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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
試合が多いため毎週の遠征費が家計を圧迫。移籍させたい問題
公開:2020年6月23日 更新:2020年7月 7日
少年団でサッカーを始めた息子を応援したいけれど、試合や遠征の交通費など思いのほか出費が多く経済的に余裕がない。
息子はチームもサッカーも大好きだから、経済的な理由で移籍してほしいと説明できず困ってる。と悩むお母さんよりご相談をいただきました。チームに入ってみたら、思いのほか出費が...... というのを経験したご家庭も少なくないのでは。
今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとに、お子さんへ寄り添う気持ちを伝える言い方などをアドバイスしますので参考にしてください。(文:島沢優子)
<<強豪校に行った兄を追って伸び悩む弟を前向きにさせたい問題
<サッカーママからのご相談>
こんにちは。子どものサッカーのことで相談させてください。
息子(9歳)が少年団でサッカーを始めました。
少年団に入ってから、土日、祝日のほとんどが試合です。試合の多さにも驚いていますが、試合会場が毎回遠く、練習試合等でも車で一時間半~2時間近くかかることも多々あります。
送迎は少年団の保護者が交代でしていますが、交通費や高速代、遠征費等の出費が思ったより多く、経済的に余裕がありません。
息子は今のチームもサッカーも好きだと言っているので、親として応援してあげたい気持ちもありますが、経済的な理由で他のチームに移籍してほしいと説明できずに困っています。
こんなとき、他のご家庭ではどうしているものでしょうか。これまでの取材で見聞きした実例があれば何かアドバイス等いただけたらと思います。
よろしくお願いします。
<島沢さんのアドバイス>
ご相談いただき、ありがとうございます。
できれば入団のときにわかっていればよかったですが、入るほうも会費がいくらかかるかくらいしかあまり気にしませんし、招く側も年間いくらかかるといったことを積極的に情報伝達するチームは多くないようです。
お子さんがチームを気に入っている様子なので、お母さんとしても悩んでしまいますね。
■経済負荷のストレスで子どもに当たってしまう保護者も
私が取材したあるNPOのクラブは、ひとりの母親によると「年間100万円近くかかった年もあった」とおっしゃっていました。最初は耳を疑いましたが、関西の強豪クラブで、夏休みなどの長期休暇はもちろん、祝日つながりの連休ごとに関東など遠方までマイクロバスで遠征していました。ホームグラウンドが使用できないときに小学校の校庭を借りると各自1,000円が徴収されると聞き、納得させられました。
年度末の決算クラブの収支報告もありませんでした。経済的な負荷が重く、辞めさせる保護者もいたようですが「親の都合で辞めさせた」と残っている子の保護者の前でコーチが非難することもあり、辞めさせる決心がつかない人は多いということでした。
その方もとても大変そうで、実家から支援を受けて息子にサッカーを続けさせていましたが、結局、自分の息子に対して暴力暴言があったことが判明。子どもは残りたがりましたが、チームを辞めさせました。
これとは別の方になりますが、ご相談者様と似たような悩みを聞かされたことがあります。やはり「試合が多くて、宿泊費、交通費がかさむ」とおっしゃっていました。下の子たちに習い事をさせてやれないばかりか、食費にさえも金をかけられなくなっていました。
加えて、その方は「経済的に苦しいこともあるが、こうやってお金かけても試合に出られないとき、出られない息子が恨めしくなる」と正直な思いを伝えてくれました。
「こんな高いお金払っているのに!」と思わず言ってしまい、大げんかになったこともあったようです。このように子どもに対し当たってしまうほどストレスがかかっているのですから、とにもかくにも精神的に健康ではありません。家族全員で話し合って、別のクラブを探すのが賢明だと話しました。
■お子さんに正直に事情を説明しよう
ご相談者様も、ぜひお子さんに家の事情やお母さんの気持ちを話してみてはどうでしょうか。9歳であれば、4年生でしょうか。自分の家のことは理解できると思います。その際は、まずは、今のチームをどう思っているのかを聞きましょう。そのうえで、事情を説明する。そして、以下の三つをぜひ伝えてください。
「君がサッカーが好きで、今のチームでやるのが楽しいのはすごくわかる」こと。
「今よりも費用が掛からず楽しくできるところを、一緒に探す」こと。
「サッカーだけでなく、これから受験やいろんなことがある。できる限りの応援をしたいと思っている」こと。
このように話し、万が一お子さんからののしられたり、文句を言われても「うるさい」「仕方ない」などと怒らずに、あくまでも冷静に、家族の一員として協力してほしいと言い聞かせてください。
そして、すぐにやめるのではなく、ひと月後とか、新しいクラブを探す時間も含めて猶予を与えてあげてください。
子どものサッカーを応援したい。
お母さんもそう思っているからこそ、私のような見ず知らずの人間にわざわざメールを送っていただいたのだと思います。その気持ちは持ち続けながら、少し先のことも考えて準備していきましょう。
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