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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

グイグイ行かない消極的な息子にイライラするのよ問題

公開:2022年4月13日

キーワード:エースコーチレギュラー周りを見る小学生性格積極的空気を読む

息子のサッカーの成長が停滞。以前はエースだったのに、今はがつがつボールに向かわず周りを見る姿勢に。積極性がないと思われているのか、レギュラーを外されることも。

中間子で空気を読むのが上手な子ではあるけど、サッカーの技術を磨いてもメンタルが向いてないとレギュラーになれないの? 親としてどうサポートすればいい? と悩むお母さんからのご相談。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんがお母さんにアドバイスを送ります。どうして子どもにサッカーをさせているのか、今一度考える機会になるのでぜひ参考にしてください。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<やらないなら出て行けと5歳児に言うコーチに腹が立ちます問題

 

<サッカーママからのご相談>

こんにちは。 この2年ほどずっと息子のサッカーが前に進まない感じなのでご相談させてください。

子どもは幼稚園からサッカーをはじめ、1年生まではエース級でした。しかし、2年生くらいからがつがつボールに向かって行くというよりは周りを見るようになり、どちらかというと仲間がボールを持っているなら自分は見守るという姿勢に変わりました。

仲間にぐいぐい行く子がいないときには自分が行くし、ポジションがフォワードになれば点も決めるのですが、コーチには積極性がないと思われているのか、最近ではレギュラーから外されることも出てきました。

いくら技術を磨いても、メンタルもサッカー向きにしていかないとレギュラーにはなれないということなのでしょうか。相談の子は3人兄弟の真ん中ということもあり、空気を読むのが1番上手だと思います。

性格の問題なので、自分がその評価を悔しいと思うなら自ら変わるのを見守るべきなのか、親として何かできることはあるのか、悶々とする日々です。

 

 

<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

子どもが試合に出られないと、親はつらいですね。中学、高校では競争が生まれてきますが、小学生時代は楽しくサッカーをやって欲しいものです。

「親として何かできることはあるのか?」と質問されていますが、これが「息子がレギュラーに返り咲くために、親にできることは何か?」と尋ねられているのでしょうか? であれば、特に何もないと答えるしかありません。親の対応によってレギュラーになれるわけではないからです。

 

■周りを見れるということは、サッカーを正しく認識している

お母さんは、お子さんがレギュラーになれないのは「性格の問題」とおっしゃっていますが、お子さんの性格には何の問題もなさそうです。そのあたりはご相談文だけではジャッジできかねますが、私にはこれから楽しみな子に見えます。

がつがつボールに向かって行くというより周りを見るようになったのは、とてもいいことです。低学年はボール目指してワッと集まりがちですが、「仲間がボールを持っているなら自分は見守るという姿勢」があるのはサッカーというスポーツに対する認識が正しい方向に進んでいる証のように見えます。

みんながボールに集まるのではなく、広がって、スペースをつくることがサッカーでは重要だからです。母さんが書かれているように「仲間にぐいぐい行く子がいないときには自分が行くし、ポジションがフォワードになれば点も決める」のなら、何の問題もないでしょう。逆にうまく成長している気さえします。

がつがつと自分でドリブルばかりしている子を起用するコーチばかりであれば、そのチームはもしかしたら試合や大会に勝ちたいだけなのかもしれません。しかし、高学年になるにつれて、ひとりでがつがつドリブルでいっても崩せなくなります。

チームのためにバランスをとろうとしている息子さんをぜひ認めてあげてください。間違っても「がつがつ行かないとレギュラーになれないよ」などと言ってはいけません。

 

■何のためにサッカーをさせているのか、いま一度考えてみよう

そもそもお母さんは、息子さんに何のためにサッカーをやらせていますか? なぜ応援しているのでしょうか? そこをまず考えてみましょう。

私は、小学生時代はやっているスポーツの面白さや楽しさを味わうのが一番重要だと考えます。レギュラーになることよりも、子どもがサッカーを楽しむために親がどう寄り添えばよいか。それについて三つほどアドバイスさせてください。

 

■アドバイス(1)親が気にしすぎたり焦らないこと

ひとつめ。
サッカーの育成や技術の習得について、お母さんがどの程度知識をお持ちかはわかりませんが、「サッカーをするのは息子である」ということを意識してみましょう。

例えば、息子さんが「一年生まではエース級」だったのに、今はレギュラーから外されていることをお母さんは気に病んでいらっしゃいます。私への質問が、技術があってもメンタルがサッカー向きでないとレギュラーになれないのか? と焦りが見られます。お母さんが気に病んだり、焦ってしまうと、息子さんにとって逆効果です。

 

■アドバイス(2)子どものサッカーに入れ込みすぎない

「試合に出ないと応援してもらえない」と、強いストレスを与えることになります。親御さんのなかには、「試合に出られないのならやめてしまえ」などと抑圧して子どもが発奮するのを待つとおっしゃる方もいますが、間違ったやり方です。実は、わが子が試合に出られない状況に親のほうが耐えられないだけです。そのため八つ当たりしているように見えます。

そうならないためには、親が子どものサッカーに入れ込み過ぎないこと。これがふたつめです。応援するのは悪いことではありませんが、彼のサッカーをみる視点を変えてください。勝ったか負けたかを一緒に喜んだり、悔しがったりしてもよいのですが、どこか冷静さを保ってください。

 

■アドバイス(3)現状を悩みそうになったら「子どもには未来がある」と思い出して

そこで三つめ。

冷静さを保つには、どんなマインドセット(心の持ち方)にすればよいのでしょうか。現状をあれこれと思い悩みそうになったときは、子どもには未来があることを逐一思い出してください。

競技は違いますが、メジャーリーグで奮闘している大谷翔平選手は最近流れているCMでこう言ってます。

「そのとき上手くないってことは、それほど大事なことではなくて、その先どれだけ上手くなるか。いまだに僕はピークではないですし。今負けていたとしても、これから先勝っていけばいいことです

今ではない、これから先にどう成長していくか。それが大切だと考えたら、小学生の今、レギュラーでないとか、そんなことが些末なことに思えてくるはずです。

 

次ページ:答えを親が出してはいけない

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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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