こころ

2017年8月 3日

サッカーでは子どもがオーナー。親が先導して頑張りすぎないことが、子どもの主体性とやる気を育む

「良い親として子どもの成功に責任を持たなければいけない」と考えるあまり、自分と子どもを縛ってしまうことから少し解放されませんか、ということを前回のレポートでお伝えしました。
 
子どもが上達するように、親がサポートすることは当然のことでしょう。しかし、親が頑張らなければ、優秀な選手を創ることはできないのだと思い込むことは、必ずしもプラスに働かないようです。親が熱心に、チームや指導者を選び、苦手克服のために家でもできる練習メニューを考えて、その練習に付きそう。それは、親が子どもを「操作」することにつながるからです。
 
チ-ムや指導者選びだけでなく、家に戻ってからの練習内容まで親に決められてしまうと、子どもは自分のスポーツとは感じられなくなってきます。それは、子どもにとってはスポーツの楽しみを奪われていくこと。続けたい、うまくなりたいという子どもの情熱やモチベーションの維持にも影響を及ぼします。
 
親が、子どものスポーツでの成功を目指して、力を入れ過ぎてしまうことを防ぐにはどのようにしたらよいのでしょうか。(取材・文 谷口輝世子)
 
 
<<前回:良い親の定義に縛られていませんか? 子どもがスポーツを楽しむために"本当に必要なこと"とは
 

■自由を与えると自分たちで創意工夫しだす

米コロラド大学のコークリー教授は「子どもがスポーツ活動のオーナーになるように」という言葉を使っています。
 
「コーチたちは、練習中に子どもたちが自由にプレーする時間を与える必要があります。そうすると、子どもたちは自分たちでルールを考えて作ります、何か新しいゲームや新しい練習方法、そういった何かを考え出します。そうすることで、子どもたちは、これは自分たちのスポーツである、と感じられるようになってくるのです」
 
お金を払って習い事としてサッカーをやらせているのに、子どもに自由時間を与えるのは、おかしいという考え方もあるでしょう。自由に遊ぶだけならば、友達と近くの公園にでも行き、子どもたちだけで遊んでいるのと同じではないか、とも思います。
 
私たち親の世代が子どもだったときには、近所の友達を誘い合わせて家のそばや公園で鬼ごっこなどをして遊びました。どのように遊ぶかは年上の子どもから自然と伝わっており、大人から遊び方を教えてもらうことはありませんでした。小さい子ばかりが鬼になっては、その子もみんなも楽しめないので、小さい子は鬼にしないというルールもありました。これまでから伝わってきたルールを、参加するメンバー全員が楽しめるように、子どもだけでルールを一時的に変更するということもしていました。
 
今、子どもたちがボールを使って遊べる場所はとても少なくなっています。年上の子どもからいろいろな遊びとそのルールを教えてもらう機会もあまりありません。自分たちでルールを作ったり、変えたりするという経験も少ないでしょう。スポーツの練習は、その代わりになるものを提供できる可能性があります。
 
次ページ:スポーツ活動は親やコーチを喜ばせるものではない

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