やっぱりみんな困っている!? 子どものサッカー ホントのトコロ

2013年7月 3日

子どもとのコミュニケーションがうまくいく、何気ない会話の中での聞き方テクニック

 読者アンケート「保護者のお悩みを教えてください!」に基づいた連載の第2回は「親子間のコミュニケーション」について掘り下げてみます。
 
 話が弾むときと話が続かないとき。親子の会話とはいえ、タイミングや内容によってコミュニケーションがうまくとれず、子どもたちが何を求めているのかわからないことってありますよね? アンケート結果でも、みなさん“声がけ”には気をつけているようですが、そのやり方がいいのか悪いのか、もっといい話しかけ方はないか、試行錯誤が続いているようです。 
 
 
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■「べつに」を撲滅!? 子どもの立場になって聞く

「今日、どうだった?」
「べつに・・・・・・」
 
 試合や練習を終えた子どもたちに感想を求めても反応がない。こんな悩みを持っている親御さんが多いようです。親にしてみれば「もっとコミュニケーションをとりたいのに」というのが率直な気持ちでしょう。「べつに」と言われてしまうと、それ以上話が深まりません。
 
 翻って子どもたちの立場に立ってみるとどうでしょう?
 
「どうだった? って言われても……」
 
 この話を聞いて思い出したのが、取材やインタビューをするときのポイントのひとつ「具体的に答えてほしければ具体的に聞け」という言葉です。親子間のコミュニケーションには必ずしも当てはまらないかもしれませんが「どうだった?」ぼんやりした投げかけよりも、具体的に聞いてあげた方が子どもたちの話が引き出せます。
 
 具体的に聞くためには子どもたちを「よく見る」必要があります。たとえ試合や練習を見ることができなくても、前日、出かける前の様子をしっかり見ていれば「どうだった?」の前にもう少し具体的な話が出てくるはずです。
 
 お弁当を全部きれいに食べていたとか、少し残していたとか、ユニフォームの汚れ具合なんかでも会話が生まれるかもしれません。
 答えを誘導したり親の考えにはめ込んでしまうような質問の仕方はよくありませんが、子どもたちが答えやすい質問をしてあげるというのも円滑なコミュニケーションの方法です。
 
 アンケートで「サッカーを通じて親子の会話が増えた」と答えてくれた方の多くは、「練習の後にはどんな話をされますか?」という問いに「体調について」「練習内容について」「監督やコーチに言われたこと」など、具体的に聞いている方が多いようです。
 
 
 
 

■子どもの気持ちにふたをしない

 一方で「どうだった?」が有効な場面もあります。
 
 取材で言えば、たとえばヒーローインタビューのような場面です。相手が興奮していたり、良い結果が出てオープンマインドな状態の場合は「どうですか?」くらいの言葉がふさわしいときがあります。そこで出てきた言葉こそが本音です。ここで「具体的に」と細かいシチュエーションを限定するような質問をしてしまうと、相手の気持ちにそわない場合があります。
 
「今日勝ったよ!」と家に帰ってきた子どもに「内容は? 何対何? 試合には出たの? 活躍できた? どんなプレーが良かった?」と、矢継ぎ早に質問しては“子どもたちが本当に伝えたいこと”にふたをしてしまう可能性があります。
 
 アンケートの中には
 
「まず、今日はどうだった? と聞き、息子から良かった事、悪かった事、出来なかった事を話してもらい、そのあとに指導者から言われたことなどを聞きます」
 
 という答えもありました。普段から会話が多い親子間ではこうした自然なコミュニケーションがスムーズにできています。
 
「べつに」をなくすためには具体的に聞きましょう! と言っておいてなんですが、「どうだった?」という質問で答えが返ってくるのが本来の姿です。具体的に聞く過程でも「親の聞きたいこと」を優先しないように注意する必要があります。子どもたちが話したいことこそ「親の聞きたいこと」のはずです。
 
 

■試合の後はポジティブな声がけを

 アンケートでは、試合のあとの会話について、勝った場合、負けた場合どのような声がけをしているかをお聞きしました。
 
「良かったプレーをほめる」「楽しくプレーできたかを聞く」
 
 勝った場合も負けた場合もポジティブな声をかけることを心がけている人がほとんどでした。なかには「わかっていても……」と、負けた試合で親ががっかりしたり、ついついプレーに口出しをしてしまったりする例も多く見られました。
 
 普段の練習のときの会話で「練習内容について」子どもから聞いている親御さんは、内情がよくわかっているだけに黙っていられなくなる傾向もあるようですが、負けたときこそ「まず見守る」姿勢が重要です。
 
 負けた試合の後には子どもたちも反省をします。さらにコーチから注意点や改善点について話をされているかもしれません。試合後、お父さんやお母さんが個別に子どもに注意している光景を目にすることもありますが、どんなに正しい指摘でも、その場で言われてしまうと素直に聞けないことも多いでしょう。どうしても伝えたいことがある場合は、感じたことを覚えておいて、普段の生活の中でさりげなく伝える方が効果的です。
 
 親子の会話はサッカー以前にすべてのベースになるものです。サッカーのプレーやテクニックの話も大切ですが、何気ない会話の中で子どもたちの小さな変化に気づいてあげることこそが“子どものために親ができること”です。
 
 次回はアンケートにお答えいただいた方のお悩みをさらに掘り下げ、各専門家のアドバイスを交えながら、子どもたちの自立、自分で考えるサッカーを実践するためのヒントを探ります。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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