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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

ドリブルは好きだけど仲間との協力が苦手なU-6世代、この年齢は個人技の習得が優先?

公開:2020年7月31日 更新:2020年8月14日

キーワード:U-6イビチャ・オシムサッカーを理解するジェフ千葉ドリブルビジャレアル個人技判断池上正認知連携

ゲームは好きだけど、複数人で協力するプレーがまだできない。一人でできるドリブル練習の方が集中できる子どもたち。

U‐6世代ならそんなもの? 今は個人のスキルを身につけさせた方がいいのか、それとも仲間との協力プレーを意識させる方法はある? と指導者よりご相談をいただきました。先日配信した、「日本での指導の順番が海外とは逆」という記事でお伝えした課題は、サッカーを始めたばかりの年代にも言えるのだそう。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが送るアドバイスを参考にして、子どもたちに仲間と協力するプレーを意識づけてあげてください。
(取材・文 島沢優子)

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

<<ボールを蹴るのは上手いけど、手で投げたりキャッチが苦手な子が多い。全身をうまく使えるようになる方法を教えて

 

<お父さんコーチからの質問>

U‐6世代を指導している者です。

まだまだ集中力が続かない年代なので、楽しんでもらうことをモットーにしているのですが、自分が得意でなかったり、あまり好きではないメニューになるとどうしても気が散りがちです。

ゲームは好きですが、複数人で協力し合うプレーなどがまだまだ苦手で、一人でできるドリブルなどのほうが集中できるようです。

この年代では個人のスキルを身につけさせることが先決でしょうか。仲間との協力を意識させるようになる練習やウォーミングアップなどがあれば教えてください。

 

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談、ありがとうございます。

いただいたメールを読んで、ジェフ時代にオシムさんに言われた言葉を思い出しました。

当時私はジェフの普及事業として、ホームタウンにある小学校や幼稚園などを巡回して授業をする「サッカーおとどけ隊」の内容を考えていました。クラブハウスでスタッフと相談していると、オシムさんがやってきたので、「どんなことをしたらいいか考えている」と話したら、一言だけおっしゃいました。

「子どもたちにサッカーのやり方を教えるのではなく、サッカーすることを教えなさい」と。

 

■6歳でもプレーを止めて考える時間を与えよう

サッカーをするといえば、一番楽しいのはゲームです。

ゲームをしながら、子どもがサッカーというスポーツを理解していく手助けをしてみましょう。

この連載直近の回で「チームの底上げ」や「判断を伴う練習」というテーマでお伝えした、スペインリーグのビジャレアルの育成方法を憶えていますか?

日本人コーチの佐伯夕利子さんが育成のトップで活躍されているこのクラブでは、子どもたちにゲームを楽しんでもらいながら、サッカーの成り立ちを理解(認知)させます。

考えながら動くことは難しいので、その状況ではどんな選択肢があるかをわかってもらうために「一回止まって考えてみようよ」と呼びかけます。

6歳でも、試合を止めて、一緒に考えてみます。一見すると、とても大変そうですが、少しずつやっていくと子どもとさまざまなコミュニケーションがとれるようになります。そんな時間をとれば少しずつ変わってきます。ビジャレアルは、これを3歳児からやっているのですから、日本の6歳児も十分できるはずです。

私もこれを実践しています。大阪で「サッカープレーパーク」という無料のスクールを実施していますが、集まるとまずゲームです。様子を見ながら、プレーを止めて対話する時間をつくります。

答えは言いません。
「どうして、ここにいったの?」
「なぜこうなったのかな?」

周りを見ていなかった。パスするのを忘れた......ハッキリだったり、ぼそぼそだったり、いろんな声が聴こえてきます。子どもたちの意見は一切否定せず、私の意見も言います。

「そうか。オッケー。コーチはね、こうするといいかなって思ったよ。そんなことも考えながらプレーしてごらん」

詰問するような言い方ではなく、あくまでリラックスした状態で、伝わりやすい言葉を選んで話します。

6歳くらいだと、ボール保持者にぶつかっていく子どももいます。

「みんな、知ってる? ソーシャルディスタンス。あるよね? コロナに感染しないようにしてるよね。サッカーもそういうふうにしよう。サッカーの試合、思い出してみて! 自分からぶつかっていく人はいないよね」

子どもたちはゲラゲラ笑います。全員ではないにしろ、少しイメージできます。

ディフェンスが間にいてパスができないとき、どうする?

「ドリブルで少し移動してからパスを出す」

そんな答えが出てきます。

そうやって、子どもが自分で気づいて、自分で学んで理解していくと、パスが早く出始めたり、自分でひとりでドリブルでいってしまうことが減ったりします。

 

■「パスした方がいい理由」を見つけられるように導く

サッカープレーパークでは、小学1年生から中学1年生まで一緒にサッカーをします。ある日のこと。小学1年生でドリブルばかりする子がいました。サッカーの初心者では当然です。

そこで止めて、私はみんなに声をかけました。

「ねえ、君さ、自分の味方がだれか理解していますか? えっと、この子の味方の人?」

周りにいた子が一斉に手を挙げました。

「ほら、こんなにいるよ」

ドリブルをしていた6歳の小学1年生に尋ねます。

「君はドリブルしていたね。コーチが前にいたね。右のほうに味方がいるよね。ドリブルをしていた君は、コーチにボールをとられたね。どう? 味方にパスする?ドリブルする? どっちのほうがいいと思う?

すると、次にボールをもったとき、その子はドリブルをしながら周りを見たのです。パスもするようになりました。

このように頭で理解をさせるのが非常に大切です。コーチの方は子どもたちに「パスしろ!」と言いますが、どうしてパスしたほうがいいのかを子どもたちは理解していません。

「ああ、だからパスしたほうがいいんだ!」と子どもたちが納得できるように、その答えを自分で見つけられるような指導をコーチのほうもしていません。

そういった指導でも、もし子どもがパスしたとしたら、それはパスをしないと怒られてしまうからだと私は思います。

私の孫はいま小学3年生です。先日、通っているサッカースクールの子たちでチームを作って大会に出ました。全員顔見知りではなく、互いに恥ずかしがっていました。孫は特に内気な子で、コーチにベンチから大声で名前を呼ばれるとびっくりしてミスをしてしまいます。ほとんどがポジションが悪くて失敗するのですが、それが重なるとどんどん下を向いていきます。

その大会の後、私のプレーパークにもやってきました。私は子どもたちに「ナイス」「お、いいね」とほめることしかしないので、帰宅後に「今日はいっぱいほめられて楽しかった」と母親である私の娘に言ったそうです。

リラックスして楽しくプレーしていれば、いいプレーはたくさん出て来るようになります。

 

次ページ:褒めながらプレーの幅を広げていく声かけ

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コーチからの質問に池上正さんがお答えします(チームの指導の悩み、例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります

※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。

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文:島沢優子

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