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サッカー豆知識

2017年7月 3日

「練習のための練習」ではなく試合で使えるスキルを― UEFA A級ライセンスを持つコーチ が語る、考える子どもを育む指導

キーワード:CLセレクションドイツ欧州育成

ドイツと日本の指導を融合させ、ヨーロッパでプレーする選手を輩出することを目指す、日独フットボール・アカデミー。千葉と神奈川にスクールを構える同アカデミーの特徴のひとつが、ドイツサッカー協会のライセンスを持つコーチが指導にあたること。ドイツで指導ライセンスを取得したコーチが「ドイツスタンダード」の考えのもとに、子ども達を指導していきます。
 
今回は日独フットボール・アカデミーのコーチであり、プロサッカークラブのアカデミーを査定する組織『double pass』でクラブコンサルタントとして働く、シュタルフ・悠紀・リヒャルトさんに、日本とドイツの子どもの違いや指導スタイルの違いについて、話を聞きました。(取材・文 鈴木智之)
 
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(アカデミーのコーチを務めるシュタルフ・悠紀・リヒャルトさん)
 

日本とドイツ、子どもたちに違いはあるのか?

ドイツで指導ライセンスをとり、UEFAのA級ライセンスを持つシュタルフ・悠紀氏。「私は日本とドイツのハーフですが、ドイツで指導ライセンスをとったので、サッカーについての考えはドイツ式だと思います」と語り、日本の子どもとドイツの子どもの違いをこう述べます。
 
「U12年代で考えると、みなさんがイメージするほど、日本とドイツの子どもに違いはないと思います。サイズの面ではドイツ人の方が大きいですが、論理的な思考などは日本人の方が、発達が早いような気がします。一番の大きな違いは、自己主張の部分です。そこは教育の違いと言うこともできます」
 
日本とドイツでは、子どもの教育にどのような違いがあるのでしょうか? シュタルフ・悠紀氏は実体験を交えて、次のように説明します。
 
「日本は"出る杭は打たれる"ではないですが、なるべく集団行動をする教育ですよね。ドイツは"個性を出そう"という教育です。日本の子もドイツの子も、もともとの素材は変わらないし、8歳ぐらいまでは同じだと思いますが、10歳、12歳、そして中学生になると、教育の違いによって考え方や振る舞いに違いが現れるような気がします」
 
日本の教育は"空気を読む"という言葉に象徴されるように、「和を以て貴しとなす」という考え方が一般的です。一方でシュタルフ悠紀氏によると、ドイツの場合は「人は一人ひとり違う」という考えが根底にあり、「集団の中で自分の長所を出す方が、結果として集団の為にも良い」という考えが強いそうです。
 
これは文化の話なので、どちらが良い、悪いではありません。しかし、どちらの考え方が"サッカー"というスポーツにとっては優位に働くでしょうか?
 

欧州は「選手養成」。11人のエキスパートが集団として戦う

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(セレクションでは、真剣に子どもたちのプレーを見守っていました)
 
サッカーの上達という視点で考えたときに、シュタルフ・悠紀氏は「ドイツ代表やブンデスリーガのクラブが世界で結果を出していることから見ると、ドイツ的な考えの方が、サッカーの上達という面では適しているのかなと思います」と言います。
 
「11人のエキスパートが、集団として戦うことで強いチームになる。それがサッカーだと思います。そもそも、サッカーにはFW、MF、DF、GKとポジションがあって、それぞれに求められる役割や個性は違いますよね。その上で、ドイツではクラブごとに目指すべきサッカースタイルがあり、各ポジションの役割を遂行するために、こんなタイプの選手が必要で......と育成に落とし込んでいきます。そのことから考えると、ドイツやヨーロッパの考え方は"選手養成"で日本の考え方は"選手育成"なのかもしれません」
 
選手養成と選手育成。わずか一文字の違いですが、そこには大きな考え方の違いがあるようです。
 
「選手養成は、最初に"どんな選手を輩出したいか"というイメージがあります。選手をトップチームに昇格させるために、必要な要素を洗い出し、そこからU-19やU-17、U-15、U-13、U-12ではここまでを身につけていくと逆算していきます。私は『double pass』(注:プロサッカークラブのアカデミーを査定する機関)の仕事もしていますが、Jリーグのクラブは選手養成ではなく、選手育成という考え方が一般的ですよね。『育成とは自由にやらせること』という考えが強く、選手としてのゴールが見えづらい。そのため、うまくいく場合もあれば、その反対もあります。ゴールがあり、そこを目指してトレーニングするのがドイツ。ゴールはなく、現状を改善するためにトレーニングするのが日本。その違いだと思います。そこに日本とドイツのアプローチの違いがあります」
 
次ページ:試合で使えるスキル、アイデア

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文:鈴木智之

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