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こころ

2014年9月12日

人の手が障がい者の「自動ドア」になるバルセロナ

キーワード:Jリーグスポーツバルセロナフェアプレープロジェクトリスペクト女子

■心の障害、障壁を取り除くために

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「私は自分を障がい者と感じたことはあまりないんですね。私にとって周り(の環境)が"障害"であって、それを取り除ければ"障害"はなくなるんです」
 
パネリストの一人、羽中田昌さんは、かつて高校選手権で活躍、将来を期待されたサッカー選手でした。事故で脊髄を損傷し、現在は車いす生活をしている羽中田さんが優しい口調でこう語りかけます。
 
「バルセロナに留学していたときは、年齢や性別、人種をあまり意識しないで生活していた。街にはいろいろな人がいて、障がいのある人も街にたくさんいました。だいぶ変わってきたとはいえ、日本でももっと障がいのある人たちが普通に街に出られるようになると良いな」
 
サッカーを学ぶために留学していたバルセロナでは"自動ドア"がそこかしこにあったそうです。羽中田さんが言う"自動ドア"は、街の人々の手。ドアの前に来ると、どこからともなく手が伸びて重い鉄の扉を開けてくれるのだそうです。
 
「段差は多いし、道も良くない。でも、困ったことはなかったんですよね」
 
環境面、制度面の充実も必要ですが、差別や偏見をなくすためにはバリアフリーよりも大切なことがありそうです。
 
「アメリカ人とのハーフで、外見的に違いがあるという自覚がないまま日本人しかいない環境に身を置いて、好奇の目にさらされたのは確かです」
 
元バレーボールアメリカ代表選手のヨーコ・ゼッターランドさんは6歳のとき日本にやってきました。
 
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"いまとは外国人に対する認識も違う時代"で"他の子と違う"ことでさまざまな問題に直面したそうです。またバレーボールを続けて行く上でも、日本の封建的な指導に疑問を感じる場面も多かったと言います。
 
「私は怒られ役でしたから、正直に言って殴られるのが当たり前の環境はありました。これは指導者の資質の問題ですが、信じられないような暴言や暴力を目にしたこともあります」
 
現在は大学で女子バレーボールの指導をしているヨーコさんは「指導者は言葉を精査すべき」と言います。
 
「指導していて、どうしても厳しい言葉を言いたくなるようなことはある。でもそれをグッとこらえて、どうやって伝えるか精査する必要があるんです」
 
JFAでは、暴力、暴言の問題について「しない、させない、許さない」としてさまざまな取り組みを行っています。「選手のため」と称して行われる暴力、暴言ほど性質の悪いものはありません。こうした行為は、子どもたちはもちろん、たとえ当事者意識が薄かったとしても、指導者にも消えない傷を残すはずです。
 
今回は、シンポジウムのなかから2人のパネリストの方のお話をご紹介しました。お二人の体験談からわかるように差別や暴力、暴言、偏見や体罰などの問題は、狭い世界の価値観、自分が"普通"だと思っていることの中にあります。
 
あなたの"普通"は誰かを傷つけていませんか? お互いを思いやる、尊重することと距離を置くこと、関わらないことを勘違いしていませんか? もし、あなたが差別や暴力、暴言が身近でないと感じているなら、このリスペクト・フェアプレーデイズを期に差別や暴力、暴言についてお子さんと話し合ってみてはいかがでしょう。
 
「JFA リスペクト フェアプレーデイズ 2014 差別、暴力のない世界を!」シンポジウム
2014年9月6日開催
 
<第1部>
・JFA差別、暴力根絶に対する宣言 大仁 邦彌(JFA会長)
・基調講演Ⅰ「Jリーグの取り組み、姿勢について」 大河 正明(Jリーグ常務理事)
・基調講演Ⅱ「人権について、取り組み事例」 法務省人権擁護局
 
<第2部>
パネルディスカッション(差別、暴力のない世界を!)
・モデレーター:松崎 康弘(JFAリスペクト・フェアプレー委員長)
・パネリスト:上川 徹(JFA審判委員長)羽中田 昌(元サッカー選手、サッカー指導者)
山口 隆文(JFA技術委員長 育成担当)ヨーコ・ゼッターランド(元バレーボールアメリカ代表選手)
 
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取材・文 大塚一樹 写真 サカイク編集部

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