考え・自分で行動する力を伸ばす ~サンガつながり隊よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」~

2019年4月 8日

自信がつけばグングン伸びる。子どもの「才能」ではなく「努力」にもっと目を向けてみよう

京都サンガでは「サンガに関係する全ての人々の心を明るくすると同時に、サッカーを通じて地域を振興し、連帯を深めること」を理念としています。この理念をもとに「子ども」に焦点を当て、「子どもまんなかプロジェクト」と題し、2012年から「サンガつながり隊」という活動を行っています。

これまで福中善久コーチの「エガオノミカタ」としてお送りしてきたコラムがリニューアル。よっしぃコーチの「みんながつながり隊っ!」としてお送りしますのでお楽しみに。

第八回目のコラムをどうぞ。

アメリカのポジティブ心理学者であるマーティン・セリグマン博士が唱える「学習性無力感」は、長期にわたり人が苦痛を与えられたり、自分の尊厳的価値が踏みにじられることによって、努力をしなくなったり、どんな可能性も「無駄な努力」と断じて自発的行動をしなくなるということを実験から尊き出したものです。

実際、指導の現場でも「絶対ムリ」とか「へタだからできない」と、チャレンジする前から諦めてしまう子どもに頭を悩ませている指導者が多い事実があります。

今回は、どうしたら子どもが積極的に努力するようになるかについて、一緒に考えてみましょう。

<<前回:AI時代を生き抜くために必要なスキルはサッカーで身につけられる!


積極的に挑戦した、など才能や結果ではなく努力の過程を褒めてあげましょう

■①トレーニングの後は、「才能」ではなく「努力」について振り返ってみよう

サッカーが上手い子を見て「あの子はセンスがある」と褒める人がたくさんいます。 でも、 その子が上手なのは才能だけが理由でしょうか? そう見えないだけでこれまでたくさん努力や工夫を重ねてきたかもしれません。

あるいは、才能だけで将来世界的な選手になれるのでしょうか? 「才能」とは人のカでは変えようのないものです。そこだけに目を向けてしまうと、あらゆる努力を否定せざるを得なくなってしまいます。

「あの子は生まれつきシュートが上手いからたくさん点を決めたんだ」と考えるより、「あの子のようにシュートが上手くなるにはどうしたらいいんだろう? 今度はボールを足にしっかり当てるよう意識してやってみよう」と考えた方が間違いなく上達しますよね?

努力して上達をするという「成功体験」は成長過程で不可欠なものですし、努力することによって得られるものがたくさんあることを知る経験は、サッカー以外でも必ず役立つはずです。

■②「能力」や「結果」ではなく、「努力」に対して褒めてあげましょう

ゴールを決めたわが子に「才能があるね! すばらしい」「やればできるじゃない」など才能に目を向けて褒めるよりも「よくがんばったね! すばらしい!」「点が決められてよかったね」などその子が取り組んだ過程や努力に対して目を向けて声をかけてみてはどうでしょうか?

また「今日はどうして点がとれたの?」と一言加えれば、子どもは「自分がゴール前でフリーの時、仲間に声をかけるようにした」とか「今まではチカラいっぱい蹴ってたけど、試合の前にゴールキーパーの位置を見てからシュートする練習をした」など、誇らしげに話してくれるでしょう。

その「努カ」や「エ夫」に対して、「そうなの。よく頑張ったね」などと褒めてあげてください。そうすることによって、子どもは努力することの素晴らしさを改めて感じることができますし、今日の努力を整理して振り返ることができるようにもなるはずです。

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福中善久(ふくなか・よしひさ)
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAで幼児~小学生を中心に様々なスポーツやキャンプ指導にあたった。また、大学生の指導者育成や高齢者スポーツなど幅広く活動。京都サンガでは未来を担う子どもたちに、スポーツを通じて「人と人がつながっていくことの大切さ」を伝える「サンガつながり隊」のコーチとして活動。地域の小学校を中心に年間2万人の子どもと関わっている。
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