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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
強豪に移籍したらチームメイトの強い言葉に言い返せず、実力も出せなくて笑顔が消えていく息子を見るのがつらい問題
公開:2026年9月16日
本人の「強くなりたい」という意思で強豪チームに移籍したら、体力もついて技術も伸びたけど、チームメイトがつらく当たってくる。
試合中熱くなるのは分かるけど、息子は言い返せず、ますます強く言われて笑顔が消えてく。辞めたくないと言うけどこのままでいいの? と悩むお母さんからのご相談。
スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、質問にお答えします。
(構成・文:島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
<サッカーママからのご相談>
こんにちは。現在9歳の息子は2年生から弱いチームでサッカーし、強くなりたいとのことで3年から強豪チームに入りました。
体力、技術はメキメキ上達していく一方でチームメイトの強い言葉に慣れず力を出せない状態です。
試合中、アドレナリンがでて攻撃的になる事は本人も理解できていますが言い返せずますますチームメイトから強く言われています。
だんだんと笑顔がなくなりサッカー前に緊張するようになり親としても辛いです。本人は辞めたくないと言っていますがこのままで大丈夫なのか心配になります。
上手く気持ちを上げたり切り替えする練習になるとも言えますが......。どのように日々過ごしていったら良いでしょうか。
<島沢さんからの回答>
ご相談ありがとうございます。
せっかく好きなサッカーをしているのに、笑顔がないなんてショックですね。メールから息子さんをどれだけ大切に思っているのかがよくわかります。しかも、もっと強くなりたいと自ら強豪チームに移籍したわけで、そんな息子さんを親として頼もしく感じていることでしょう。
「どのように日々過ごしていったら良いか?」と尋ねられていますが、それに答える前に私が気になったことを少しお伝えします。
■攻撃的な態度を取っているチームメイトの存在をチームは問題と認識しているか
「チームメイトの強い言葉に慣れず力を出せない状態」といった言葉を筆頭に、息子さんの笑顔がなくなった理由として、息子さんに攻撃的な態度をとっている(と思われる)チームメイトの存在を挙げていらっしゃいます。
ここでわからないのは、仲間はなぜ息子さんに辛く当たるのか? ということです。息子さんに何ら非はなく、単なるやっかみなのでしょうか。もしそうであれば、担当のコーチはそれに対し何ら対処をしていないのでしょうか? その点が何も書かれていないのが気になります。
9歳以下であればまだ小学3年生。精神的な成長にも大きな差があります。お母さんのいう「強い言葉」や「強く言われる」ことは、もしかしたらコーチたちからすれば「この年齢にはよくあること」と大して気にしていないのかもしれません。
当然ながら、大げさに考えているのではないか? とか、気にしすぎるといったことは申しません。とにかく相談文に具体的な出来事が何も書かれていないので、私としてもなんとも言えないのが正直なところです。
■親の他罰的な考えは子どもの成長にも影響する
ただ、ひとつ言えるのは、お母さんは「笑顔がなくなりサッカー前に緊張するようになったのは仲間のせい」「息子がサッカーを楽しめないのは仲間のせい」と、こころの中で思っていないでしょうか。息子さんの仲間たちにかなり他罰的です。
親が他罰的だと、子どももその感覚というかとらえ方に引きずられます。サッカーでうまくいかないことはすべて仲間のせいにしてしまいます。そうなると、息子さんの人間としての成長ためにはよくありません。
■転ばぬ先の杖は子どもが自分で立つための足腰が鍛えられない
加えて、お母さんは息子さんのサッカーを過度に「自分事(じぶんごと)」にしていないでしょうか?
ご相談文に「親としても辛い」とご自分の心情を吐露しておられます。気持ちはわかります。しかし、親が子どものネガティブなことに同化してしまうと、ついつい「転ばぬ先の杖」を用意してしまいます。
例えば「本人は辞めたくないと言っていますがこのままで大丈夫なのか心配になります」と書かれていますが、息子さんが辞めたくないと答えたということは、お母さんが「このチーム、もう辞めたら?」とか「サッカー辞める?」と尋ねたということでしょうか。
もしもそうであれば、これが「転ばぬ先の杖」です。辞めるかと問われれば、辞めたほうがいいくらいの「強い言葉」だと子どもはとらえるかもしれません。
転んでもいないのに杖を渡すので、足腰は鍛えられません。
■チームメイトが息子さんにつらく当たる理由を整理して、コーチにも相談を
そして、親の選んだ方向にばかり引きずられると、そこで何か嫌なことが起きたときに「お母さんが移籍させたからだ」と、子どももまた"他罰的"になってしまいます。
それを回避するには、子どもたちが息子さんにつらく当たる理由をきちんと整理したほうがよいと私は思います。コーチにも相談してみてはいかがでしょうか。
そもそも、同じチームでプレーし続けるかも、サッカー自体を続けるかどうかも、息子さんが決めることです。他人である私はもちろんのこと、お母さんが検討することではありません。
■サッカーでも子育てでも「スペース」が必要
ようやく本題です。
どのように日々過ごすか。 まず、お母さんは息子さんのサッカーから離れましょう。サッカーというスポーツは、ボールを持った選手の周りに多くの味方が集まり過ぎてしまうと、パスが回らなくなります。うまくパスが回ってゴールに向かうには、そこに「スペース」が必要です。
実は子育てもこれと原理は同じです。親や大人が子どもにべったりと近づきすぎると、気になることばかり出てきます。あのお友達は嫌だね、あの言い方は良くない、あのコーチは......となりがちです。私自身も経験があるので、お母さんの気持ちはわかります。子どもにとって最上の環境で育てたいとどの親も思ってます。
であれば。まずはご自分が最上最適な親になりましょう。一度、最上最適な親ってどんな親かしらと考えてみてください。
私たちには「親としての煩悩」があります。わが子が気持ちよくサッカーができる環境をと、ついつい欲張りになります。そこを利己的にならず、子どもの意思を尊重し、ピンチもチャンスも黙って寄り添って見届けてあげられる。そんな姿が理想だと私は考えます。
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