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インタビュー

FC東京・渡邉千真「自分に足りないものを常に意識することが大切」

2013年7月29日

キーワード:FC東京

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2012年、横浜FマリノスからFC東京へ完全移籍し、現在J1でのゴール数にも上位にランキングしている渡邉千真選手。先日の第16節アルビレックス新潟戦では、ルーキーイヤー以来5年ぶりとなる2桁得点を記録しています。今回は、J1で好調を維持している渡邉千真選手に、子どもの頃のエピソードについてお伺いしました。
 
 

■ドリブルやリフティングなど、一番ボールに触っていた小学校時代

――渡邉選手がサッカーを始めたのは?
 
「小学2年生で始めたのですが、小さい頃から、みんなで遊ぶにしても、何をするにしてもサッカーが一番。あまり兄弟で遊んだり、一緒にサッカーをすることはありませんでしたが、先にサッカーを始めていた2歳年上の兄(大剛・大宮アルディージャ)の影響も大きかったと思いますね。幼い頃の記憶で印象に残っているのは、中学校時代に、自主練をしようと学校に行ったところ、僕と兄しかいなくて、仕方なく二人でボールを蹴ったり、自主練をしたこと。当時、家にいても兄とはあまり話すことがなかったので、恥ずかしいというか、緊張したことをよく覚えています」
 
――渡邉選手にとってお兄さんの存在とは?
 
「今は本当に優しくなりましたけれど、当時は怖くて仕方なかったですね(笑)。何かを言われるとか、怒られるというわけではなかったのですが、もう醸し出している雰囲気が怖くて。兄弟なので、先輩後輩のような上下関係があったわけではないと思うのですが、基本的にはあまり兄と絡まなかったですね。 “もし怒ったら怖い”と思うと、なかなか積極的に話すことができませんでした」
 
――小学校時代はどんな練習を行っていましたか?
 
「ドリブル練習が多かったように思いますね。今、振り返ると、一番ボールに触っていたのがこの時期でした。ドリブルの他にもリフティングなどの練習もよくやりました。自分の中で印象深いのは、小学6年生の最後の大会でのこと。試合の前半を相手にリードされてハーフタイムを迎えたのですが、僕は失点シーンに絡んだ選手に文句を言って、泣かせてしまったんです。多分、試合に負けていたから、イライラしていたんでしょうけれど、最後の大会ということもあり、どうしても負けたくないという気持ちが強かった。その気持ちがそういう行動に表れてしまったんでしょうね」
 
――そこまで勝負にこだわるということは、相当な負けず嫌いだったということでしょうか?
 
「かなりの負けず嫌いでしたね。小学校の夏の全日本少年サッカー大会の県予選の準決勝で、相手に倒されて手首を骨折したことがあったのですが、それでもそこで交代せず、普通にプレーしていたくらいです。全国大会出場がかかっていたこともあり、必死でしたし、どうしても負けたくなかったんです」
 
――サッカー以外の面でも負けず嫌いでしたか?
 
「サッカー以外の面ではそんなこともなかったように思いますが、体育の授業やスポーツテスト、運動会、マラソンなど、スポーツイベントに関しては、一番じゃないと気が済まなかったですね。勉強はどうでもいいというわけではありませんでしたが、正直、スポーツほどのこだわりは持っていませんでした」
 
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■中学卒業までは毎日、自ら積極的に自主練習を行っていた

――当時はどんな1日を過ごしていましたか?
 
「基本的には学校に行って、サッカーをして夕方に家に帰る、その繰り返しでした。平日はそのサイクルで過ごし、土日は試合。小学4年生になると、近隣の小学校4校くらいが1つのクラブチームになり、練習も他の小学校に通うことになりました。そのため、帰りも少し遅くなりましたね。当時は10番でエース。自分が一番だと思ってプレーしていたので、誰かに負けるという気持ちもなかったですし、ライバルという意識もありませんでした。本当に自信たっぷりでプレーしていましたと思います」
 
――小学2年生でサッカーを始めた頃から、将来はプロになるということを想像していましたか?
 
