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目標設定が子どもを成長させる

公開:2015年5月15日

キーワード:サッカーノートヒュンメル川崎フロンターレ

無限に広がる子どもたちの夢と将来。大人は彼らをどのように手助けしていくべきでしょうか。今回は心、特に「目標設定」というキーワードに照準を当てて、その方法を探っていきます。助言をくださるのは川崎フロンターレの育成下部組織『川崎フロンターレアカデミー』の教育面を担当したスポーツ教育コンサルタントの椎名純代さんです。
 
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■目標設定することで子どもは成長する

目標設定の大切さは、私たち大人もさまざまなところで実感するところです。ジュニア年代の子どもたちは、まずはどのようなことから「目標」をとらえられるようになると良いのか、椎名さんに聞いてみました。
 
「小学校低学年ならば、なんとなく持っている将来の夢のイメージを、憧れの選手の話を参考にしたり映像などを使って膨らませること。高学年になると自分の得手不得手が分かり、自己分析ができるようになってくるので、それを把握した上で次のステップへの課題を考えられるようになるといいですね」
 
スポーツ選手の目標設定に関するエピソードで有名なのが、イチロー選手です。
 
“ぼくの夢は一流のプロ野球選手になることです。そのためには中学・高校で全国大会に出て、活躍しなければなりません。活躍するには、練習が必要です。ぼくは3歳の時から練習をはじめています。3年生の時から今までは、365日中、360日は激しい練習をやっています。だから、一週間で友達と遊べる時間は5~6時間の間です”
 
これはイチロー選手が小学校の卒業文集に書いた文章です。『一流のプロ野球選手になる』という大きな夢から逆算した小さな目標を設定し、具体的な数字にまで落とし込んでいることがよくわかります。イチロー選手のこの目標設定方法は「さすが一流アスリート」と多くの人を感心させましたが、椎名さんは最近、別のアプローチの有効性も感じるようになったのだそうです。
 
「イチロー選手のように小さなころから大きな夢を持っていたわけではなく、自分にできることを一つずつ積み上げていったら、気づいたら遠くまで来ていたというJリーガーを知っています。おもしろいアプローチですよね。誰もが子どものころから大きな夢を持っているわけではありません。まず自分にできることを一つクリアして、そこから見える景色を楽しむ。さらに『もう一つ上に上がってみよう』とチャレンジしてみる。その中で自分の可能性や楽しいと思うことを追求していくのもアリなのかなと思います」
 
もちろん、どちらのアプローチが正しくて、どちらが間違っているということではありません。子供の性格や志向に合わせて、大人がうまくサポートすることがベストです。
 

■サッカーノートの使い方は、子どもそれぞれ違っていい

冒頭で紹介したように、椎名さんは川崎フロンターレの育成組織「川崎フロンターレアカデミー」のプログラム作りに携わられたキャリアを持っています。
 
「うまい選手を育てるだけでなく、地域に貢献できる・人間性の高い選手を育てるというのが当時のクラブの最大のミッションでしたから、立ち上げ当初はさまざまなルールがありました。それこそA3の用紙いっぱいになるくらいです。でもそのやり方では、いくらルールを作ってもキリがなくなるので、『サッカー選手である前に自立した一人の人間として、学生として、そしてフロンターレの一員としての自覚をもって行動する』というルールと、学校の成績に関わる2、3個のルールだけを残し、何かあったときはコーチや選手同士で『それはアカデミー生としてふさわしい行動?』と考えあうような仕組みになりました」
 
何百人という応募者の中から数10人にまで絞られるアカデミー生。「アカデミー生にふさわしい選手」という大きな目標の下で、自ら考え、律する姿勢を求められているのです。
 
さらに目標設定に特化したプログラムとして、椎名さんが考案した「目標設定シート」が導入されました。
 
「『サッカーのスキル・テクニックに関するもの』『メンタルに関するもの』『コンディショニングに関するもの』『学校/その他に関するもの』という4つの項目に関する目標とそのためにするべき行動を月に一度書き出し、それに対する自分の達成度を毎日○×△で評価するものです。一か月が終わるとコーチ、本人、保護者それぞれの視点からフィードバックを行い、次の目標へ進むという繰り返しです。この取り組みがテスト勉強や委員会活動を進める上でも役に立ったという声も多く聞こえました」
 
