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これからの世の中に必要な能力はすべて、遊びとサッカーが育ててくれる

サッカーと遊びが、大人になったときもっとも必要な"情報編集力"を育む

公開:2017年2月 2日 更新:2021年1月27日

キーワード:よのなか科情報編集考える力能力遊び

遊びが、大人になったときもっとも必要な“情報編集力”を育む

劇的に世の中が変化している現代、お父さんお母さんたちが当たり前だと思っている“常識”が通用しなくなってきています。2020年、東京オリンピックが開催される年にはセンター試験に変わる新たなテストが導入されるなど、大幅な教育改革も予定されています。
 
そんな時代を生き抜くために、子どもたちに何が必要なのか?
 
少し大きなテーマですが、サッカーを通じて自分で考える力を身につけること、子どもたちの可能性を広げることを掲げるサカイクでは、こんなこともみなさんと一緒に考えてみたいのです。
 
そんなぼんやりとした、でもとても大切なテーマの連載で今回お話をいただくのは2003年から5年間、都内初の義務教育の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務め、現在は奈良市立一条高校の校長をされている藤原和博さん。一条高校は今冬の高校サッカー選手権出場を果たしたサッカーの強豪校でもあります。
 
藤原さんは、「正解が必ずしもひとつではない世の中の問題」を子どもたちと一緒に考える『よのなか科』を実践している教育者でもあります。
 
「正解主義、前例主義、事なかれ主義」で進んできた日本の教育に風穴を開ける活動を行う藤原さんに、サッカーのこと、サッカーを通じて何をどう学べばいいのか? そして、親は子どもたちにどんなサポートができるのか? を聞きます。(取材・文 大塚一樹)
 
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■10歳までに経験するいろいろな遊びから社会的能力を養う

「木に登って鳥瞰図的に世界を見る。”遊び”から子供が成長するのは間違いないよね」
 
優しい笑顔で語る藤原さんは、10歳までに経験するいろいろな遊びが、子どもたちがこれからの世の中を生きていく上で必要になる能力を養うのに役立つと言います。
 
「子どもたちには少なくとも10歳までは“視点が変わる”いろいろな遊びをして欲しいと思いますね。木に登ったり飛び降りたりする遊びでは視点が上下に動きます。こういう視点移動がとてもいい」
 
藤原さんが挙げてくれた“遊び”の一例は、「缶けり」です。
 
「缶けりって、自分が鬼だったら缶からどれくらい離れていいのか、隠れている友達はどこにいるか、いろいろなことを把握しながらやらないといけないんです。鳥瞰図的な視点を持っていないとすぐにやられちゃう。こういう経験が豊富だと、直接的に役立つことを挙げれば、図形問題を解くのにいいんです」
 
藤原さんによれば、缶けりで養われる俯瞰的な視点や空間把握能力、発想力が算数の図形問題に役立つと言います。
 
「複雑に見える図形問題も補助線を一本引くだけですごく簡単に解けるようになる。じつは、これは算数や数学だけの話じゃなくて、人間としても同じことなんです。ある問題、ものすごく難しい問題に直面したときに全体をパッと見て、補助線を引くことで見えてくるものこそが大切なんです」
 
サッカーにしろ勉強にしろ、物事に立ち向かっていくベースになるのが、遊びの中で培われた物の見方や考え方だというのです。
 

■正解主義はもう限界! 情報編集力を育てよう

「日本では長らく正解主義が幅を利かせていました。成長社会ではそれがピッタリくることも多かったけれど、社会が成熟していくなかで、だんだんそればかりでは通用しない面も出てきています」
 
「物事には必ず正解がある」ということを盲目的に信じ続け、それを子どもたちにも求める。“正解主義”はもう限界に来ていて、「正解はひとつじゃない」という前提に立って試行錯誤しながら納得できる解を導き出す能力の方が大切。これは、藤原さんが「よのなか科」などを通じて発信しているメッセージの大きな柱のひとつでもあります。
 
「いまの世の中は正解がひとつじゃないことの方が多いですよね。お父さん、お母さんの世代が子どもの頃は、『大きいことはいいことだ』とか、『買うなら安い方がいい』みたいな、世間一般で言う正解がまだまだありました。この頃に求められていた能力を“情報処理力”と言っているんですけど、情報を得て、正解を早く正確に出す人が優秀で、能力もあるとされていた時代だった」
 
藤原さんは社会が多様化した現代では情報処理力だけでは通用しないことも出てきていると言います。
 
「ひとつの正解を選べる人より、得た情報を元に自分で考えながら問題解決できる人が優秀と言われる時代が来ています。こういう正解のない問題に取り組むために必要なのは、情報処理力じゃなくて“情報編集力”なんです」
 
情報処理型から情報編集型へ。藤原さんは情報編集力を身につけるためにも“遊び”が重要だと言います。
 
「子どもたちの遊びのなかに予定“不”調和ってたくさんありますよね。遊んでいたら雨が降ってきたとか、同級生と遊んでたら突然弟が「入れて!」ってやってきたとか、砂場でお城を作って遊んでいたらそれを壊されたとか。そういうときにどうする? お城を壊されたときにケンカをするのか、一緒に遊ぶ方法を考えるのか。遊んでいるときの選択肢は、それこそ無限にあるわけです。正解主義じゃ答えは出ないし、対処しきれません。だから情報を編集して修正する “修正主義”で考える必要があるのです」
 
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(取材・文 大塚一樹)

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