「正直、そこまでは考えていなかったですね。ただ、自分にはサッカーしかないと思っていたのは間違いありません。そう考えると、少しは(将来プロになりたい)思っていたのかもしれません」
 
――では、憧れの選手のプレーの真似をするということもしなかった?
 
「真似はなかったですね。僕が初めてワールドカップを見たのが98年のフランス大会だったのですが、地元開催で優勝を成し遂げたフランス代表のジダンのプレーを見て“すごいな”と感心したことはよく覚えています。ただ、そのワールドカップの舞台も、客観的に見るだけで、“いつかは自分もこの舞台に”と夢見ることはありませんでした」
 
――小中学校時代に“これだけはやっておけばよかった”と思うことはありますか?
 
「“あの時これをやっておけばよかった”と後悔することはありませんね。僕自身、積極的に自主練を行ったり、毎日授業の前に壁に向けてボールを蹴ったり、コーンを立ててドリブルの練習をしたり、そういう練習をよくおこなっていたので。中学時代は周りがとにかく練習をする選手ばかりで、自主練を行うことはごく当たり前の環境だったんです。強いていえば、もっと勉強もやっておけばよかったかなとは思いますね。本当に(勉強を)しなかったので(苦笑)」
 
――ジュニア時代から意識していたことは?
 
「小学校のグランドに大きな壁があって、そこで“両足同じくらいのレベルでボールを蹴ることができたらいいな”と考え、よくボールを蹴っていました。その成果か、今も両足そん色ないレベルで蹴ることができますし、むしろ(利き足ではない)左足のほうでゴールを多く獲っているくらいですからね。例えば、右足しか蹴ることができなかったら、そこを抑えられてしまったら終わってしまう。小学校時代からそういうことも考えて練習していました。与えられた練習を100%で取り組むのはもちろん当然のことですが、それに加えて、自分で“ここが足りない”と考えて、自主的に練習するのが大事なのではないかなと思います」
 
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■大学で上京して、初めて両親の大変さやありがたみを痛感

――渡邉家の教育方針があれば教えてください。
 
「基本的に両親はあまりうるさく言うタイプではなく、自由にやらせてくれたと思います。幼い頃によく言われたのは“早くお風呂に入りなさい”と“箸を正しく持ちなさい”というくらい。勉強に関してはほぼ何も言われませんでした。それは僕ら3兄弟誰に対しても同じだったと思います。後々になって、母には“あなたが兄弟の中で一番ご飯を食べていた。出されたものは何でもよく食べていた”とよく話していました。だから、3兄弟の中で僕が一番体が大きくなったのかもしれません」
 
――渡邉選手やご兄弟がサッカーを続けることに関して、どのようなサポートを行ってくれましたか?
 
「特別何かをサポートしてくれたということはありませんが、3兄弟だったので、洗濯や食事の準備が大変だったと思います。小さい頃は、それがどんなに大変なことか理解できていなかったので、洗濯物も“これ、乾かしておいて”と簡単に言っていましたし、翌日に乾いていないと“乾いてないじゃん”と文句を言っていました。今、考えると、毎日3兄弟分の洗濯物をすることや、食事の準備をするのは大変だったはず。でも、自宅にいる時は、そのありがたみがわからなかった。大学で上京して、ようやく両親の大変さや、ありがたみを痛感しました。本当に感謝しています」
 
 
【後編】自分の個性を活かし、夢は日本代表でW杯出場>>
 
 
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渡邉 千真//
わたなべ・かずま
1986年8月10日生。長崎県出身。FC東京所属。 長崎県の国見高校では1学年上の平山相太、兵藤慎剛らと共に攻撃をリード。2003年度のインターハイでは得点王に輝き、さらに同年度の全国高校サッカー選手権を制覇した。2005年、早稲田大学に進学し、2年時からはレギュラーに定着。2006年、2007年と2年連続で関東大学サッカーリーグ得点王となり、大学サッカー界では「天才」「怪物」とも称された。2010年、アジアカップ最終予選でのイエメン戦で日本代表デビュー。2013年J1では第17節を終えて10ゴールを記録し、現在得点ランキング第4位。(7月29日現在)
 
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取材・文/石井宏美 写真/新井賢一

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