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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

6年生で1人だけ区選抜のセレクションに行かせてもらえなかった息子。気持ちを切り替えさせるにはどうしたらいいの問題

公開:2025年6月25日 更新:2025年7月 9日

キーワード:コーチセレクションレベル差保護者疎外感秘密

息子以外の全員が区の選抜セレクションを受け合格してた。うちだけ寝耳に水......。その子たちの親にセレクションのことを聞くと「まだ結果出てないから」と。え? 無関係な私には話したくないってこと? 

その後試合の応援に行っても、セレクション受けた子たちとコーチで選抜チームのことを楽しそうに語ってる。息子も疎外感を感じていると思うし、私もママたちとの付き合いに悩む。というご相談をいただきました。

今回も、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに悩めるお母さんにアドバイスを送ります。
(構成・文:島沢優子)

 

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(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

 

<サッカーママからのご相談>

こんにちは。

地域の少年団サッカーチームに所属している小学6年生の母親です。

所属しているチームの6年生は、息子を含め7名なのですが、先日区の選抜チームメンバーのセレクションがあり、息子以外の全員がコーチの推薦でセレクションを受け全員合格したそうです。

寝耳に水のことでした。

息子に聞くとコーチから「キーパー枠しか空きがない、お前はキーパーやってないから受けさせない」と説明があったそうです。

合格発表後すぐの試合で、合格したママパパ達、コーチ陣が楽しそうに選抜チームの話が聞こえたため、1人のママさんに「セレクションあったんだね」と聞くと「まだ結果出てない」との返事でした。

無関係の人には話したくないという心理なのでしょうか。

その後も試合の応援に行っても6年生保護者とコーチ陣が選抜チームの事等で楽しそうに話しているとモヤモヤした気持ちになります。

正直息子は6年生メンバーで一番下手で、試合にも出られないことが多く、コーチからも声をかけてもらえていません。

選抜メンバーとの話しについていけず、疎外感を感じていると思うのですが、気持ちを切り替えて練習に気持ちが向くようにするにはどういった態度で接したらよいでしょうか。

また、チームのママさん達とのつきあい方についてもアドバイスをいただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

 

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<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

コーチの推薦で区の選抜に6人も合格するのですから、所属しているチームは区の中でも強豪で、コーチもそのエリアではなにかにつけ影響力をお持ちのようです。

6年生7人中ひとりだけ選抜メンバーではなく、試合にも出られない状況ということで、お母さんが辛くなっている状況が手に取るように伝わってきます。

私から四つアドバイスさせていただきます。メンタルが落ちている状態では、他人のアドバイスが腹落ちするのは難しいかもしれませんが、時間をおいてからでもいいので以下を読んでみてください。

 

■アドバイス①まずはお子さん本人が「これからどうしたいか」を確認

1つめ。

お母さんはとても落ち込んでいますが、息子さんの気持ちはどうなのでしょうか。

ご相談文に「選抜メンバーとの話しについていけず、疎外感を感じていると思うのですが、気持ちを切り替えて練習に気持ちが向くようにするにはどういった態度で接したらよいか」と書かれています。

これは、疎外感を感じていて「練習や試合に行きたくない」と息子さんがおっしゃっているのでしょうか? それで、お母さんは「気持ちを切り替えて再び意欲的に練習に取り組むにはどうしたらよいか?」と尋ねられているのか。それとも、あくまでお母さんの推測に過ぎないのか。そのあたりがわからないので、お話しするのが難しいなと思っているところです。

しかしながら、1人だけ試合に出してもらえない状態は、恐らく今に始まったことではないように思います。息子さん自身、自分がみんなより技術の習得などがちょっと遅れている自覚はあったのではないでしょうか。一度、本人に「これからどうしたいか?」と尋ねてください。その答えによって対応を考えてはいかがでしょうか。

まず1つの可能性として、練習に来たくないと後ろ向きになっているのなら、その気持ちを認めてあげてください。前向きになって頑張れと言うのは押し付けです。もし行きたくないというところまで来ているのであれば「いやなら行かなくてもいいよ」と言ってあげてください。

もう6年生なのでここからチームを移るのは難しいかもしれないので、例えばスクールに行く程度にして「また中学になったらサッカーすれば?」と話してみてはいかがでしょうか。無理強いは一番よくありません。

もう1つの可能性として「ああ、やる気なくすなあ」と思ってはいるけれど、チームをやめるとかサッカーをやめるほどではないかもしれません。であれば、親の出番はありません。例えば「へえ、そうなんだ、じゃあ、まあ頑張ってね」くらいで終わらせればいいかと思います。

 

■アドバイス②親の「割り切り」も大事、本人の自己決定力をつける経験を優先しよう

2つめ。

文章を何度も読み返しましたが、サッカーの試合に出られないのは息子さんの問題であり、お母さんの課題ではありませんよね。

ご相談文で「気持ちを切り替えて練習に気持ちが向くようにするにはどういった態度で接したらいいか」とあるのは、少しでも息子の役に立ちたいという気持ちからお尋ねになったのだと思います。

ただ、もう12歳という前思春期に入り、あと数か月で中学生になる息子さんに、母親がそこまで影響力を持つとは私は思えません。

嫌なものは嫌だし、このチームでサッカーをやるかやらないかを選ぶのは息子さんです。嫌な練習を前向きに臨ませる策を練るよりも、「僕はこうしたい」という自己決定力をつける経験を優先しませんか。

そのためには、お母さん自身が「割り切る」ことを学んでください。冒頭で申し上げたように、息子さんの力よりちょっと上のレベルのチームに入ってしまったようです。

それに、最近の少年サッカーは、全員を試合に出場させ平等に扱うチームも増えてきてはいます。ただ、息子さんとお母さんが選んだチームはそうではないのかもしれません。

ただ、チームのやり方やコーチのありようは、お母さんの力の及ばないものです。降り出した雨を止められないのと同じで、自分の力ではいかんともしがたいことは割り切ることです。サッカーをするのはお子さん自身ですから、本人に任せればよいのです。

 

■アドバイス③抗議することが子どもにプラスになる?「親の出番」を間違えないようにしよう

3つめ。

2つめの「割り切る」に関連することですが、「親の出番」を間違えないようにしましょう。コーチから暴力やハラスメントがあったのなら、そこは親の出番です。断固抗議し、しかるべきところに通報するなど動かなくてはなりません。暴言についても同様です。

よって、今回のこの選抜セレクションを受けさせてもらえなかったことが親の出番かどうかと問われると、そうではなさそうです。

息子さんに対して「枠がキーパーしかないから」と受けさせなかったことに対し「7人いるのだから1人だけ受けないのは疎外感を深めるので、受けさせるだけでもできなかったのでしょうか?」と抗議することもできます。

ただ、抗議することで息子さんにプラスになるかどうかと考えれば、ゼロのような気がします。

  

次ページ:疎外感を抱いているのはあなたでは? チームメイトの親は......

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構成・文 島沢優子

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