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平岡和徳氏に聞く「子どもたちの未来に触れる」スポーツ指導・学校部活動

2018年10月10日

パワハラ撲滅のために現場はどう変わるべき? 子どもたちの未来のために、これからの組織づくりに必要なこと

キーワード:Jリーガー世界一受けたい授業凡事徹底大津高校平岡和徳平岡監督指導者教育

「世界一受けたい授業」、子供の本気を引きだす感動の授業で話題沸騰

9/29放送の日本テレビ系列「世界一受けたい授業」平岡和徳氏(熊本県立大津高校サッカー部総監督・宇城市教育長)が出演し、「子育てでも会社でも使える無名のサッカー部を常連校に変えた教育法」として指導哲学・教育法について授業を行いました。

サカイク読者のみなさんのなかにも番組をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

一日の練習を100分に区切り、日常生活にもしっかり取り組むことで人間的に多く成長させれる指導で、これまで50人近いJリーガーを輩出してきた平岡氏の授業は大きな反響を呼びました。

サッカーの指導者でありながら宇城市の教育長も務める教育者である平岡氏に、昨今、話題となっているスポーツ指導の現場における体罰・パワハラ問題・長時間の練習、さらには現場の教員が置かれている状況これからのスポーツ指導のあり方についてお話しをうかがいました。全3回に渡ってお送りするのでご覧ください。
(取材・文 井芹貴志)

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大津高校サッカー部総監督・宇城市教育長の平岡和徳さん

第1回/パワハラ問題

■子供たちの未来にフォーカスした指導を

―― まず、昨今問題になっているパワーハラスメントの問題についてどう受け止めているのか、先生の考えをお聞かせいただけますか?

平岡 社会のなかで、日本のスポーツの根本を揺るがすテーマとしてこれだけハラスメントの問題が取り上げられるのは、私が生きてきて初めてのことです。みなさんもそうでしょう? 以前はアバウトだった「やってはいけないこと」のラインが明確になり、文部科学省も「児童生徒への体罰は許されない」と打ち出しています。暴力だけでなく、暴言もです。

若い指導者の多くにとって、自分が選手だった頃に接した指導者がお手本になっていると思いますが、学校部活動まで含めて「人に関わるというのはどういうことなのか」を日々勉強し、自分が預かっている空間の安心・安全を構築すること、そして子ども達の未来に、もっとフォーカスしなければいけないと思います。

起きたことに対してきちんとした初動調査対応をしないと、組織の権力闘争などが報道されて論点がずれ、アスリートファーストの考えはどこかに行ってしまいます。悪しき習慣が取りざたされるとき、画面に出てくるのは60歳を超えた強面の人たちばかり。そういう人たちが、やっていいこと、やってはいけないことをきちんと明確にしていれば、彼らに影響を受けてきた若い指導者も、体罰やパワーハラスメントになる手前で止められたと思います。

つまり、指導する側の大人の「場」は整ってきたけれど、子ども達、選手たちが学ぶ「未来」が本当に確保されているのかということだと思うんですよ。

■選手も指導者も守りながら成長させる組織づくり

―― 現在の状況はアスリートファーストではない、ということですね。

平岡 これまでの感覚で子ども達に接している指導者も少なくありませんから、こういう時こそスポーツ庁がリーダーシップをとって、日本のスポーツのあり方や子ども達が指導を受ける環境を整えなければいけないと思います。問題が出ている競技団体にとって現状はピンチかもしれません。しかし日本のスポーツにとっては、オリンピックに向けてリセットし、ギアを上げて新しい時代に入っていくチャンスではないかと思います。

――どのように対処すべきでしょうか?

平岡 たとえば、才能を持っていながら選手に対して暴力をふるってしまった指導者がいたとします。現象が体罰なら、必ず原因がある。本来なら、アスリートと指導者を第三者的に見て、不適切な言動や暴力的な行為が起きる前に、しっかりとブレーキをかけるリーダーがいなければいけません。それがないから、素晴らしい指導力を持っていても、切り取られた一部分で「やっぱりNO」と言われているわけです。

強化部長だったり、ガバナンスを統括している人たちが、そういうブレーキをかける役割を担わなければいけない。選手を守るというのが、本来のチームの機能だと思います。ですから、問題が出てきている競技について言えば、組織力が低下しているのではないかと感じます。逆に、問題が出てきていないところは、その手前でリスクマネジメントやコントロールができていると。

―― 選手と同じように、組織も指導者を守りながら成長させなければいけませんね。

平岡 まずは組織的に不祥事の未然防止に努めること。そして、課題等のある指導者にはタイミングを先送りせず、その都度、適切なアドバイスを送り、本人が謙虚に受け入れる「人間力」と「キャリア」を形成していく。これが組織の仕事だと思います。全体を俯瞰できるリーダーが現実を受け入れて改善を促しながら、指導的な立場で才能のある若手をコントロールしていくべきでしょう。要するに、不祥事が起きてからでは遅いのです。

―― サッカー界の場合はどうでしょうか。

平岡 サッカーの場合はいち早く「暴言、暴力はやめよう」というバナーを作って試合前に張り出したり、サッカー協会の指針として、インターナショナルな感覚を持ちましょうと呼びかけ、指導者ライセンスの中心としても「アスリートファースト」「オープンマインド」という考え方をしっかりと教育してきました。

日本人が使っていなかった「相手をリスペクトする」という言葉や、握手の文化も外国から学んで取り入れています。サッカーは世界共通の言語として、いいお手本があったんだと思いますね。

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今回聞き手を務めた井芹貴志さんが、平岡氏の教育論・育成哲学に迫った「凡事徹底――九州の小さな町の公立高校からJリーガーが生まれ続ける理由」(井芹貴志著)は全国書店にて絶賛発売中!!
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