楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

2019年6月 3日

サッカー協会暴力相談過去最多120件! 明治初期まで"子ども天国"だったのに...

■日本人が知らない、英国の体罰事情


かつて日本の子どもは自由を与えられ愛される存在だと驚きをもって欧米に伝えられた(写真はイメージです)

 

第二次世界大戦時の英国において、圧倒的なリーダーシップを見せた英国の名宰相ウィンストン・チャーチルが、学校体験を次のように回想しています。

「過激だった。校長は、月に二回ないし三回、全校生徒を図書室に整列させ、怠け者が二人の級長の手によって隣室へと引致される。そして血がダラダラ流れるまで、ムチ打たれるのである。その間、他の者は、彼らの悲鳴を聞きながら震えていた」

英国では、ごく最近ようやく体罰が禁止になりました。日本では英国がまるで教育先進国のように称えられましたが、それ以前の暴力にまみれた教育史がきちんと伝えられていないようです。

このように子どもが「罰を与えられる存在」だった欧州の人たちから、日本の子どもは自由を与えられ愛される存在であることが驚きをもって伝えられているのです。

では、江戸時代まで子ども天国だった日本の子育てや教育現場に、なぜ暴力(体罰)が持ち込まれたのか。

令和の日本に、「子ども天国」へ戻れる可能性はあるのか。

次回でお伝えします。

<< 前回 | 連載一覧 >>

高橋正紀(たかはし・まさのり)

1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜経済大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。
Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。

前へ 1  2

関連記事

関連記事一覧へ