こころ

2015年6月18日

お父さんお母さんのための"怒らない"トレーニング

サッカーの試合や練習で、どうにも我慢できずに怒り爆発!ということ、ありますよね。で、子どもとケンカになったり、自己嫌悪に陥ったり。怒らずに気持ちよく毎日を過ごすために、メンタルトレーニングを取り入れませんか? 感情の中で一番対応が難しい“怒り”をコントロールする技を、作新学院大学准教授/プロスポーツメンタルコンサルタントの笠原彰さんにうかがいました。(取材・文 前田陽子)
 
 

■「怒り」は本来、身を守るための感情

「怒りとは本来、攻撃されたときに身を守るための感情でした。たとえば原始時代、急に動物に襲われたときに『なんだこの野郎』と一気に怒りの感情を爆発させることによって、アドレナリンが出て、毛が逆立って、血管が一気に収縮して出血を最小限に抑え、筋肉を動きやすくする。そんな起爆剤としての感情だったのです」と笠原氏。「怒り」が突発的な感情なのはここに所以します。自分や家族が何者かに襲われるようなシチュエーションには必要な感情だが、たとえば、サッカーの試合中のミスのような生命の危機とはかけ離れた事柄に対して「怒り」を表す必要があるのでしょうか。
 
私たち親は子どもに対して怒ります。「子どものミスに親が怒ってしまうのは、子どもにこうあって欲しいという期待値と、現実とのギャップが大きいから」(笠原氏)。お友だちと一緒に過ごせるからという理由でサッカーを始めた子どもと、やるからにはレギュラーで活躍してほしいと願う親とでは、試合に対するモチベーションが異なるのは当然のことなのに、ここを理解できていない人が多いのではないでしょうか。小学生のうちは、試合や練習に親が関わる時間が長く、身近で見ている分、些細なことでも怒りの感情が出やすいもの。そこで今回は、怒らないためにできることを考えてみましょう。
 

■「がんばれ」では子どもは動けない

子どもへの声掛けで一番多い「がんばれ」。子どもたちも声援に応えようとがんばっているはずですが、どうもピントがずれていると感じることはありませんか? 「サッカーというスポーツは、親の目線と子どもの目線が徹底的に違うんです」と笠原氏。
 
ピントがずれていると感じるのは、子どもが何を頑張ればいいのかを理解していないから。自分なりにがんばっている姿を想像して体現しているけれど、的を得ていないので余計に親から反感を買ってしまうのです。それを回避するためにお勧めなのが動画を撮ること。
 
「ビデオというのは最高のコーチです。カナダはコーチング心理学がとても盛んですが、動画の重要性はずいぶん前から認識されていました」と笠原氏は言います。プレーしている子どもたちにとって、周囲の選手との位置関係を理解するのは至難の業です。言葉で話しただけでは全く理解できません。さらに小学生のころは記憶力もまだ曖昧だったりするので、あの時のあのプレーと限定して話をしているつもりでも、食い違ってしまうことは多々あります。そこでビデオです。練習や試合の様子を録画しておいて、見ながら説明すれば親やコーチの話もスッと理解できます。高校生でさえ戦術を理解するのにビデオを活用するのに、小学生に言葉だけで話しても、理解されないのは当然のこと。積極的に利用したいツールと言えます。
 
 
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