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こころ

『聴く』が人のつながりを生み、サッカーも成長させる

2011年10月11日

キーワード:コミュニケーション

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■人の話を聴くことが、人とのつながりを生む

先日、あるサッカー誌の編集者が、取材で東京から松山にやってきてくれました。一晩泊まるということだったので、夜に行われた関係者との会食にも、同席させてもらいました。約3時間、サッカーの話から、海の幸の話まで楽しい会話が続いたのですが、その間にこんなことをいわれました。
 
「ライターという仕事で、一番生き残る条件は「人と人とのつながり」、すなわち人脈を作ることですよ」。
 
確かに、そうです。この「ライター」という仕事をはじめて、もうすぐ丸7年。そして、関東から愛媛に単身、引っ越して4年半を迎えようとしている私ですが、毎日のように、自らの文章力のなさを嘆きつつも、なんとかここまでやってきたのは、困ったときにことごとく周囲のみなさんに助けていただいた。つまり「人脈」があったからに他なりません。他に全く、自慢できるもののない私ですが、これだけは少しだけ誇れることです。
 
でも、最近様々な取材現場を回っていると、ちょっと心配なことがあるんです。それは子どもたち同士ばかりでなく、子どもと親御さんの間、そして親御さん同士でも、どうも人脈の薄さを感じる場面があるということ。サッカーをはじめとする集団スポーツで「クラブ」、すなわち選手たちだけでなく、指導者や親御さんも含めた部分での団結力は、チームの勝敗を左右する大きなポイントなのに、多くの部分でそれが軽視されている傾向を感じるんです。
 
「じゃあ、そう感じるのはなぜなんだろう?」
 
ない頭で考えてみました。そうすると、私が小学校時代に、校長先生からいわれた言葉が浮かんできたんです。
 
「話をするとき、話を聴くときは相手の目を見ましょう」
 
あまり同業の方にマネをされると困るんですけど(笑)、私が、取材をするときに一番、気をつけているのは、この「相手の目を見る」ということです。「目は口ほどに物をいう」なんて、ことわざもありますが、目の動きを見れば、相手が、どんなことを心で思っているか、なんとなくわかります。
 
さらにいえば、相手の話を「きく」のも、ただ耳を向けるだけの「聞く」ではなく、目や心を向けて「聴く」ことを、心がけています。そこで言葉だけでない、表情から相手の気持ちを知り、さらに質問の仕方や、内容を変えていくことによって、より深い話をうかがえるようになるし、人脈も作ることができるのです。
 

■オシムさんは、常に真っ直ぐな目で聴き、真っ直ぐな目で答えた

ただ、不思議なことに一流といわれる選手や、指導者は概してこの「聴く」ことができているんですよね。1つ例をあげれば元・日本代表監督のイビチャ・オシムさん。ジェフユナイテッド市原・千葉監督時代、私は何度か、監督会見でオシムさんに質問をさせて頂いたのですが、あの方はどんな質問に対しても、怖いくらい真っ直ぐな目で聴くし、真っ直ぐな目で答える。彼の隣には通訳の間瀬秀一さん(現:ファジアーノ岡山コーチ)がいるにもかかわらずです。
 
ですから、こっちも、おろそかな質問はできない。毎回が、真剣勝負です。でも、そんな言葉と目とのパス交換によって、私も大いに「聴く」技術が、磨かれたことを覚えています。
 
サッカーには「アイコンタクト」という、用語もあります。相手に気づかれないように、身振り手振りでなく、味方同士で目を見てプレーの意図を合わせることをいうのですが、それも普段の練習や会話で、そのようなことができないと、もちろん成功するわけがありません。
 
「聴く」ことでサッカーがうまくなる。仲間の心もわかる。そして、大人になっても役に立つコミュニケーション術も身につく。実際にやってみると、とっても疲れるんですけど……。でも、やる価値は必ずあります!
 
選手のみなさん、そして親御さん。家族や友達と、一緒になって「聴く」ことを、ちょっとだけ、がんばってみませんか?
 
 
寺下 友徳//
てらした・とものり
スポーツライター。福井県生まれ。大学時代に観戦したJリーグ・ニコスシリーズ第15節の浦和-清水(国立)の地鳴りのように響く応援の迫力をきっかけに、フットボールに引き込まれた。現在は、関東から四国地域に拠点を移し、四国を中心としたフットボール、野球などスポーツ全般を取材・執筆。「週刊サッカーダイジェスト」、「中学サッカー小僧」、「スポーツナビ」、「高校野球情報.com」、「ホームラン」、「野球小僧」など様々なメディアに寄稿している。
寺下友徳の「四国の国からこんにちは」(ブログ)
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文/寺下友徳 写真/サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2011より)

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