JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2018年3月27日

40%が初心者でも戦術で対抗できる! 楽しんで続けられ、競技志向ではない生徒の受け皿にもなる部活とは

日本サッカー協会(JFA)グラスルーツ推進部の松田薫二部長が、あなたの街のサッカーチームを訪ね歩くこの連載。

東京都世田谷区にある東京都市大学付属高等学校のフットサル部には、サッカー未経験者が集まり、「みんなPlay」をモットーに多くの選手が試合に出場する環境を作っています。後編では、顧問の田中望先生のアメリカでの体験や選手達の声を聞きました。

3年前から、東京都市大学付属高等学校のフットサル部顧問を務める田中先生。小学生時代をアメリカで過ごした経験が、いまに生きているようです。(取材・文:鈴木智之 写真:鈴木智之、サカイク編集部)

(他のスポーツから転向した選手やサッカー未経験者も多い)

<東京都市大学付属高等学校フットサル部は以下の賛同パートナーです>

<<前編:サッカー未経験でも夢中になれる。試合に出られる楽しさから生徒が主体的に取り組むようになった高校フットサル部

■試合に出て自信を付けることが続けるモチベーションに

「私は小学校の頃にアメリカに住んでいたのですが、アメリカのスポーツ環境は競技志向とレクリエーションの棲み分けがはっきりしていて、シーズンごとに野球やサッカー、バスケットといったように、様々なスポーツを楽しむ環境がありました。どのスポーツでも試合に出るのは最低条件で、野球であれば毎回別の人間がピッチャーをやる。そのように、大人が導いていく環境でスポーツをしていた影響はあると思います」

それに――と田中先生は付け加えます。

「私自身、それほど上手な方ではありませんでした。うちのフットサル部の子たちと同じです。だからこそ、試合に出て自信をつけてもらうことで、フットサルを続けようという気になるんじゃないかと思ったんですよね」

松田部長はその話を聞いて「試合をやらないと楽しくないし、上手くならないですよね」と同意します。

田中先生はその言葉に大きくうなずくと「フットサルを教えるようになって、試合に出ることが上達に繋がるんだと実感しました」と付け加えます。

「モチベーションが一気に上がるので、取り組む姿勢も変わってくるんです。リーグ戦で相手よりスキルで劣っていることがわかったら、じゃあどうすればいいかと考えて練習をしています。東京都ユースリーグの前期は全試合ボロ負けで、20点位とられた試合もありましたが、上位と下位に分けて行われる後期リーグでは、1回も負けませんでした。相手チームはサッカー経験者ばかりでしたが、うちは頭を使ってプレーして『フットサルの戦術を使えば、対抗することができるんだ』と、自信を持ってやってくれました」

■未経験者が40% 行き場のなかった子どもたちの受け皿にも

東京都市大学付属高等学校のフットサル部には、フットサル、サッカーの未経験者が部員の40%を占めています。未経験者を指導する上で大切にしているのは「戦術をちゃんと教えること」だと言います。それは、次の理由によるところが大きいそうです。

「フットサルはコートが狭くて選手も少ないので、試合で起きる現象のパターンが限られています。つまりロジカルに、システマチックにプレーした方が有利に進めることができるスポーツなんです。プレーの判断基準を持って取り組むことで、そのプレーを評価して改善に繋げることができます。うちでやっている戦術はオーソドックスですが、上のカテゴリーに進んだときにも役立つような、ベースの部分に取り組んでいます」

高校からフットサルを始め、楽しさを感じた選手の中には、大学に行ってフットサルをやりたいというビジョンを持っている人もいます。


中学時代は文化部だったという伊藤大悟くん(高2)

中学時代、文化部に入っていた伊藤君は「フットサル部には友達に誘われて入りました。最初は難しいスポーツだなと思って、うまくいかなかったのですが、とにかく楽しかった。これだったら続けられるなと思ったんです」と笑顔を見せ、「フットサルの強い大学に入って、これからもフットサルを続けたい」と話してくれました。


東京都市大学付属高等学校は中高一貫校なので、中学生は中学最後の大会が終わると、高校の部活動に参加することが認められています。


野球部出身の田中敦基くん(中3)

中学までは野球部で活動し、高校からフットサル部に入った田中君は「高校の野球部は練習量が多かったので、他のことを経験したいなと思い、フットサル部に入りました。もともと小1から小6まで、昼休みにサッカー部の子たちと一緒にサッカーをやっていて、それが楽しかったんです。高校にフットサル部がなかったら、スポーツはやらずに塾に通っていたと思います。フットサル部は初心者でも入りやすかったですし、少しは試合に出してもらえると聞いたので(笑)。試合に出ると練習にも身が入り、やる気になります」と、日々、前向きに取り組んでいるようです。

近くで選手達のインタビューを聞いていた田中先生は「普段、直接聞ける話ではないので、インタビューをして頂いてよかったです」と言い「この子たちだけでなく、行き場がなかった子たちが、スポーツを続ける場所になっているのは、やっていてよかったなと思います」と目を細めます。

次ページ:学校教育の中でのスポーツとしてとても有意義

1  2

関連記事

関連記事一覧へ