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信念を曲げずに積み上げてきた指導とは?

平均点を高めるのではなく、どこか飛び抜けた武器を持たせて勝負に挑みたい

公開:2012年6月13日 更新:2012年6月19日

キーワード:8人制指導者育成

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U-12の公式戦が8人制となり1年が経ちました。ジュニア年代のクラブとして、全国的な知名度と実績を誇る、ディアブロッサ高田FC の川上弘仁監督とJSC CHIBA川島和彦監督に8人制サッカーやジュニア年代の指導ポイントなどについて、語っていただいた特別企画第3弾。今回もジュニア年代の指導者、保護者の方必見です!
 
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―昨年からU-12の公式戦が8人制になりました。大きな変化だと思いますが、1年が経ち、どのようなことを感じていますか?

 
川島:いま、全国の少年サッカーの強豪チームがなにを頑張っているかというと、『8人制をどう習得するか』だと思います。勝つために戦術を考えたり。そこに意識が向いているチームが多い気がするかな。
 
川上:そうですね。
 
川島:うちも全国大会出場を一生懸命狙ってはいるんですけど、だからといって選手を駒のように動かして、戦術のパターンを教えこむことはあまりしない。それよりも、ボールを扱う部分に特化する、その部分は昔から変わってはいないですね。
 
川上:「どうやったら8人制で勝てるんや」という視点で考えているチームは多い気がします。僕も実際、少しはそう思うこともありますし。たとえばJクラブと試合をすると、バンバン、ボールを回されることもあります。なので、どういうふうに戦うかをもう少し考えるというか、勝つための方法も考えないとあかんのかなと思います。前線からボールを奪いに行ったら、パスをつながれてかわされてしまう。じゃあ、どうしたらええんやろうと。去年1年間、8人制をやって感じたのは、選手が引いて、ブロックを作って守るチームが増えたのかなと。
 
川島:たしかに多いよね。最終ラインが一見、2人のように見えて、実は4人になっていたり。ボールを奪うと、外側の選手は上がっていくんだけど、基本的には最終ラインにボールが来るまでは待っている。ボールが来たら、2人でブロックを作って横パスのインターセプトを狙う。その動きを反復練習して、選手にすり込んでいるチームは多い。
 
川上:それは感じますね。
 
川島:8人制のいいところは、選手の能力の部分で劣るチームでも、1本いいパスが出れば、得点の可能性があること。相手の最終ラインでミスが1つあるとシュートまで行くことができるので、試合の勝ち負けという意味でも、チャンスはあるんですよ。失点をゼロにおさえれば、ワンチャンスで勝てるかもしれない。そうなると、試合の前提として「失点をしないこと」が重要になる。
 
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川上:自陣に引いて守るとスペースもなくなりますしね。たとえばJクラブを相手に前からボールを取りにいくと、パスを回されて、一気にゴール前に行かれてしまう。昨年の全少ではフロンターレ、レイソルと試合をしたのですが、前からプレスに行ったら、トントントンとパスを回された。個人的には前からボールを奪いにいって攻めたいんですけど、なかなかそうもいかない。だけど、引いてブロックを作って守って、1対0で勝ってもおもしろくないなとも思うし。そこはいろいろ考える部分ですよね。
 
川島:選手を見たときに、全体の平均点ではJクラブの選手のほうが上だと思うんです。だけど、1つや2つ、勝つための武器を身に付けさせることはできるんじゃないかと。そのひとつが、うちであればドリブル。だから平均点で勝負するんじゃなくて、どこか飛び抜けた武器を身につけさせてあげたい。相手チームのコーチが「あの選手のドリブルには気をつけろ!」と言うようなね。
 
川上:JSCと試合をするとき、Jクラブの指導者はよく言っていますよね。「あのドリブルだけはほんまに嫌や」って。
 
川島:武器を印象づけておいて、あとはそれをどう利用するか。それを持っていないと、いくら相手と駆け引きしても、自陣に引かれてブロックを作って守られてしまったらどうにもならない。何本パスを通しても、最終的には「ここに来るんでしょ」というところで待たれたら辛いよね。そこで、守備ブロックを打開できる武器を身につければ、相手も後ろで構えているわけにはいかなくなる。相手が警戒する武器を身につければ、勝負はおもしろくなりますよ。
 
川上:相手に「嫌やなぁ」と思わせたら勝ちですよね。そこでベンチから選手に「ドリブルにむやみに飛び込むな!」という指示が出る。
 
川島:そうそう。
 
川上:そこで飛び込まなくなったら、ある意味、勝ちです。それによって、相手が後手を踏みますから。こちらが主導権を握ることができる。
 
川島:守備を固めるにせよ、攻撃的に行くにせよ、どちらにしてもリスクはある。それならば、子どもも僕も攻めるのが好きだから、攻撃的にいきたい。「この部分では負けない」という武器を持つことが、勝つことにもつながるし、やっているほうもおもしろいと思う。
 
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川上弘仁監督//ディアブロッサ高田FC
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全日本少年サッカー大会・準優勝(2010年)、3位(2011年)と、近年の活躍は目覚しい。ドリブルを中心に、個人を磨く指導は全国的に有名。選手、随時募集中。スクールもある。
 
川島和彦監督//JSC CHIBA
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少年サッカー激戦区の千葉県でJクラブと対等に渡り合う力を持ち、好選手を輩出している。ドリブルに特化したスクール「ドリ塾」を定期開催するなど、あらゆるアプローチで選手育成を行なっている。
 
●川島監督作製・ドリブルDVD
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取材・文/鈴木智之、写真/鈴木智之・小川博久(2011全日本少年サッカー大会より)

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