サッカーについての振り返りやコーチと選手のコミュニケーションを深めるためにサッカーノートも導入されました。
 
「サッカーノートはコーチによって扱いが違いましたね。必ず書いておいでという人もいれば、書いてきたら見るよというスタンスの人もいました。書く内容についても特に縛りは設けていません。図などを入れてかなり丁寧に書ける子もいれば、コーチとの交換日記のように使う選手もいました」
 
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■子どもがサッカーノートを書くようになる6つの方法

低学年の子どもやサッカーを始めたての子どもは、まずは取り組みやすいサッカーノートから書き始めてみるのがいいでしょう。勉強だとノートを書くことが苦手でも、それが大好きなサッカーだったら自然とできるかもしれません。ヒュンメルのサッカーノートを参考に、椎名さんがサッカーノートの上手な使い方を教えてくれました。
 
1.目的を説明してからスタートする
いきなり「これを書きなさい」とノートを渡しても、子どもはチンプンカンプンです。まずは一番最初のページにある「3年後の自分」を一緒に書いてみることから始めましょう。「3年後のために来年は何をする、来年のために今年は、一か月後は、今日は…」と逆算していくことで、一日の小さな一歩が3年後につながるんだということが子どもなりにわかるようになります。また、一か月が終わったら一緒に「うまくいったところ、うまくいかなかっところ」を検証してあげるといいでしょう。
 
2.お休み期間があってもOK。とにかく長い目で続ける
フロンターレアカデミーの選手たちもそうでしたが、1年前に自分が何を書いたかって、案外覚えていないんですよね。見せてあげると「えー、俺ってこんなこともできなかったんだ!」とよく驚いていました。過去の自分と比べると成長が実感できて、自信がつく。これは続けることのメリットだと思います。そんな中で、ノートを書かない時期があってもいいと思います。これも、あとで振り返ることで「このとき、サッカーがしんどかったんだよな……」などと成長を感じられる要素になるからです。親御さんも無理やり義務のように書かせるのではなく、書かないということを受け止めてあげる意識を持ってみてはいかがでしょうか。「サッカー以外のことで書けることがあれば書いてみれば?」と促すのもいいかもしれません。
 
3.書くのが苦手なら、まずは点数だけでも
ものを書くのが苦手なお子さんは、一日を点数化する欄だけでも埋めてみるといいですね。子どもですから感覚的になんとなくつけるかもしれませんが、そこで親御さんが「なんでこの点数なの?」と聞いてあげることで、子どもも文字化はできないにせよ、その日の振り返りを自然と考えられます。大人は「シュートを決めれば100点」というような考え方を持ちやすいですが、子どもは彼らなりの目標や考え方をもって日々を過ごしています。それを知ってあげることはとても大切なことです。
 
4.チームメイトと交換する
フロンターレアカデミーでは、時々ほかの選手が書いた目標設定シートを読ませるようにしていました。ポジション争いをしているチームメイトのシートを見ることで「まだまだ自分は甘かった」と実感し、刺激を受けた選手も多かったようです。チーム全体でサッカーノートに取り組んでいるというところは、ぜひ試してみてください。
 
5.大人がコメントを書いてあげる
空いている箇所に、コーチや親御さんがコメントを書いてあげると、なお良いですね。励ましの言葉や「あのとき、一所懸命ボールを追っかけていたね」というように子どもの行動を行程してあげるような一言があるだけで、子どもたちのやる気もすごく上がります。お父さんお母さんがサッカーに立ち入ったことを書くのは控えたほうがいいかもしれません。
特にお母さんは、思春期に差し掛かって会話が少なくなった子どもとのコミュニケーションツールとして、サッカーノートが役立ちます。「いつもうるさく言ってごめんね」など、普段口に出して言いにくいようなことを書いてみるのもいいですね。
 
6.あくまで楽しんで書く
ノートをつけることを義務にはしてほしくありません。まずは楽しかったことを記録するツールとして利用してもらいたいです。ヒュンメルのサッカーノートは課題だけでなく収穫も振り返れるようになっていますが、これはとてもいいことだと思います。人は課題を克服するだけでなく、よかったことを何度も繰り返すことでも成長できるからです。コートの図など要素もたくさんあって、きれいで書きやすい内容になっているので、まずは楽しんで書けるように大人がフォローをしてあげてほしいですね。
 
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子どもが自ら書き出すようになるサッカーノートの詳細は下記ヒュンメルサイトより
http://www.hummelshop.jp/2015-ss-soccernote/
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