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"自主性に任せる"って言うのは簡単だけど...【サカイクフェスティバル特別企画1】

公開:2012年5月31日 更新:2012年6月 2日

キーワード:コミュニケーションメンタル自立

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■自主性に任せた方がいいと分かってはいても…

指導者が大声で怒鳴り散らすよりも、チーム1人1人が考えて自主的に解決に取り組むほうが何倍も効率が良く、本人への定着率も高くなります。やらされるよりも、自分の意志で取り組むほうが得るものが大きいのは当然のことです。
 
しかし……言うは易く、行うは難し。
 
やる気のない人間に、やる気を出させることがどれだけ大変なことか、
練習をサボってばかりいる人間に、真面目に取り組ませることがどれだけ大変なことか、
チームワークを乱す人間に、協調性を持たせることがどれだけ大変なことか、
ネガティブな人間の考え方を、ポジティブに転換させることがどれだけ大変なことか。
人に何かを教えようとした経験があるなら、痛いほど分かるのではないでしょうか。
 
『人間関係の質を高めるためには、どのようにアプローチすればいいのか?』
 
メンタリティーの改革、思考の質の高まり無くして、競技力の向上はあり得ません。どんなに技術やフィジカルを身に付けたとしても、壁を自力で乗り越えることができない人間は、すぐに伸び悩んでしまいます。
 
7月に行われるサカイクフェスティバルが目指すのは、技術論や戦術論の習得ではなく、関係の質、思考の質、行動の質、結果の質の総合的な向上です。これはサッカーのみならず、すべての活動の礎となるものです。
 
実際にサカイクフェスティバルの3日間では、メンタルに対するどのような取り組みが行われるのか。その内容を少しのぞいてみましょう。
 
 
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■「ミスをするな」は、「ミスをしろ」と言っているのと同じ

指導者セミナーは、自己紹介によって自分の指導者としての立ち位置を明確にし、他の参加者との課題を共有することからスタートします。そこから質の高いコミュニケーションの図り方を学んでいきます。
 
M・マルツ博士の著書「潜在意識が答えを知っている!」にある『サイコサイバネティクス理論』によれば、人間の心には、「潜在意識」(自分でコントロールできない領域)というものが存在するそうです。これは「心」というよりも「メカニズム(仕組み)」で、意識によって自動的に作用し、その人を方向づけるといいます。
 
すなわち「成功の目標」を与えれば、それは「成功メカニズム」として機能しますが、ネガティブな目標を与えれば、「失敗メカニズム」として働きます。このような人間の脳では、無意識の思い込みが結果に大きな影響を与えるので、ポジティブなコミュニケーションは成功メカニズムへ、ネガティブなコミュニケーションは失敗メカニズムへと誘導されるのです。
 
例えば、「ミスをするな!」という言葉を考えてみましょう。
 
一見、ミスを改善するために声をかけているようですが、潜在意識の影響力を踏まえると、実は「ミスをしろ!」と言っているのにも等しいのです。最初からミスをする状態を念頭に置いてプレーしている時点で、人間の脳は無意識のうちにネガティブな思い込みへと引きずられてしまうからです。
 
ゴルフのトッププレイヤーも、「池ポチャしないように」と思っていると本当にショットを池に落としてしまうので、そういう考え方を捨て、ボールがきちんと飛んだり転がったりするイメージ、すなわち成功イメージしか持たないとのことです。
 
さらに、このようなイメージは、自分自身が口に出す言葉がいちばん影響を与えますが、その元になっているのは親や先生、指導者の言葉であることが多いのです。
 
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もう一つ、運動会のリレーを例に考えてみましょう。

●1位で走ってきた息子が最後に転んでしまった
●家に帰った後、親が「なんで転ぶんだ。どじだなあ」と声をかける
●「転ぶ」「どじ」が息子の潜在意識に刷り込まれる
●そして翌年の運動会「またどじするなよ」と言おうものなら、息子の潜在意識に刷り込まれた記憶がよみがえり、その時の身体の状態が思い出され体は硬くなり、やはり転んでしまう
●こうして「自分は足が遅いのだ、走るのが苦手なのだ」という自己イメージができてしまう
●それを自分でも言葉に出してしまうようになる
●「足が遅くて走るのが苦手な自分」が当たり前の自分となるので、努力することもなくなり、永遠に速くはなれない

ネガティブな言葉は、このように本人を失敗メカニズムへと誘います。周囲がかける言葉自体をなるべくポジティブにすることが大切であり、これは、甘やかすという概念とは根本的に異なります。
 
脳の9割以上を占めるともいわれている潜在意識に対して、どのようなアプローチができるか。サカイクフェスティバルでは3日間、このようなメンタル理論の理解と、子どもたちに対する実践についてチャレンジします。
 
人間関係の質を高めることが、チームの質を高める-。
「関係の質」を高めることが強いチームを育てる
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監修:WACアカデミー//
様々なチームや団体・企業向けに、前向きに積極的に取り組む姿勢を育てる「ポジティブ・シンキング」・「ロジカル・シンキング」両面をバランス良く鍛え、組織やチームの人間関係・信頼関係を築くためのコミュニケーション・セミナーや講座を提供している。サッカーU-23代表の小倉勉コーチや、バレーボールの佐伯美香氏も講師として活動。
株式会社WACアカデミー
あすり~と先生.com
 

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取材・文/清水英斗 写真/サカイク編集部(サカイクカップより)

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