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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
小さいグランドでもスキルや判断力を身につけられる?
公開:2019年6月 7日 更新:2021年1月13日
中学サッカー部の外部コーチより、グラウンドが狭いうえ部員数が多い。ほかの部活も近くでやっているので、ボールがぶつからないようにしないといけなくて左右に大きく展開するなど、思うような練習ができない。こんな環境でもサッカーのスキルや判断を磨く練習を教えて。とご相談をいただきました。
今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。
ご自身の経験をもとに、中学生に十分な練習頻度についてもお話くださいましたので参考にしてください。(取材・文:島沢優子)
<お父さんコーチからの質問>
池上さんこんにちは。
公立中学で外部コーチをしている者ですが、グランドがとても狭く(約35m×25m前後)他の部活との兼ね合いもあるため、大きく左右展開をする練習など思ったような練習ができません。
人数も約50名ほどいるため、もっとグラウンドを広く使ってみんなにたくさんプレー機会も与えたいのですが、小さいグランドでもサッカーのスキルや判断力をつけられる簡単な練習方法やアイデアがあれば教えて下さい。
よろしくお願いします。
<池上さんのアドバイス>
サッカーの練習方法やメニューは、ネットや書籍でたくさんの情報を得ることができます。僭越ですが、私も出しています。少年サッカーだけでなく、中学生にも応用できるメニューはいっぱい載っていますので、そういったものをご覧になって、ぜひご自分でも勉強してください。
ここでは、私が実際に行っている練習をご紹介しましょう。
■狭いコートでも判断力や技術は養える
35メートル×25メートルという広さは、ハーフコートよりも狭いですね。一般のサッカーコートの4分の1強くらいでしょうか。
それでも、4対4のゲームなら同時に2コート作れます。そうすると、一度に16人が動ける計算です。部員は50人程度とのことなので、3交代くらいです。大きく展開するプレーはできませんが、判断力やボールコントロールの技術は十分に養えます。
もうひとつの特徴は、サッカーゴールの代わりにフリーマンを置くことです。フリーマンにシュートの代わりにパスをします。パスをしたら今度は攻撃方向が変わります。逆の方にいるフリーマンを目指して、攻撃をします。
攻撃するほうは、素早く切り替えなくてはいけません。守る側も、フリーマンへのパスという形で失点したら、今度は違う方向に守備をしなくてはいけません。ともに臨機応変に頭を使う必要があります。味方に「戻れ!」とか「速く攻めろ」などと声をかけあう場面も出てくるでしょう。
また、フリーマン役を担う選手は、状況を見て、素早く切り替えた選手へ正確にフィードしなくてはいけません。次に行う4人のうちのひとりが交代でやればよいでしょう。
もうひとつは、全員が一度に行うメニューです。
4対1の鳥かごで、ボールを二つ使います。これであれば、5人なので10か所で行えます。
4人でボール二つを一度に動かすので、いつも周りをみてパスしなくてはいけません。よく見ていないと重なってしまいます。自分がパスをする相手だけを見ていればいいわけではありません。ほかの3人、もうふたつのボール、そして、守備をする一人と、たくさんの情報を頭に入れながら判断するわけです。
「そんなこと、うちの生徒ができるのかな?」と感じるかもしれませんが、できないことをやるのが練習です。ボールをみる、他人の動きや意志を感じる、もしくは感じようとする時間のなかで、判断力やスキルが磨かれます。
■「動く鳥かご」など常に判断しながらボールに触る練習もある
三つ目のメニューは、シュート練習です。
35メートル×25メートルは長方形ですので、距離の長いほう、35メートルのほうに三つゴールを並べます。全部が正規のゴールである必要はありません。バーやコーンを使ったものも含めて三つ作ります。
そうすると、ひとつのゴールを15人強で使えます。シュートする人、パッサー、守備と3人でローテーションします。これを休みなくどんどんやれば、順番はすぐに回ってきます。シュートまでのかたちを変えれば、いろいろなことができます。
四つ目は、7人もしくは8人で行う「動く鳥かご」。7~8人で丸くなって鳥かごを作ります。これもボールをふたつ使います。
ひとりがパス出すと、パスした人は違うポジションに移動します。例えば、8人だとすれば1から8までポジションがあるので、同じ場所にいてはいけません。パスをしたらすぐ動く。パス&ランと同じ、パス&ムーブです。違う場所にとにかく動きます。次にボールを受けた人も、パスしたら移動します。
これをダイレクトパスで回す。ボールふたつで同時に行うため、重なってしまったりすることが起きないように気を付けなくてはいけません。これがこのメニューの入り口になります。
次は、7人から8人がいつも移動している状態にします。パスをもらわなくても、動きながらボールを待ちます。自由に動きながら、どんどん二つのボールを動かします。
例えば、洗濯機をイメージしてください。ただ、洗濯機は同じ方向にグルグル回っていますが、選手たちは渦を描くのではなく、対角線上に動いたり、斜めに走ったりします。
「移動して」と言うと、同じポジションにいて足踏みしたり、サイドステップで左右に少し動いてみる、といった選手も現れます。その場合は、「大きく動いてごらん」と促してください。
メニューの進化系は、7対1と守備を置くこと。さらに難易度が上がります。
また、最初に話した4対4で、攻撃するゴールが二つある状況を作ってもよいでしょう。つまり4つゴールがある。そうするとサイドチェンジも考えるようになります。生徒達には、狭いなかでどんどん動くよう働きかけてください。
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