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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

移籍する子が続出しチームが崩壊。親はフォローできるのか問題

公開:2021年4月14日

キーワード:AチームBチームクラブチームチーム崩壊チーム移籍対談少年団萎縮

少年団だけど、低学年の頃はテクニックに恵まれたメンバーばかりで大会も優勝か準優勝。みんなキラキラ楽しくサッカーしていたのに、クラブチームに移籍する子が出始めてチームが崩壊。

Aチームの子が退団したらBチームから補充するけど、レベル差があってAチームの子たちが受け入れられず、失敗に罵倒したり仲間同士信頼しあってない。チームに失望して去っていく人も続出......。残された者たちであと2年サッカーを楽しむために、どうすればいい? とのご相談をいただきました。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<もっと真剣にサッカーして! 仲間との温度差に悩む息子をどう支えるか問題

 

<サッカーママからのご相談>

はじめまして。9歳の子どもを地元の少年団に通わせています。

低学年の頃は、向上心も強く、テクニック共に恵まれたメンバーばかりで、大会は優勝もしくは準優勝と、みんながキラキラと楽しくサッカーをしていたように思います。

しかし、中学年になって、Jクラブの育成組織や強豪クラブチームに移籍する者が出てきたころからチームが崩壊しだしました。

残された子たちで新たにチーム作りをするはずでしたが、現実は......。

上手いAチームの子が抜ければ、Bチームからの補充となるのですが、今までいた子との実力差があるので、Aチームのメンバーが補充メンバーを受け入れられず。

仲間を信頼し合わないサッカーとなり、失敗に対して罵声がとんだり、言われた子は萎縮して思うように動かず自信をなくし再びBに落ちる......。

そんなチームになってしまいました。

誰もが楽しんでサッカーをしていない状況となり、このままこのチームにいたらダメになると、チームを去って行く者が多発し、完全に崩壊してしまいました。

こういう状況を作ってしまったコーチへの不信感もありますが、残された者達で残り2年間サッカーを楽しんでいくために、どう親はフォローをしていけばいいのでしょうか?

 

 

<島沢さんのアドバイス>

ご相談のメールをいただきありがとうございます。

いただいた相談文からしか類推できないので、事実の把握が100%合致しているかはわかりません。そのあたりはお許しください。

 

■勝つ=楽しいという価値観だと、負け始めると崩壊することも

ご相談文を読んで最初に思ったのは、勝利を優先してきたチームにありがちな「歪み」だということです。

「低学年の頃は、向上心も強く、テクニック共に恵まれたメンバーばかりで、大会は優勝もしくは準優勝」とあるように、息子さんの学年のチームは早熟な子がたまたま集まっていて、1、2年生の大会では勝てたのでしょう。似たようなケースはよく見受けられます。

お母さんが「みんながキラキラと楽しくサッカーをしていた」と書かれているように、結果としてチームは勝利することで子どもをサッカーにつなぎとめていた傾向がありそうだと感じました。

もしそうであれば、選手もコーチも「勝つこと=サッカーが楽しい」という価値観なので、負け始めるといとも簡単に「負ける=サッカーが楽しくない」に移行してしまいます。

 

■Aチーム、Bチーム同等のほうが脱落したり辞める子がいなくなる

私が少年サッカーを取材する中で、上記のことを理解しているコーチの方々は、自チームが低学年の大会で優勝したり勝ってしまうと危機感を募らせていました。お母さんの息子さんのチームのようなことが起きることを経験上知っているからです。

例えば、Aコーチは、中学年まではなるべくチームをA、B同等にして大会に出場させるなど工夫していました。そのほうがチームの底上げになるし、脱落したり、辞める子もいなくなるからです。彼がそのように「4年生までAB同等」にしたのは、その数年前に3年生の途中でチームを去ったB君のことがあったからです。

B君は3年生のはじめに入団。少し太っていましたが、頑張り屋さんでした。ただ、多くのチームメイトが1年生からサッカーを始めていたので、止める蹴るの技術の上達が少しみんなより遅れていました。試合には、チームがリードしていれば終わりごろに少し出場させる。それでもB君は満足しているだろうとAコーチは勝手に思っていました。でも、B君は3年生の秋くらいに突然チームをやめてしまいました。

「試合にはほとんど出ていないので、ユニフォームがもったいないので使ってください」と母親から返されたAコーチですが「そのときは、まあ仕方ないか、サッカーにはまらなかったんだな」と思ったそうです。

 

■全員出場のクラブで見違えるように成長

ところが3年経って、子どもたちが6年生になったある日。

他市も含めたカップ戦で、子どもたちが「あれ、B君じゃないの?」と騒ぎ始めました。背が高くなり体も締まって、足も速くなっていました。見違えるようにキビキビと動くB君はセンターバックを務め、危機察知能力が高く、チームのピンチをことごとくカバー。しかも、その腕にはキャプテンマークを巻いていました。

あとで聞いた話では、チームをやめたB君はスクールでサッカーを続行。半年後に転校した先で民間クラブへ入団。そのクラブは全員出場させて、とてもいい指導だという評判のクラブでした。

Aコーチは打ちのめされ、指導やチームの運営方法を見直しました。

 

■子どもは勝つための駒ではない

いかがでしょうか。

お母さんはこのチームのやり方しかご存じないかと思います。「上手いAチームの子が抜ければ、Bチームからの補充となる」と書いていらっしゃいますが、子どもは勝つための駒ではありません。

このやり方では、「今までいた子との実力差がある」のは当然です。だから、先述のAコーチは中学年まで同じ力でチームを編成したし、そのようなことを理解しているクラブは常にチーム編成を変えるなどして底上げを図っています。全員をうまくしようと努力しているのです。

 

■補充メンバーを受け入れられない状況にしているのは指導者の責任

それなのに「Aチームのメンバーが補充メンバーを受け入れらない」状況にしてしまっているのは、やはりコーチの責任でしょう。低学年のわずか1年か2年の間で勝ったり負けたりすることに意味があるかどうかを考えなくてはならないと思います。

お母さんはこの状況をおかしいと感じて、ご相談してくださったと思います。

何とかしたいという思いはよくわかります。「残された者達で残り2年間サッカーを楽しんでいくために、どう親はフォローをしていけばいいのか?」と問われていますが、ピッチで起きていることは指導者と選手の問題です。酷なようですが、ギスギスした関係が続き、そのことをコーチが問題にしない状況を親御さんが改革するのは無理でしょう。

できるとしたら、お母さんがそのような不安を抱えていることを、コーチの方々や他の保護者と腹を割って話すことです。より良いチームにしていきたいことを訴えてはいかがでしょうか。ただ、残念ながら「保護者に意見されて考えを変えました」とおっしゃる少年サッカーの指導者を私は知りません。この世界を取材し始めて15年以上経ちますが、世の中的にもそう多くはない現状があるように感じます。

  

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文:島沢優子

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