蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2023年9月20日

チームの中で浮いている!?超マイペースな息子。サッカー辞めさせるか悩みます問題

■アドバイス③子どもが居心地のいい「次の場所」を親子で一緒に探そう


(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

三つめ。

子どもが居心地のいい「次の場所」を一緒に探しましょう。

「チームに迷惑をかけるのでは、とチームメイトのお母さんの顔が浮かんだりも」とありますが、どんな迷惑なのかここはちょっと理解しかねました。ほかにも「下手だしみんなサッカーをしに来ているのに関係ない話で輪を乱す息子に、保護者の皆さんの対応も冷たい」と書かれています。他の文章も併せて読むと、息子さんは他の子どもより少し幼いのかもしれません。

私の息子も似たような子どもだったので、それなりに理解できます。私も相当悩みました。しかし、浮いている子は、そんなに悪い子でしょうか?

個性を大事に。
多様性を認めよう。
子どもは社会全体で育てよう。

そんな美しい言葉を口にしながら、私たち日本人は個性や多様性の重要性を芯からまだまだ理解していません。自分たちがそういう大人に育てられていませんから。

そこを踏まえ、息子さんが何かそういった特性のある子どもであるのなら、彼が傷つかない環境に置くことを親として考えませんか? サッカーが下手で輪を乱すから冷たくする大人がいる場所に、子どもを置いたままではいけません。

お母さんは息子さんのことを非常に細かく観察されているようです。ゲームの話や得意な難しい算数の話をする。パソコンが得意。サッカーは下手かもしれないけれど、息子さんには将来の可能性を大きく広げる才能がたくさん備わっているように見えます。とても楽しみな息子さんではありませんか。

彼が得意なこと、好きなことで力を発揮し、楽しめるもの。居心地の良い場所を一緒に探してあげてください。その場所がサッカーの代わりになれば何ら問題はありません。

息子さんの未来は輝いています。そのことを一番信じてあげられるのはお母さんですよ。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。

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