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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

月謝を払っているのにスクールコーチが何も教えてくれません問題

公開:2022年1月26日

キーワード:Jクラブクラブチームスクールスポ少指導月謝養分

Jクラブのスクール入会時、「選手コースはビシビシやるけど、スクールは楽しくやっている」と方針説明があった。それでも上手くなりたくて入会したけど、何も教えてくれない。

スクール生はただの養分なの? 人によっては選手コースより高い月謝を払っているのに教えてもらえないのは不憫で......。と嘆くお母さんからのご相談。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<威嚇するS級コーチのもとに卒業までいさせていいのか問題

 

<サッカーママからのご相談>

うちの子(12歳・小6)はJクラブのスクールに通い、チームはスポーツ少年団でやっています。

少年団の練習プラスでもっとサッカーが上手くなりたいという気持ちからスクールに入る事にしました。

スクールに入る時に、スクール担当の元プロのコーチが言った「スクールは緩く楽しくやっています。選手コースはビシビシやってます」という言葉に残念に思いましたが、上手くなりたくて目的を持って入りました。

しかし「コーチは何も教えてくれない」と息子は残念がっております。親から見てもスクールと選手コースへの熱意が違うのが明らかです。

月謝を払って通っている、ましてコースによっては選手コースよりも高い月謝を払うにも関わらずその様な対応に疑問に思います。

ただの経営の為の金集め? なのかと思うと上手くなりたくてスクールに入ってる息子が可哀想になります。

近くにスクールがない田舎なので選択肢がなくて悩んでます。どうしたらいいでしょうか。

 

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談いただき、ありがとうございます。

最初に断っておきます。私はこれからお母さんに若干厳しいことを言います。

 

■最近は教え込む指導をしなくなっている

「コーチは何も教えてくれない」と息子は残念がっていて、親から見てもスクールと選手コースへの熱意が違う、と書かれています。これは恐らく、その通りなのでしょう。

実は現在の少年サッカーの指導は、まだ過渡期です。ひと昔の手取り足取り教えこんでコーチが指示したようにプレーさせるのではなく、「自分で考えさせる」「子どもの選択を尊重する」という新しい考え方への転換が見られます。

ただし、自分で考えさせるにも、ベースの部分を与えて、そこから一緒に考えていくかたちがよいのですが、その過程を飛び越えて「自分で考えろ」と放置してしまうケースもあるようです。もっと学んでほしいなと思うのですが、そのあたりが成熟していないようです。

若いコーチでも自分で学んだり、良い師に恵まれて参考にしている人もいますが、多くは自分が教えられたように教えてしまいます。

 

■子どもの伸びる時期はそれぞれ、もっと長い目でみるようにしよう

その逆で、子どもが楽しくプレーしてサッカーを好きになってもらうことを第一に考えながら、問いかけて考えさせる指導をしているコーチも多数いらっしゃいます。

そのひとりで首都圏のスクールやクラブで指導するコーチは以前、親御さんたちから「スクールでドリブルを上手くしてほしい」と要望を受けたり、「入れたのにちっとも伸びない」とクレームがあることを嘆いていました。

そして「子どもが伸びる時期はそれぞれで、スクールに通い始めるとすぐにうまくなる子もいれば、もっとあとになって技術の向上が見られる場合もある。長い目で見てほしい」とも話していました。

 

■「教えてくれないと上手くなれない」という考えでは成長できない

お子さんが通っているJクラブのジュニアコーチが単に放置しているのか、楽しくサッカーをしながら子どもの成長を見ているのかは私もわかりません。ただ、ひとつ言えるのは、「コーチが何か教えてくれないとうまくなれない」と考えてしまうと成長できないということです。サッカーにしてもほかのスポーツにしても、指導者は環境を整えるためにその場にいると考えてください。

親御さんのほうが「うまくしてくれない」「熱心に教えてくれない」と、相手に何か求めるばかりでは、お子さんも「僕がうまくならないのはコーチのせいだ」と思うようになるかもしれません。しかも「上手くなりたくてスクールに入ってるのに可哀想」とお母さんが思ってしまうと、子どもは余計に他罰的になります。

「選手コースはビシビシやってます」と話したようですが、思わず本音が出たのでしょう。「ビシビシ」の意味はわかりませんが、もしかしたら全国優勝するためとか、プロにするためにビシビシ鍛えています、ということかもしれません。クラブ側は「スクールは緩く楽しくやっています」と最初に説明しているのですから、「何も教えてくれない」と言ってしまうのは少し違うかなと思います。

こう話すと、島沢さんはJクラブの肩を持つのかと感じるかもしれませんが、そういうことではありません。

 

■今の状態は「高いお金を払って塾に行かせているのに成績が上がらない」と嘆くのと同じ

私は、お母さんに「親子ともに受け身のままでは、良いことは起きませんよ」と伝えたいのです。誰かに何かを期待する。教えてくれるのを待っていては、サッカー以外の勉強にしろ、どんなことも伸びていくことはできません。

お母さんは月謝を払っているのに、と書き、費用対効果の低さを嘆いています。これは高いお金を払って塾に行かせているのに成績が上がらないと嘆くお受験に熱心なママたちと似ています。また「選手コースよりも高い月謝を払うにも関わらず、その様な対応を疑問に思う」とのことですが、選手コースの子どもはある程度ふるいにかけられていて、活躍をクラブから期待されている。そのために特別な料金設定になっているとも考えられます。

ただの経営の為の金集めだったとして、それを私たちが論じても、クラブ側が決めることなのでお母さんの力では何ともなりません。自分の力の及ばないところはばっさり切り捨てる。そして自分と向き合う。相手に変わって欲しいと念じるよりも、自分たちが変わったほうが絶対に効率的です。これはスポーツ心理学でもよく言われることです。

ここはアッサリと「受け身では何も解決しないよね」と、親子ともに思考を180度変えてみてはいかがでしょうか。

 

次ページ:払った金額の見返りを期待するより、子どもを伸ばすために意識したいこと

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文:島沢優子

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