのプレーをするかは、選手が考えることです。
 

■大人は子どもが考えたことを頭ごなしに否定してはいけない

サッカーというスポーツで大切なのは「自分で考える」こと。大人はそれを活かしてあげないともったいない。小学生であっても、大人があっと驚くようなおもしろいことを考えることもあります。そこに大人だからとか、子どもだからとかは関係ないんです。
 
サッカー少年たちが将来、社会に出て働いて、ご飯を食べていくために大切なのは、自分で考えて行動すること。ただ上司に言われた仕事をこなしていればOKだった時代は、過去のものになりつつあります。
 
サッカーは、自分で考えるなどの「自主性」を育むことについて、うってつけのスポーツです。だから、ぼくたち大人は、子どもが考えて行動することを、頭ごなしに否定してはいけないと思っています。
 
指導者ができることは、選手のアイデアを尊重すること。より良い選択をするための引き出しを、多く持たせること。その結果、選手は状況に即したプレーができるようになるのだと思います。
 
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小島 直人//
こじま・なおと
海外での選手経験の後、指導者として中学、高校、地域クラブや東京ヴェルディコーチとして様々なカテゴリーの指導にあたる。情熱的で卓越したコーチングスキルには定評があり、NIKEエリートトレーニングでは専属コーチとして毎年1万人以上の中高生をクリニックで指導した。現在は、大森FCの代表を務める。
 
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取材・文/鈴木智之  写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2011より)、youpapa

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