蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2025年4月16日

週何回行くべき? 自主練習は何をしたらいいの? サッカーの「習い方」がわからない問題

■手取り足取り教えてもらう「習い事」ではなく「好きで楽しむもの」と心得るほうが上手くなる


(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

3つめ。

サッカーなど、スポーツは「習い事」ではないと心得ましょう。相談文に「どういう習い方が一番いいのかが全くわかりません」とあり、最後に「おすすめの習い方があれば教えて」と書かれています。

始める入口は特に大人に基礎的なことを教えてもらう場面は多いでしょう。とはいえ、サッカーは上達するために人から習うものではありません。楽しくて夢中になっているうちに知らない間に上手くなっている。そのようなとらえ方をしてください。

私がつくった本で『サッカーで子どもの力をひきだす 池上さんのことば辞典』(カンゼン)という書籍があります。この本は、8万部のベストセラー『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(小学館)の著者である池上正コーチが監修し、私が書いたものです。

サッカー関連の「ことば辞典」で、「ドリブル」とか「パス」といったよくある言葉を、本質をつく視点で解説しています。そして、その中に「習い事」も載っています。一部抜粋してご紹介します。

 

「サッカーは習い事です」
 そのように話す保護者や子どもが非常に多いです。スクールやスポーツクラブなどに通わせている方は、月謝を払っているからでしょうか。月謝を払っているからには上手くなってもらいたい。それでなくてはお金がもったいない。そのようにとらえられています。このことは、ずいぶん以前から非常に気になっています。

反対に、私はサッカーは「遊び」だと思っています。「スポーツ(sports)」の語源は「遊び」です。技術を習得したり、上手くなりたい、試合に勝ちたいといった気持ちはもちろん大事ですが、小学生ではそれらはすべて遊びだと考えてほしい。

 ところが、保護者や指導者が過度にわが子に期待して力が入ってしまうと、子どもは練習や試合のたびにストレスを感じるようになってしまいます。遊びだと思っていないので、出来栄えや結果が気になって仕方ありません。大人たちの顔色、もっとエスカレートすると、仲間の顔色までうかがうようになります。
(中略)
「サッカーは習い事じゃなくて遊びだよね」
 親子とも、そのように考えられるほうがもっと上達します。

出典:『サッカーで子どもの力をひきだす 池上さんのことば辞典』(カンゼン)

 

いかがでしょうか。

どうか、サッカーを楽しむ、好きになるということを第一に考えてあげてください。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。

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