蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2017年7月26日

このままだと終わる! とコーチに言われ息子落ち込む問題

■サッカーを通して学べるものがある

加えて、どこかのタイミングで、息子さんとどうしてサッカーをするのか。その理由を一度話し合ってみてはいかがでしょうか。コーチご自身は「小学生で挫折し、プロを諦めた」とおっしゃっているようですが、プロをあきらめても楽しくサッカー人生を送れるはずですし、その方もそうしてきたはずです。
 
少年サッカーを眺めていると、指導者や保護者があまりにも高く目標設定するため、そこからこぼれた瞬間に子どもたちがサッカーをやめてしまうケースが少なくありません。大人たちは「本人がプロを目指すと決めた」と言いますが、もし本当にそうなら、大人は「プロになるためだけにサッカーをしているの?」と尋ねてあげてほしいです。
 
お母さん自身、お子さんがもうプロになれないとあきらめたなら、サッカーなんてさっさと辞めたほうがいいなどと思っていませんよね? サッカーをすることで学ぶことはたくさんあります。
 
例えば、サッカーは「ミスのスポーツ(足で行うため失敗が多い)」なので、他人のミスに寛容にならざるをえません。いちいちカリカリしていたら、チームプレーはできません。よって失敗することに対し、精神的にタフになります。試合中、「ドンマイ、ドンマイ」という声が飛ぶことが多いですよね。ストレスに耐える力がつくと感じます。
 
最後にひとつ。「ほぼ毎日サッカーに励んでおります」の一文が気になります。運動しすぎると、活性酸素が蓄積されるため身長は伸びません。身長は遺伝的な要素が大きいですが、運動しすぎたり、遅い睡眠時間、栄養状態によって低身長になる傾向があります。
 
睡眠時間は足りているでしょうか。小学校中学年なら、夜9時前に就寝しなければ十分に成長ホルモンが分泌されません。
 
また、勉強はきちんとできていますか? サッカーのサポートも大切ですが、小学生時代は基礎学力と良い生活習慣をつけることもぜひ考えてあげてください。
 
 
 
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。

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