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選手のパフォーマンスに影響する質の良い睡眠とは?
公開:2023年7月25日
みなさんは、毎日よく眠ることができていますか? JCY保護者アンケートでは、「朝なかなか起きられない」「睡眠時間が不足している」「寝ても疲れがとれない」といった、たくさんの悩みがありました。
はたして、良い睡眠をとるために、どんなことを心がければいいのでしょうか?「良い睡眠」とは、どんなものでしょうか? 睡眠栄養指導士で、こども睡眠ジュニアマスター講師の樋山奈々恵さんに話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■良い睡眠の9つの定義とは?
樋山さんが所属する『一般社団法人 こども睡眠カウンセラー協会』では、良い睡眠を次の9つに定義しています。
(1)寝る時間と起きる時間の正しいリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがついている
(2)体内リズムと睡眠のリズムが整っている
(3)年齢に適した睡眠時間がとれている
(4)夜中に目を覚ますことがない(途中で起きたりせず、朝までぐっすり眠れる)
(5)目ざまし時計をかけることなく、すっきりとした状態で起きられる
(6)目覚めて3分以内に寝床から出て、スムーズに行動ができる
(7)布団に入って8分から16分程度の時間内で寝入ることができる
(8)朝起きたときに、よく寝たという熟睡感がある
(9)日中にだるくて動けないといった疲労感がなく、活動に満足感が得られる
以上、9つのポイントが良い睡眠の定義です。これを読んでいるあなたは、いくつ当てはまったでしょうか?
■今すぐ知っておきたい子どもの必要睡眠時間
この中でも、ジュニアユース年代の保護者、指導者のみなさんに知っておいてほしいのが、年齢に応じた睡眠時間です。樋山さんは次のように説明します。
「13歳だと9時間15分、14歳では9時間。15歳で8時間45分が、年令に応じた必要な睡眠時間です」
ジュニアユース年代のサッカー少年・少女の場合、約9時間の睡眠時間が必要なことがわかります。そのことから逆算すると、朝7時に起きる場合、夜10時には寝床に入っていることが望ましいと言えます。
■良い睡眠のための心掛け
「最近のお子さんは忙しく、サッカーや塾などがあると、家に帰ってくるのが夜の10時など、遅くなることもあると思います。そこから食事をして、お風呂に入って寝ると、夜11時を過ぎてしまうので、朝7時に起きるとなると、睡眠時間が8時間ギリギリとれるかどうかになってしまいます」
夜更かしを止めて、年齢に合った睡眠時間を確保したいところですが、サッカーや塾などがあるとそうも言っていられません。そこで、少しでも良い睡眠を得るために、睡眠の質に目を向ける必要があります。
「とはいえ、まずは年齢に合った睡眠時間を確保するような、一日のスケジュールをたてることが望ましいです。睡眠はお子さんの脳や体の成長に関わります。子どもは大人のミニチュアではないので、必要な睡眠時間を保護者の方が把握した上で、そこに近づける意識を持っていただくのがいいのかなと思います」
■理想の眠りに必要なのは「準備」
サカイクの保護者にインタビューをしたところ「練習で疲れた日は、倒れるように寝てしまいます」と答えた方が多くいました。いわゆる「寝落ち」の状態です。すぐに眠りにつくので、質の高い睡眠につながりそうですが、樋山さんによると注意が必要とのことです。
「寝落ちは脳と体が疲れ切った状態なので、成長期の子どもだけでなく、大人にも良くない入眠と言えます。早く寝つくことができるので、良い眠りができていると思う方もいらっしゃるのですが、実は逆なんです。寝る準備をして、布団に入り、徐々に入眠していく寝方が理想的です」
■親の関わりで子どもの睡眠の質を上げる
寝る子は育つということわざがありますが、ジュニアユース年代のお子さんにとって、睡眠はとても大切です。サッカーで傷ついた筋肉、勉強でたくさん使った脳を休ませるためにも、しっかりと栄養をとり、適切な睡眠時間をとることは、保護者主導で行いたいことです。
「元気にサッカーをするためにも、しっかりと睡眠時間を確保することも大事なのだと、理解してもらうのも大事なことだと思います」
さらに樋山さんは「睡眠は家庭での教育が大事です」と言葉に力を込めます。
「夜起きているお子さんに『早く寝なさい』と言っても、ゲームやYouTubeなど、楽しいことがあると、寝ようとはしませんよね。そこでお父さん、お母さんが率先して『寝るのは大事だから、自分たちも早く寝るよ』と言って、部屋の電気を消すことができたら理想的です」
保護者の活動を考えると、子どもと同じ時間に寝るのは難しいかもしれませんが、なるべく寝る時間を確保するために、睡眠の重要性を子どもに理解させるとともに、親が率先して行動に移すのも大事なことなのかもしれません。
次回の記事では、質の高い睡眠をとるための栄養の重要性について紹介します。
睡眠栄養指導士・こども睡眠ジュニアマスター講師
10代の自身の病をきっかけに「健康」について考え始める。
結婚、出産、育児、などライフステージの変化で心身のバランスを崩し、あたらめて「健康」の土台となる睡眠について学ぶ。睡眠を見直すことで、生活の質の向上や家族の健康増進、子どもの未来を育むことができることを知ってもらうために、対面やオンラインで活動中。
現在は保育施設にて施設職員、保護者向けに睡眠と栄養の講座を開催。
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