中村憲剛の「KENGOアカデミー」

2020年9月30日

中村憲剛が考えるキックの上達法は「人から教えられるのではなく『自分の型』を見つけること」

今もなお、日本を代表するプレーヤーの1人として川崎フロンターレを担う中村憲剛選手。そんな彼がサカイクを読むみなさんと、子ども達に向けて、これまでのサッカー人生で培ってきたサッカーがうまくなるヒントをお届けする「KENGOアカデミー」。
 
第二回となる今回は、「上達の近道」について。サッカーのトレーニングには正解はないとよく言われますが、中村憲剛選手はどのように高いレベルの技術を身に付けてきたのか話を聞いてみました。
 
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■「人から教えられるもの」ではなく「自分で見つけるもの」

例えばよくある質問が、
 
「どうやったら、憲剛さんみたいなキックができますか?」
 
子供たちに、こう聞かれると、ちょっと困ってしまいます。自分の“企業秘密”だから教えたくない……わけではありません(笑)。教えたくても教えられない――。それが正直な答えになります。
 
サッカーの実用書には、軸足をボールの横に踏み込んで、右足を開いて前に押し出すというような解説が載っています。でも、それがみんなに当てはまるとは言えません。なぜならキックというのは、人間の身体つきと大きく関係しているからです。
 
例えば、僕はガニ股なので、最初から足が外側を向いています。だから、インサイドキックのときは、そのまま足を前に押し出せばいいので、すごく蹴りやすい。僕が試合中、ほとんどインサイドで蹴っているのは、それが一番速くて、正確だからなんです。逆に、アウトサイドキックは蹴りづらいので、あまり使いません。
 
僕はキックのフォームというのは、「人から教えられるもの」ではなく「自分で見つけるもの」だと思っています。どうすれば、思ったところにボールが飛ぶのか、一番強く蹴れるのか、それを見つけるためには、たくさんボールを蹴るしかありません。
 
 

■自分に合ったやり方が上達のスピードを上げる

ちなみに、僕の右足には「蹴りダコ」があります。蹴りダコがあるのは右足くるぶしのちょっと左下あたり。ここがぽっこりと出っ張って硬くなっています。子供の頃に、ここで蹴ると一番強いボールが飛ぶということを発見してから、数え切れないぐらい蹴ってきたので、そうなってしまったんです。
 
僕が1人でよくやっていたのは、壁に向かってボールを蹴るという“壁当て”。1回目のコラムで紹介した対面パスと同じように、これも何となくやっていてはもったいない。当てるポイントを決めて、そこに5回連続で当てるなどの目標を設定しましょう。そうすれば、集中力も高まるし、自分がちゃんと蹴れているかもわかります。
 
そうやっているうちに、自分が蹴りやすい蹴り方、つまり「自分の型」が自然とわかってくるはずです。だから僕の蹴り方をすべて真似する必要はないと思っています。「自分の型」が見つかったら、どんどんボールを蹴って磨きをかけていきましょう。サッカーでも勉強でもそうですが、自分に合ったやり方を見つければ、上達のスピードはアップします。それがうまくなるための近道なのです。
 
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