考える力

2015年11月19日

家事を手伝うとサッカーがうまくなる!?その驚きの理由とは

子どもの自立心を育てたい――。コーチも親もその気持ちは同じはずです。星槎湘南大磯総合型スポーツクラブのクラブ長を務める大森酉三郎さんの場合、その取り組みのひとつとして、ジュニア年代から“ライフスキル”を向上させることをお父さんお母さんにお願いしています。ライフスキルとは、日常のさまざまな問題や要求に対処する能力のこと。では、具体的にライフスキルを高めるために、私たち親にできることとは何でしょうか? 大森さんは、家事を手伝ってもらうことを促しています。また、家事を手伝うことでサッカー選手としても成長できると言います。その理由とは? ぜひご一読ください。(取材・文・写真 小須田泰二)
 
 
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■家事を手伝うことで、準備する人間になれる

「当たり前ですが、親というのはピッチに入れませんから、サッカーの技術を教えるようなピッチ上のサポートはできません。しかし、ピッチに入るまでの準備をできるように子どもをサポートしてあげることはできます。上のカテゴリーに行ければ行くほど、選手たちの行動を見ていると、ピッチ外で安定した生活ができている選手は、ピッチ内でも安定したプレーができている傾向にあります。すぐに結果として表れないかもしれませんが、長いスパンで捉えたとき、ライフスキルの教育に早くから取り組んで損はないでしょう」
 
かつて短期間で神奈川大を関東リーグへと定着させた大森さんは、大学を離れた後、湘南ベルマーレフットボールアカデミーダイレクターを経て、現在は星槎湘南大磯総合型スポーツクラブへと活動の場を移した。クラブ会員は260名ほどで、サッカーのみならず、グラウンドゴルフ、健康体操、ヨガ、ベビービクスといった幅広い活動をサポートしている。サッカーでは、下はジュニアから上はU-18までの子どもたちの指導を担当している。大学とは違うカテゴリーになるものの、基本的なスタンスは変わらない。大森さんはいまも自らの指導哲学を貫いている。
 
「やはりなんでも真面目に取り組み、将来設計をきちんと立てて生きていったほうが、人生は豊かになると思っています。さまざまなスポーツの普及に力を入れながらも、地域貢献活動や社会貢献活動を積極的に行い、真に地域に密着した愛されるクラブを目指して活動を続けています。アカデミーの子どもたちには、ボランティアスタッフとして、準備段階からさまざまなイベントに参加してもらっています」
 
ちなみに、この総合型スポーツクラブのキャプテンはドイツ・ブンデスリーガで活躍した初めての日本人プロ選手である奥寺康彦氏、テクニカルアドバイザーには元西ドイツ代表のリトバルスキー氏が就任し、クラブの運営を支援している。
 
「スタッフの面々を見ても、ひとりのサッカー選手として、ひとりの人間として、世界と渡り合える人材を育てるための環境が整っています。しかし、サッカーだけを教えてもやはり根は強くなりません。木に例えると、根の部分がライフスキルで、そこを強化しなければ幹は太くなりませんし、ということは、いつまでも花は咲かないと思っています」
 

■家事を手伝うことで、組織に順応する力が身につく

子どもという木が花を咲かせるためのライフスキル。その定義について、大森さんは次のように説明する。
 
「WHO(世界保健機構)が示しているのですが、ライフスキルとは、日常の様々な問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するために必要不可欠な能力のことを指します。サッカーは11人で行うスポーツですがそれだけではありません。スタメンのみならず、サブの選手、加えてほかのチームの選手、スタッフ、審判など、たくさんの人たちの支えがあって成り立っているものです」
 
平たく言えば、組織に順応する力を身につけること。
 
「ピッチ上ではチームプレーが求められるように、社会に出てもチームプレーが求められることが多くあります。子どもたちがやがて社会人になることを想定し、ライフスキルは身につけておかなければいけません。家庭や学校で好きなことしかしない子はピッチ上でも同じ。そういう子は、組織のなかでなかなか機能しないんです。そうなると、後々困るのはその子なんです」
 
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