中村憲剛の「KENGOアカデミー」

2021年3月17日

サッカーで慌てない方法は○○を上げること

相手がいないところでのボール扱いは上手なのに、試合になると慌ててしまい、相手に簡単に取られてしまう。あなたのお子さんはどうでしょうか?そこで、「もっと集中して!」「落ち着け!」「周りを見て」と言ってもなかなかうまくはいきません。
常に冷静なプレーでゲームをコントロールしていた中村憲剛さんは○○を上げると良いと言います。一体その○○とは?!
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【質問】
サイドバックをやっています。ボールを持つと慌ててしまい、取られてしまいます。「周りを見とけ」と言われ、意識をしているのですが、判断が悪く、上手くいきません。どうやったら上手くいきますか?また、取られないボールの持ち方はどういうものですか?
【憲剛さんの回答】
ボールを持った時のプレーに自信がない選手に、今日からできるアドバイスを送ります。

■まずは顔を上げてみること、顔を上げれば慌てることのないプレーが可能に

子どもたちのサッカーを観ていると、「この子はボールを取られないだろうな」、逆に「この子はボールを取られそうだな」というのが、だいたい分かります。
それは顔が上がっているかどうか、です。
守る側の立場になって考えて下さい。
顔が上がっている選手は、こちらの動きも、周りの動きも見えているので、たくさんの選択肢があります。そういう選手に飛び込んでいくのはリスクが大きいと感じて、奪いに行きづらい。
顔が上がっていない選手が見ているのは、自分の足元にあるボールだけです。パスコースがあったとしても気付いていないので、守る側からすればボールを奪いに行きやすい。
ボールを持つと慌ててしまうという選手は、自分のテクニックに問題があると思っているかもしれません。確かにテクニックを磨くことは重要ですが、まずは顔を上げてみましょう。
最初は足元のボールがどうなっているか、自分の目で見ないと不安かもしれませんが、それでも顔を上げてみましょう。
大げさかもしれませんが"世界"が変わります。
KENGOアカデミーのDVDで僕のプレーを見てもらえれば分かりますが、僕はボールをトラップしたり、ボールを蹴ったりする瞬間以外は、常に顔を上げてプレーしています。
顔が下がっている時間を限りなく"ゼロ"にすることによって、プレーの選択肢が広がるからです。
最初からずっと顔を上げ続けるのは難しくても、ちょっとずつ顔を上げる時間を長くしていきましょう。そうすることで試合中も堂々と、自信を持ってプレーできるようになるはずです。

■内田篤人のうまさは「ボールの置きどころ」にある

僕自身はサイドバックではありませんが、一緒にやっていてうまかったなと思うサイドバックは、プロサッカー選手を引退し、現在日本代表ロールモデルコーチの内田篤人です。
篤人と他のサイドバックが違うのは、「ボールの置きどころ」でした。
一般的なサイドバックの選手は、ボールが来た時に外側にコントロールします。相手選手はサイドバックから見て、内側から寄せて来ることが多いので、ちょっとでも遠い位置にボールを置きたいという意識が働くからです。
だけど、外側にボールを置いてしまうと、身体も外に開くのでピッチの内側を見ることができません。パスを出す方向や、ボールを運ぶ方向が限定されるので、相手にとってプレッシャーをかけやすくなります。
でも篤人はボールが来た時に、あえて相手がいる内側にコントロールします。もちろん、相手との距離がすごく近い時は、外側に置くこともありましたが、コントロールする余裕がある時は内側にボールを置く。
そうすると、身体が中を向きます。そうすれば中にいるボランチやセンターバックへのパスコースが確保できるし、外側に運んだほうが良ければ、そうすることもできます。
外に置くか、中に置くか----。ボール1個分ぐらいの差かもしれません。だけど、それによってプレーの選択肢は大きく変わります。
篤人は相手との距離の取り方もうまかった。僕がボールを持っていて、サイドバックにパスを出そうとします。
このとき、相手が近くにいて、その場でボールを受けたらプレッシャーをかけられそうだと感じたら、スッと1、2歩動くんです。ちょっとしたことなのですが、それによって相手との間合いができて余裕を持ってプレーできる。
そのあたりのセンスは、僕が一緒にプレーしたサイドバックの中でも突出していました。
相手に寄せられても慌てずにプレーできるサイドバックは、すごく頼もしい存在です。ぜひ、そんな選手を目指してほしいなと思います。
【動画で解説】中村憲剛が教える「サッカーがうまくなる45のアイデア」はこちら>>
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