考える力

2014年9月 9日

優秀な選手を続々輩出! セレッソ大阪の割り切った指導方針とは

■奪うという一点に特化する指導方針

 
セレッソの守備に対するアプローチですが、これがもっとも印象的なものでした。
 
全少を通じて、セレッソの試合を観ていて感じたのが、前線の選手も中盤の選手も、積極的にプレッシャーをかけて、高い位置でボールを奪えているということです。その様子をみていると、チームとしてボールを奪えているようにも見えます。そのため、はじめは、組織としてボールを奪いにいく指導、つまりチーム戦術の指導を行っているのかなと想像していました。
 
ただ、監督とコーチに守備に関して訪ねると、実情は違うようでした。セレッソにおける守備の指導に関して、大谷監督は「守備では、ボールを奪える選手の育成を目指している」と語ります。六車コーチも「コースを切ることに関する指導を一切行わず、奪うという一点に特化して指導している」と語ります。
 
つまり、コースの切り方やどういう風に相手選手を追い込むかというのは、チームとしてボールを奪いにいく、チーム戦術にあたります。これは、上の年代に上がれば、必要なものです。しかしセレッソは、U-12の段階では個を重視しているためにこれを指導しません。代わりに、「ボールを持っている相手にどのようなステップでつめて、どう奪うのか」という個人戦術に関する指導を行っているようです。
 
その結果、六車コーチ曰く「組織としてプレスは機能していない」にも関わらず、個人がボールを奪う能力が成長したために、前線でボールを奪えていたようです。
 
こうしてセレッソは、攻守ともに個人を重用視し、個人の成長を求めています。セレッソの下部組織が、日本代表FW柿谷曜一朗選手をはじめ、様々な優秀な選手を輩出している理由の一つは、この徹底した攻撃と守備それぞれのコンセプトのようです。
 
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