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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

プロになりたいなら楽しくサッカーするな! と言うモラハラ夫を改心させたい問題

公開:2022年9月21日 更新:2022年9月22日

キーワード:ストレスモラハラモラルハラスメントワールドカップ子どもの夢心理的虐待説教

ワールドカップを見て「サッカー選手になりたい」と言い出した息子の夢に乗っかる父親。やる気が見えないと怒り、試合の結果が悪いと帰りの車で数時間説教。プロにするために24時間スケジュールを管理して、個人レッスンを付けたいとも。

サッカーを頑張る息子を応援したいけど、夫の感覚にはついていけない。モラハラな夫をどうにか改善できる? とのご相談をいただきました。

スポーツと教育のジャーナリストであり、「スポーツ暴力・パワハラ相談窓口相談」の相談員も務める島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとにお母さんとお子さんを守るためのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<夫から本気過ぎると指摘され......息子のサッカーにはまり過ぎなの? 問題

 

<サッカーママからのご相談>

初めまして、いつも楽しみにしています。学びや、気づきをありがとうございます。

今回相談させていただきたいのは、偏った考えをもつ夫についてです。

年中からサッカーをしている小4(10歳)の息子がいます。年長の頃にTVでワールドカップを観て「サッカー選手になりたい!」と将来の夢を話すようになりました。

その言葉を聞いた夫が、自分もその夢に乗っかる感じで行動を始めました。「プロサッカー選手を目指すなら楽しいサッカーはするな!」と言い始め、幼稚園サッカーにもかかわらず、目立っていなかったりガツガツしていなかったら愚痴と嫌味が始まりました。

自分の思い通りにいかないと、怒りが込み上げてどうしようもない状態になるようです。オンオフもほとんどなく、低学年の頃は試合後に 結果が悪いと車で数時間説教されながら帰宅するのが定番になっていました。そのたびに夫婦喧嘩も始まってしまいます。

夫は、24時間スケジュールを管理して、個人レッスンを付けてプロにさせたいんだと強く思っています。そして、やる気が見えないプレーをしたときは「やる気がないならサッカー辞めれば!」 と嫌味と愚痴が長々と始まります。

「プロサッカー選手になる人間は、いつもがむしゃらで、なんでも夢中になる人間なんだ! 気持ちが落ち込んで動けない人間はプロにはなれないから辞めちまえ!」 という理屈らしいです。子どもはただじっと申し訳なさそうに話を聞いています。息子は何も悪くないです。

サッカーを始めたきかっけは、人とのかかわりが苦手だったのもあり、仲間と一緒に楽しみを味わってもらいたいと いう思いから始めたものでした。

こんな状況ですが、息子自身はサッカーは大好きです。レギュラーにも選ばれ活躍しています。ただ、練習や試合中仲間とコミュニケーションが取れず、そこはコーチや監督に指導されています。人とかかわることが苦手なことは変わっていません。

サッカーを一生懸命頑張る息子を応援していますが、夫の感覚にはついていけません。

私はモラハラに感じており、とても深刻な問題だと感じています。こんな夫をどうにか改善できますでしょうか。息子のためにも何とかしたいと思っています。

アドバイスのほどよろしくお願いいたします。

 

 

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

最悪に事態になる前にご相談いただけて本当に良かったと、胸をなで下ろしているところです。お母さんがお父さんのミステイクに気づいているのと、そうでないのとでは、息子さんが受けるストレス量が変わってきます。

今現在、息子さんがサッカーが大好きで頑張れているのは、お母さんの理解と励ましのおかげかと思います。ぜひ、お父さんから浴びるストレスの盾になってあげてください。

 

■お父さんの言動は、見方によっては虐待。しつけや教育ではない

さて、お父さんの息子さんに対する言動は、見方によっては児童虐待になります。児童虐待の定義は、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、殴る、蹴るなどの身体的虐待や、性的虐待だけでなく、心理的虐待やネグレクトが含まれます。

いただいたメールを読んでいくと、「やる気がないならサッカー辞めれば!」をはじめ、「○○ができないのならサッカーをやめろ」というパターンが散見されます。これらは「言葉による脅し」です。他の言動を鑑みても、常に緊張を強いられる状態がうかがえます。つまり、お父さんの言動はおしなべて心理的虐待にあたると思われます。

これらを、お父さん自身はもしかしたら「しつけ」や「教育」ととらえているかもしれません。しかし、執拗な否定、感情に任せた理不尽な怒号など、すべて息子さんに対する行き過ぎた懲戒です。

この「懲戒」について、お父さんにまずは理解を求めてみましょう。

 

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■民法でも保護者は子どもの心身の健全な発達に配慮しなければならないと決められている

民法820条では、親権者は「子の利益のために」子の監護・教育を行う権利を有し、義務を負うと定められています。2011年改正以降の現行規定では、懲戒権についても「子の利益のための監護・教育に必要な範囲内で」行うべき旨が明記されました。

ところが、この「子の利益のための監護・教育に必要な範囲」は、それぞれの主観による部分が大きく、ハラスメントを正当化する材料になるとの懸念は強く言われていました。このため、政府は懲戒権の削除を含む民法改正の要綱案をベースとして、今秋以降の臨時国会での成立を目指すとしています。

それに加え、同案には親権の行使に関して以下の文言が記されています。

「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、子の年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」

最後の「子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない」をぜひ訴えていただければと思います。

 

■状況は深刻 ひとりで抱えず周囲に頼ったり、専門家の力も借りることを考えて

ただし、お父さんへのこのような訴えを、お母さんひとりでしてはいけません。まずは周囲に助けを求めてください。家族の中の問題で片付けない、ひとりで抱えてはいけません。例えば、お母さんの兄弟姉妹、実のご両親らに助けを求めてください。ほかには、クラブ内で信頼できるコーチと一緒に、お父さんに話すことができればと思います。

そして、もうひとつのSOSは、子どもに関する相談窓口です。市区町村には子育て支援センターがあります。こちらに対面で相談できれば、地域の機関ですし話しやすいかもしれません。

ほかにも、「児童相談所虐待対応ダイヤル」にかけると、近くの児童相談所につながります。通告・相談は、匿名で行うこともでき、通告・相談した人、その内容に関する秘密は守られます。(児童相談所虐待対応ダイヤル=189)

私が相談員として参加している「スポーツ暴力・パワハラ相談窓口相談」もあります。こちらは、「日本スポーツマンシップコーチング普及コミュニティ」が運営しており、ケースによって相談者の希望があれば弁護士さんからの助言も得られます。

「児童相談所とか相談窓口なんて大げさだ」と思わないでください。お母さんが「深刻」と書かれたように、私も状況はとても深刻だと感じます。

なぜならば、お父さんにお母さんからの意見に対し、今のところ聞く耳を持っていません。

妻への強いモラルハラスメントもうかがえます。そして、息子さんが5年生、6年生と前思春期の期間に入れば、自我が芽生えてきます。つまり、お父さんからの暴言によって、今よりも傷つきやすい年齢になります。

この主たる3つの理由を考えると、早急の環境改善が必要だと考えます。

 

 

次ページ:父親によって破壊されつつある子どもの自己肯定感をどう取り戻せるか......

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文:島沢優子

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