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親子でチャレンジ

蹴るではなく触る!サッカーを始めた子どもに最初に伝えること

公開:2015年1月27日

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中国をはじめアジア諸国のサッカー普及に動くトム・バイヤー氏
 
 

■「ボールに触ろう」、最初に教える一番大事なこと

取材中、トムさんが中国の小学1年生用に考えたパイロットプログラムの映像を見せてくれました。それはサインボールくらいの大きさのボールを使ったトレーニングでした。トレーニングを開始した当初は、うまくできなかった子どもたちも、みるみる上達していく姿が映し出されています。
 
――以前サカイクでも紹介させてもらったU-6年代のためのメソッドですね。
 
そうです。この年代で大事なのはボールを“蹴る”のではなく“触る”こと。わたしは子どもたちに、「ボールを蹴るな」と教えます。サッカーなのにね(笑)。それは、キックよりマニピュレーション、つまりボールを操作することのほうがはるかに大事だからです。日本でも何度もプレゼンしましたが、中国の小学校が先に取り入れました。これが将来、大きな意味を持ってくると思います。
 
――なぜ、ボールのサイズが小さいのですか?
 
ボールのサイズは子どもの足に合わせると、このサイズになります。日本では初めてボールを受け取ったときから、間違った方法でサッカーを教わっていると言えます。ボールが大き過ぎるんです。それと中国の子どもたちにはふたつのことを守ってもらいます。ひとつは先程も言いましたが蹴ってはダメだということ。もうひとつは、自分でそのボールを守るということ。絶対に奪われないようにすることです。
 
この年代でボールを奪われない技術を身に付けると、それ以降の上達の仕方が全然違います。だから、ぼくのメソッドでは、まずボールを蹴る前に自分でボールを守る方法から教えるのです。日本の育成のアプローチとは全然違うでしょ(笑)
 
このプログラムは中国の文部省からの依頼です。最初はプロのクラブチームと中国サッカー協会から依頼を受けました。2017年には、このプログラムを2万校に浸透させようとしています。中国の文部省と教育庁がすべての予算を出します。最初はぼくのやり方に疑問を抱いている人が中国にもいました。
 
――ところが、文部省のトップがこれを始めると言いだした、ということですね。
 
はい。この人はとても有能な人で、博士号を持っていて心理学者でもあります。彼が小学校のプログラムを進めて、その後に幼稚園のプログラムも進めています。
 
学校によっては、日本でいう慶應のように、幼稚園から小学校、中学校、高校、大学を備える一貫校もあります。そこでは、幼稚園から大学まで一貫したプログラムを子どもたちに伝えることができます。さらにぼくがおどろいたのは、どの学校に行っても学校の環境・施設が素晴らしいことです。
 
――中国からは幼稚園のプログラムも始めたいと言われているんですよね。
 
そうです。中国では国全体で育成に力を入れ始めています。中国の他にも、プロリーグが盛り上がりを見せるインドやタイ、シンガポールなども強くなるでしょう。こうしてアジア全体のレベルが底上げされ世界との差が縮まることで、日本はアジアでも勝つことが難しくなっていくかもしれません。現に育成年代ではアジアで勝てなくなってきています。
 
しかし、アジア諸国のサッカーのレベルが世界に近づくことで、日本はアジアにいながら世界レベルに近い強度の試合を経験できるようになります。それは本田圭佑選手も言う「W杯で優勝する」という夢に近づくことでもあります。アジアで勝てなくなることに危機感を抱き、どういった取り組みをするか。そこに日本サッカーの未来があるのではないでしょうか。
 
 
後編につづく>>
 
 
トム・バイヤー
“トムさん”の愛称でおなじみのU-12のサッカーコーチ。20年近く日本やアジア各国で指導者として活躍、これまでに延べ50万人以上 を指導した実績を持つ。2008年からは自らが日本に紹介し、15年に渡り普及に努めた「クーバーコーチング」を離れて独立。(株)T3を設立。さらなるサッカー指導と、普及活動に打ち込んでいる。公式WEBサイト>>
 
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取材・文/上野直彦 写真/田丸由美子

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