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スポーツの指導者にとって『コミュニケーションスキルより大切な3つのこと』

公開:2022年4月 5日

2022年2月、「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」で、スポーツメンタルコーチの柘植陽一郎氏による、スポーツメンタルコーチング講座を開催した。テーマは「成長のための答えは選手の中にある~主体的にプレーする・自立した選手を育てるコミュニケーションの3つのポイント」。アカデミー会員限定のセミナーの様子をレポートしたい。(文・鈴木智之)

(※COACH UNITEDからの転載記事になります)

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選手の意識状態を観察する

柘植氏はジュニアからオリンピアンまで、種目を問わずサポートしており、スポーツメンタルコーチ歴は16年に上る。多種に渡るスポーツ選手に対してコーチングをする際に「教えるのではなく、選手の考えを『引き出す』関わり方を大事にしています」と語る。

その背景にあるのが「アドラー心理学」をベースにした考え方だ。日本では「嫌われる勇気」という書籍がベストセラーになった。ご存じの方も多いのではないだろうか。

「アドラー心理学は『勇気づけの心理学』とも言われています。指導者の関わり方が同じだったとしても、選手自身が、勇気が湧いている状態なのか、それとも勇気がくじかれている状態なのかによって、起きることが違ってきます」

具体的には、勇気がくじかれているときには、前向きなアドバイスをしても「自分には無理だ」と考えてしまいがちだ。一方で勇気が湧いている状態であれば、アドバイスに対してポジティブに捉え、「よし、やってみよう」と行動に移すことができることも多い。

「アドバイスの正しさの前に、選手の意識状態がどうなっているかを知ることが、とても大切になってきます。それらを踏まえた上で『選手とコミュニケーションをとる際に必要な3つのスキル』と『スキルより大切な3つのこと』をお伝えしたいと思います」

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(一般社団法人フィールド・フロー代表の柘植陽一郎氏)

コミュニケーションスキルよりも大切な3つのこと

【1】聞くスキル
【2】伝えるスキル
【3】自分で考えることを促すスキル(自分会議)

柘植氏は選手とコミュニケーションをとる際に必要な上記3つのコミュニケーションスキルを意識する前に、「大切なことを、3つ押さえておいてください」と語りかける。

「1つ目が信頼関係です。選手にとって、安心安全な場が作れているかどうか。そして2つ目が、先程もお伝えした勇気。つまり選手の意識状態です。3つ目は『何を信じてそこにいるか』という信念の部分です。

【1】信頼関係(安心安全な場)
【2】勇気(選手の意識状態)
【3】信念

信念はもっとも大切なことで、非言語で与える影響力はとても大きなものがあります。どんなスキルで関わるかの前に、何を信じて誰としてそこにいるのかを、もう一度握り直すことが大事だと思います」

ここからは「3つの大切なこと」の中で、もっとも重要な「信念」の説明について、話は移っていく。

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指導者として大切な3つの信念

【1】人は一人ひとりが違う存在
【2】人はチャレンジが好きな生き物
【3】人はクリエイティビティ(創造性)に富んでいる

柘植氏は「指導者の方は、子どもはそれぞれ違うなと、日々実感されていると思います」と話し、「子どもはみんな違うし、違っていいよねというところを、もう一度握り直してみましょう」と投げかける。

それを踏まえた上で「人はチャレンジが好きな生き物」であり、「人はクリエイティビティ(創造性)に富んでいる」という前提に立つと、選手との関わり方も変わってくるという。

「指導者の方が、私に『あの選手はちっともチャレンジしない子なんです』という言い方で紹介してくれることがあります。その選手イコール、チャレンジしない人ではなく、そこにチャレンジしない現象があるだけなのです。そこを混同してしまうともったいないことが起きます」

人は誰しも、チャレンジしたいのだという前提があれば、チャレンジを止めている要因に目を向けることができる。チャレンジ自体も大きなものではなく「今日の練習で、ここを工夫してみよう」など、小さなものでOK。

誰もが本質的に持っているもの

「これもスポーツ現場でよくあることですが『あの選手は言われたことしかしない子なんですよ』と言う指導者の方がいらっしゃいますが、言われたことしかしない選手なのではなく、『言われたことしかやらない現象がそこにあるだけ』なんですね。本質的には、何かを隠し持っていて、ほんのちょっとでも工夫してみたいと思っているはずなんです」

ここで柘植氏は、子どもの積み木遊びを例に話を展開していく。

「積み木遊びを始めて、二つ目を積んだところで崩れてしまったとして、そこで指示を待つ子どもはいませんよね。無意識に置く角度を変えたり、工夫するはずです。それと同じで、指導者から見て、選手に工夫が見られなかったとしたら、何かが止めてしまっているだけかもしれないし、最近自分で工夫しても良いんだという場を作れていないからちょっとさびついちゃってるかもしれないけども、実は創意工夫する力を持っているんだと信じると、『この選手に、自分はどんな関わりができるのだろう』『どんな場作りができるんだろう』と意識が変わっていくと思います」

セミナーでは、オンライン上のブレイクアウトルームでいつもと違うコミュニケーションを相互にとってみるというワークを行い
「自分の方に話を引っ張り込むような聞き方ではなく、気持ちの面で相手の方に近づいていき相手の体験を一緒に味わいながら、共感的に話を聞くこと」や「気持ちの面で相手に近づいていく際も相手をコーナーに追い詰めるような質問をしないこと」など、聞くスキルについて体験やQAを通して理解を深めて行った。

参加者からは「相手が話しやすい場を作り、フラットに聞き入れてアドバイスをするやりとりが大切だと感じた」「人間の本性は自己実現に向かうものと信じて、話を聞いてみたい」などの感想が寄せられ、2時間のセミナーから多くの気づきを得たようだった。

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【講師】柘植陽一郎(つげ・よういちろう)/
一般社団法人フィールド・フロー代表 スポーツメンタルコーチ
専門はメンタル、コミュニケーション、チームビルディング。2006年より本格的にアスリートのサポートを開始。メンタルスキル指導とは一線を画す「メンタルコーチング」を用いて、2008年北京五輪・2012年ロンドン五輪で金メダリストや指導者をサポート。2011年~2014年までソチ五輪で3つのメダルを獲得したスノーボードナショナルチームを、2016年リオ五輪で48年ぶりの4位入賞の女子体操では、コーチと選手をサポート。その他ラグビートップリーグチームやサッカー日本代表選手、プロ野球など、プロ・オリンピック代表から部活動まで様々な世代・競技を幅広くサポートする。
日本と韓国にてスポーツメンタルコーチ養成講座を開講。著書に「最強の選手・チームを育てるスポーツメンタルコーチング」(洋泉社)、「成長のための答えは、選手の中にある」(洋泉社)

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