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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

練習時間がJFAの規定より長いことで選手たちへの弊害があるか教えて

公開:2019年11月15日 更新:2019年11月16日

キーワード:コーチングドリブルリーグ戦指導池上正長時間練習

チームの練習時間が、JFAのハンドブックに書いてある推奨時間より長い。子どもたちは特に不満もなく取り組んでいるけど、長時間練習の弊害が気になる。練習時間を減らすべき? とのご相談をいただきました。

練習は長ければいいというものでないという理解はだいぶ浸透していますが、みなさんのチームはどのぐらい練習していますか?

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習時間と練習メニューをアドバイスします。(取材・文:島沢優子)

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

 

<<リーグ戦に2チーム出すときの編成法、うまい子とそうでない子で分けていい?

 

<お父さんコーチからの質問>

今年から教え始めた新米指導者です。指導しているのはU-8、U-6の子どもたちです。

JFAキッズハンドブックでは練習時間が短めの45分程度を推奨されていますが、私が教えるチームでは以前からU6は日曜のみで90分、小学生は木曜夜90分、土日150分の練習時間が設定されています。

子ども達は最初から決められた時間であるため特に不満もなく練習に取り組んでいますが、長時間の練習についての弊害がないか気になります。

JFAのハンドブック通り、45分に練習時間を短縮すべきでしょうか。その場合に、U-8、U-6年代でやっておいた方がいいメニューなどがあれば教えてください。

 

<池上さんのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

サッカー協会のキッズハンドブックで説明されていることは正しいです。ただし「その程度」ということで考えましょう。短かくなるぶんはいいのですが、延長する度合いは気をつけてください。

私が目安にしているのは、小学生の低学年は60分で十分です。土日の休みの日でも60分でいいと思います。

■練習時間の長さよりも休憩時間の長さなど、拘束時間を意識しよう

課題があるとすれば、時間の長さよりも休憩時間の考え方です。町の少年団やクラブの練習を見ていると、休憩がたくさんあります。しかも、一度の休憩が長い。水分補給はもちろん必要ですが、いったん座り込んでしまうと立ち上がるまで時間がかかります。多くのチームが、コーチが「おい、始めるぞ」と一度声をかけるまで自主的に集まってきません。

次は何をやるのかなと準備するのではなく、言われるまで集まりません。そのようなタイムロスをなくせば、全体の練習は60分から、高学年でも90分で十分やれるはずです。

そうでないと、いつまでもだらだらとコートにいることになります。長時間練習によるスポーツ障害の心配というよりも、子どもたちの生活時間を奪ってしまうリスクを大人はもっと考えなくてはいけません。

例えばサッカーの練習が1時間かっちりで終われば、家族で遊びに行ったり、買い物やレジャーも楽しめます。もっと家族でいる時間を増やしてほしいと私は常々思っています。特に、低学年は、自分の体がしんどくなれば、勝手に力を抜いてしまいます。大人がけしかけても体は動きません。

よく「集中力が足らない」と子どもを叱っている大人がいますが、子どもの場合は集中力というよりも「興味があるかないか」で取り組み方は違ってきます。興味が持てればどんどんやる。ただ、そうなるとやりすぎてしまいがちです。

「やりすぎてはいけませんよ」

指導者や親御さんにそう言って警鐘を鳴らすと「いや、子どもがやりたいというので」とおっしゃいます。そこにブレーキをかけてあげるのが大人の役目です。
「楽しいのなら、これくらいにしておこうか。そのほうが上手くなるよ。また来週ね」と説得してください。それが子どものためなのに、「楽しいなら、もっとやるか」と単純な思考になっています。

 

■一人でドリブルして終わり、でなくドリブルを有効に使えるようにする練習

次に、ご質問にあった「6歳以下でやったほうがいいメニュー」についてお伝えしましょう。

まずは、練習のミニゲームで良いので、試合をたくさんやらせてあげること。そのうえで、試合の中でひとりでドリブルして終わりとなるのではなく、ドリブルを有効に使い分けることを教えてください。そうすれば、みんなでパスをつないでゴールを目指せるようになります。

そのように指導すれば、日本特有のドリブラーにはなりません。まわりから「勝負、勝負」と言われてドリブルで突っかかっていく。それだけしかできない子どもが多すぎます。海外のドリブラーは、相手を抜くだけではありません。チャンスが生まれそうないい場所にボールを運べます。

思えばスペインには「ドリブル」という言葉(単語)がありません。コーチたちは、こんなふうに教えます。

スペースが開いているから、そこにボールを運びなさい。
そこで仕掛けましょう。相手に対してボールをさらすと、相手がとりたくなるね。そういうときにパスをすれば、ワンツーで抜けるよ。
もうひとつはキープするドリブルです。

日本ではそれらすべてが「ドリブル」にカテゴライズされています。日本の少年サッカーの子どもたちがイメージするのは、直線で相手を抜き去ろうとする、つまり、仕掛けるドリブルです。

一方のドイツでは、ドリブルには3種類あると教えます。
前述したように「運ぶ」「仕掛ける」「キープする」ドリブルです。この三つを念頭にトレーニングすれば、プレー自体もずいぶん違ってきます。

はい、いつ仕掛けますか?
はい、いまはといられないように。
あれ? 守備が開いて、真ん中が空いているから前に進めば?

そんなふうにミニゲームの中でも声掛けできます。

切り出したメニューでいえば、2対1から始めますよ。そこをやっていれば、ドリブルばかりしてパスしない子は育たちません。

 

次ページ:顔を上げてドリブルできるようになる練習メニュー

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文:島沢優子

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