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親子でチャレンジ

蹴るではなく触る!サッカーを始めた子どもに最初に伝えること

2015年1月27日

昨年のブラジルW杯でグループリーグ敗退を喫した日本代表は、先日のアジアカップでも決勝トーナメント一回戦でUAEに惜敗。育成年代に目を向けると、世界どころかアジアで勝てない事態が続いています。昨年はU-16とU-19の年代別代表が、アジア選手権で相次いで敗退。1999年には決勝まで勝ち進んだワールドユース(現・U‐20W杯)の出場権を、4大会連続で逃しています。
 
どうして日本のアンダーカテゴリーはアジアで勝てないのでしょうか。今回は、現在アジアの多くの国々の育成に携わり、子どもたちと触れ合う機会が多いトム・バイヤーさんに、日本の子どもたちとアジア各国の子どもたちの違い、育成環境の違いをうかがってきました。(取材・文/上野直彦 写真/田丸由美子)
 
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■活性化するアジア諸国のサッカー育成

1993年にJリーグが開幕して以来、日本は非常に素晴らしい育成をしてきた印象を持つ人が多いでしょう。現に、1999年のU‐20W杯では準優勝、2000年のシドニー五輪でもベスト8という結果を残しています。
 
ただ、そのころの日本が世界大会に出場することができた要因のひとつとして、アジア諸国のレベルがあまり高くなかったことが挙げられます。最近はアジア諸国もサッカーに力を入れはじめ、予算をかけるようになってきました。U-17とU-19のアジア選手権は2年おきに開催されますが、アジア諸国は、この2年間をつかい日本に追いつき追い越そうとします。
 
中国は、今まで勉強にばかり力を費やしてきた結果、子どもがスポーツをしていないことが問題視されるようになりました。そのことに気付いた中国政府は、サッカーに力を入れはじめています。昨年の11月27日にはサッカーを国の重要課題とし、小学校から高校まで一貫してサッカーを必修科目としました。大学のなかには、サッカーを入試の必修科目にしているところもあります。今後、中国のサッカーは大きく変わっていくでしょう。北京市内の5つの小学校が、ぼくのつくったプログラムを始めています。
 
――なぜ、そのような動きが起こったのでしょう?
 
中国の政府には教育省とスポーツ省があります。教育省はスポーツに力を入れません。中国では、子どもをいい学校に入れるための競争が激しくなっています。ましてや少子化対策により、子どもをひとりしか生めない家庭は、できるならエリートコースに進んでもらいたいと考えます。そうすると、スポーツはその邪魔な存在です。それで子どもがスポーツをしない状況になってしまいました。
 
ぼくは、昨年11月から毎月、一か月のうちの一週間をもらい中国の子どもたちにサッカーを教えます。北京の小学校5校に対して作ったカリキュラムの最初のステップは、今年6月まで続きます。
 
 

■ピッチの環境や設備は中国のほうが上!?

――トムさんは日本のU‐12年代の育成に、長い間、関わってきました。今回、中国の子どもたちと触れ合ってみて、日本の子どもたちとの違いを感じましたか?
 
日本の子どものほうが運動神経はいいです。中国の場合は体育教育が確立されておらず、子どもは運動する機会が少ない。必然的に運動神経は育ちません。ただ、人口が日本より多いですから、ちゃんとした指導を始めたら日本は相手にならなくなってしまう可能性があります。日本ではスポーツをする文化や習慣が学校教育の中に入り込んでいて、学校生活の一部になっています。中国はまだこれからです。
 
――カリキュラムの内容は?
 
学校が終わったら、まずは子どもに基礎的なトレーニングをして、午後4~5時ぐらいに、コーチ・スタッフたちとみんなで試合をします。ぼくは最初、外国人でゲストでしたからキャプテンみたいなことをやってましたよ。チームを指揮したり、子どもたちを鼓舞したり(笑)
 
――日本の子どもと比べてここが教えにくい、教えやすいという違いは何かありますか。
 
日本の子どもたちの場合、サッカーに接する規律や準備ができています。チームワークや結束も深めやすい。ところが、中国の子どもはひとりっ子ということもあり、自己中心的な考え方で育っている場合が多く、仲間とシェアしたり、しっかりと列に並ぶという習慣がありません。子ども同士のケンカも多い。ケンカは日本でもたまにありますが、発生数は少ないです。
 
――トムさんはそういった中国の子どもたちをどうやって変えていこうと?
 
いま、中国政府に、子どもが変わるきっかけを作ってあげることを提案してます。
 
――おもしろそうですね。具体的に教えてもらえますか。
 
いままで50万人ぐらいの日本の子どもと接してきましたが、小学校4~5年からサッカーを教えるのは難しかったんです。すでにできあがっている部分がありますから。
 
仮に100人の日本人の子どもを集めた場合、その中から優秀な子どもをピックアップすることは難しいことではありません。どの子がうまいか、うまくなるかは大体分かります。動きや行動、目線などを見ればいい。
 
ところが、中国の子どもが100人集まった場合、1~2人を見つけるのもなかなか難しいです。これまでの中国では、サッカーのプログラムが始まるのは小学4年生からだったからです。だからまず、私はそれを幼稚園や小学校1年生まで下げました。
 
――日本の学校と同じ年齢で考えていいのですか。6歳で小学校に入学とか。
 
 同じです。ただ驚いたのは、環境や設備は中国のほうが圧倒的にいい。日本とは比べものになりません
 
。ぼくが行く小学校はほとんどが人工芝です。それにコーチのレベルが高い。日本のレベルと遜色ありません。コーチ陣のバックグラウンドが、プロのクラブでコーチをしていた人たちばかりなんです。

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取材・文/上野直彦 写真/田丸由美子

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