こころ

2010年12月 6日

【第1回】子どものメンタル、親のメンタル -「主役は子ども」

■『主役は子ども』の気持ちを忘れずに

皆さんは人間の心理についてどれだけ知っているでしょうか。ここでは選手だけでなく親御さんのメンタルについても考察し、より良い親子関係や子どものサッカーライフについて考えていきます。 講師は、スポーツ選手の心理に精通するメンタルトレーニング・コンサルタントの大儀見浩介さんです。

「私は心理面の専門家として、10,000人を越える選手、選手の親御さんを指導してきました。その経験を元に、サッカーをする子を持つ親の心構えについて、考えていきます。

まず、ジュニア年代の子どもがサッカーに打ち込むために、親のサポートは欠かすことのできないものです。試合の送迎やお弁当の準備、スパイクやユニフォームといった用具の購入など、親がサポートすることはたくさんあります。そのように子どものサポートを続けていくと、徐々に欲求が芽生えてきます。具体的には"私が頑張ってサポートをしているのに、あの子はちっともうまくならないじゃない。試合にも出たり出なかったりで..."といったように、主語が"子ども"であるはずのところが、いつの間にか"私"にすり変わってしまうのです。

こうなると危険信号です。子どもに対する要求は、徐々にエスカレートしていきます。挙句の果てには"◯◯君と比べて、あなたはだらしなくてもう..."と、サポートをするはずが、攻撃を始めてしまうこともあります。これはせっかく情熱を注いでサポートをしているのに、親御さん、子どもの双方にとって不幸なことです。

そうならないために、親御さんは"主語は子どもなんだ"という気持ちを忘れずに、サポートしてあげてほしいと思います。子どもは親を満足させるためにサッカーをしているわけではありません。

サッカーが好きだから、楽しいからプレーしているのです。子どものサッカーは子どものもので、親のものではありません。親がすべきことはいたってシンプルです。それは、子どもと同じようにサッカーを楽しむことです。試合に勝った喜び、負けた悔しさを親子で共有し、時には背中に手を当てて見守り、時には背中を押してあげる。

サッカーを通じて親子間でポジティブなコミュニケーションをとることができたら、子どもはサッカーにのめり込んでいくことでしょう。 サッカーを通じて、親子共々、心も体も成長していく。それが理想の姿なのです」

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