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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

集団行動が苦手で練習になじめない子も楽しんでスッと入れる練習と接し方はある?

公開:2019年3月22日 更新:2019年3月25日

キーワード:コーチングトレーニング愛着障害指導者池上正集団行動

練習には来るけど、みんなと一緒にトレーニングに参加せず一人壁当てしている子。友だちのボールを遠くへ蹴ったり、練習道具も倒したり、ほかの子を蹴って泣かせてしまったことも......。

その子もなんとか楽しんでほしい、ほかの子も上手くさせたい。息子もチームに所属しており、コーチとして保護者としてどう接すればいいか、とお悩みのコーチ。

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。(取材・文:島沢優子)

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大人が変わることで子どもも変わっていくのです。(写真はご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<<文句を言われたのが原因で積極的になれない子どもへの接し方を教えて

<お父さんコーチからの質問>

息子が小3の時にほぼサッカー未経験者(現在C級講習中、3級審判取得)で、保護者コーチから始まり、その時に池上さんの本に出会い、それをベースに「如何に楽しくサッカーを続けてくれるか」を模索しながら、やってきました。

今回、U-7を担当することになりました。

現在男女10数名で週末1回90分でやってますが、一人の男の子のことで悩んでます。

その子は兄弟の四男で、上の3人も入団していて、ご両親は共働きで各カテゴリーの送迎だけで、四苦八苦されているご様子です。

何となく「お兄ちゃんたちもやってるし」とサッカーを始めたようですが、来ては校庭の遊具で遊び、一人壁当て。それだけなら良いのですが、友達のボールを遠くへ蹴ったり、並べたコーンをドンドン倒す、試合にもフラフラっと出たり入ったり、友達を蹴飛ばし泣かしてしまう。

指導者としても、どうしたらいいか毎週の練習が憂鬱な日々でした。

先日、列に並んでた子のボールを蹴って、それが隣の子の顔面に当たるという事件がありました。その時にサッと駆け寄ると、蹴った本人が涙しているんです。

普段は、その子がウロウロし出すと教員をしている私の妻が見てくれて、クラブハウスの中へ入るよう仕向けてくれるのですが、どうもかまって欲しい、見て欲しいんだなあと、最近感じるようになりました。

ご両親ともお話ししましたが、「学校にも馴染めていなくて......」と教えてくださいました。「サッカーを辞めさせましょうか?」とも。

でも、その子のお兄ちゃんもそうでしたが、2年生になったらグッと変わりましたし、「何か誉められるところ見つけて、声を掛けて本人のやる気が出るまで、待ちますと」は伝えました。

クラブの代表からも、「今は朝ここへ来ることがまず目標」と、保護者さん含めみんなの前では言ってもらい何とかやってますが、他の親御さんたちからは「あの子が居ると練習が大変だよね」という声も聞こえてきたり。

同じチームに私の次男が所属しており、保護者兼コーチという立ち位置からすると非常に複雑な心境です。

その子が何とか楽しんで、すっと入って来られるメニューはないだろうかと試行錯誤してます。他の子には上手くなってもらいたいし、その子には続けてもらいたいので。

幸い同一校区の子供たちだけのチームですので、みんなで6年間やりきること、チーム力団結力を高めること、それを目標にやるしかないかなあとは考えるようになりました。

今後私はコーチとして、保護者としてどうあるべきなのか。
どうしていけばいいのか何かご意見、アドバイスがいただけると、大変ありがたいです。

<池上さんのアドバイス>    

ご相談いただき、ありがとうございます。


指導が難しい子どもを決して排除しようとせず、一生懸命向き合おうとしています。とても感心しました。

大人にとって、扱いが難しいお子さんだと察します。
・友達のボールを遠くへ蹴る。
・並べたコーンをどんどん倒す。
・試合中にはコートへ出たり入ったり。
・友達を蹴飛ばして泣かせる。

これらの行為から、多少偏りのあるお子さん、つまりは広汎性発達障害なのではと考えたりするかもしれません。私は専門家でもないので断言はできませんが、もしかしたら愛着障害なのかもしれないと感じました。

■大人たちが変わることで、子どもも変わっていく

愛着障害とは、お父さん、お母さんなど養育者との愛着が何らかの理由で形成されず、情緒や対人面に問題をきたす状態のことです。
乳幼児期に養育者と安定した愛着(愛着を深める行動)が絶たれることで、過度に人を恐れたり、逆に誰に対してもなれなれしくふるまってしまうといった症状が現れます。加えて、衝動的、反抗的、破壊的な行動がみられ、他人とうまく関わることができない傾向があるようです。

この愛着障害の場合は、周囲が適切に対応することで大幅な改善が期待できるとも言われています。

ご両親も「学校にもなじめない」とおっしゃっているので、わが子が何らかの問題を抱えていると理解はしているようです。

そのうえ、ご相談者様は、この子の兄も同じ状況だったが「2年生からぐっと変わった」と書かれています。

だとすれば、クラブの指導者や周りの大人たちが、すべてのことを受け入れてあげる態度で接してあげたら、その子は変わっていくでしょう。

■みんなで考えることで、ほかの子どもたちも育つ

小学校でも、そういう子がいるクラスや学校はいくつもあります。
見ていると、まわりの子どもがその子の世話をする日常が出来上がっているクラスは非常にうまくいっています。その子も落ち着いて過ごせるし、周りの子どもたちが大人になっていきます。

上手くいかないクラスや学校は、先生がその子の面倒をみてしまいます。そうすると、先生とその子の関係性のみになってしまい、クラスの輪の中に入れません。

「どうせできないし」と、他の子どもたちが相手にしなくなります。
「もういいから、先生のところに行けよ」とか、その逆で「いつも先生に助けられていいね。えこひいきされている」などと嫉妬の目を向けられたりして、友達との仲がこじれます。

よって、サッカークラブでも、この子とどうしたらうまくやっていけるかということを他の子どもたちと一緒に考えていきましょう。

「みんな、どうしたらいいかな?」

みんなで考えていくことで、ほかの子どもたちが育っていく。みんなが一緒に成長するには、その子がいることはチャンスだと思ってほしいのです。

そのためには、まず指導者が、その子は仲間なんだということを理解してもらって、みんなで楽しくするにはどうするかを考えさせることが重要です。

このことを発端に、さまざまな学びがうまれます。

例えば、こんなこともみんなで考えてもらえます。

ディフェンスをしていて相手に抜かれたときに「おまえのせいだ」と失敗を責めているだけで、うまくいきますか?

シュートを外したときに、「なぜ外すんだよ」と責めていて勝てますか?

カバーすることや助けあいを学べることは、サッカーというスポーツの大きな利点です。そして、このことを理解できないとサッカーがうまくできないということも、またひとつの真理です。

次ページ:子どもには楽しくサッカーをする権利がある

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文:島沢優子

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