サッカー豆知識

2014年6月10日

親子の会話も弾む!文化から紐解くワールドカップ開幕戦

【いとうやまねの『テレビdeワールドカップ!』vol.1 開催国の心意気】
 
まもなくやって来るワールドカップ。世界のサッカーを堪能するとともに、もうひとつの楽しみは、モニター越しにも伝わる現地の雰囲気を味わうこと。ここでは、親子での会話も弾む出場国にまつわる様々な話題を提供します。第一回は、開催国『ブラジル』と開幕を飾る対戦国『クロアチア』のお話しです。
 
気合の入った各国ファンの応援や、客席から聞こえる歌や踊り、名物サポーターの衣装や文化的な背景、歴史など、32か国が織りなすお祭り騒ぎにお茶の間から参戦しましょう。
 
Photo by George Vale Bandeira do Brasil
 
(文/いとうやまね)
 
 

■サンバとブラジルサッカーはまるで同じリズム

ワールドカップ初戦の「ブラジル対クロアチア戦」が行われるのはサンパウロ。人口1,100万人以上というブラジル最大かつ南半球最大のメガシティです。試合会場となるアレーナ・デ・サンパウロには、たくさんのお客さまが詰めかけることでしょう。
 
ブラジルの客席には必ず「カーニバルのいでたち」のサポーターが出現します。ダチョウの羽根飾りを身に着け、中には露出度の高い「タンガ」と呼ばれるビキニで、われわれの目を楽しませてくれる女性たちもいます。
 
ブラジルでカーニバルと言えば、毎年2月にリオデジャネイロで行われる「リオのカーニバル」を思い浮かべますが、2月から3月にかけてのブラジルは、全土でお祭り月間となります。世界中に住むブラジル人が、こぞって地元に里帰りするのはそのせいです。噂ではクリスマスよりも帰省者が多いとのこと。
 
この〝現象″はサッカー界でも例外ではありません。カーニバルの季節が近づくと何がしかの理由を付けて国に帰る算段をする選手が出てきます。
『怪我のリハビリで帰っているはずの選手が、国際映像に映っていた。しかも衣装を着てサンバを踊っている!』
…なんてことも起こるくらいですから。
 
Photo by Team at Carnaval.com Studios
 
それほどまでに人々を夢中にさせるカーニバルですが、かつてブラジル代表だったロナウジーニョはこんなことを言っています。
 
『サンバとブラジルサッカーはまるで同じリズムさ!』
 
なるほどそうかもしれません。FCバルセロナ所属で、今大会一押しのブラジル人ストライカー、ネイマールもまたカーニバルが大好きなひとり。きっと、軽快なサンバのステップを試合中に見せてくれることでしょう。
 
もっとも、ここ数年彼が夢中になっている音楽は、セルタネージョという今どきのジャンルらしいのですが。ブラジル戦でのゴールパフォーマンスを注目してみてください。
 
カーニバルは、カトリックなど西方教会の文化圏で行われていた「謝肉祭」がルーツです。その名の通り収穫物を神に感謝するお祭りで、ブラジルでは「カルナバル」という発音になります。今では仮装パレードやコンテストにばかり注目がいきがちですが、もともとは宗教行事。見事なまでの衣装も情熱的な踊りも、本来は神への捧げものなのです。だからこそ人々は熱狂するのかもしれません。
 
前述したダチョウの羽根飾りですが、一回のカーニバルで使用される羽根の総量は、20トンにもなるそうです。いったい何羽のダチョウが羽根をむしられ…などと考えない方が、精神衛生上いいかもしれません。
 

■ユニフォームにも反映されるクロアチア国旗の意味はチェス盤

ここでは、ブラジルの客席を埋め尽くす、「緑と黄色」の説明をしておきましょう。ブラジルが現在の共和制をとる前に、帝政時代がありました。初代の王様は、ポルトガルから来たペドロ一世。彼の出自である名門ブラザンサ家の印が金色であり、そこから黄色が生まれました。緑はペドロ一世の王妃であるレオポルディナの出自、ハプスブルク家の色を表します。
 
ブラジル国旗は、2色のベースカラーに、帝政から共和制に変わった日の夜空を再現した、空色の天球がデザインされています。
 
Photo by Adrian Parker Flag
 
オープニングゲームを飾るもう片方の国はクロアチア。赤と白のチェッカー模様が一段と映えます。この模様は「シャホヴニツァ」と呼ばれているのですが、意味は「チェス板」。初代のクロアチア王、トミスラヴ一世が戴冠式で用いた模様を継承しています。
 
Photo Ivan Klindi Croatia - Scotland
 
クロアチアの客席からは、勇壮な発煙筒の煙があがるかもしれません。クロアチアのサッカーファンは、どんなに禁止されても発煙筒を上手に隠してスタジアムに持ち込みます。彼らにとっての発煙筒は、ブラジルファンのサンバと同じくらい大事な〝戦いの要素″なのかもしれません。
 
 
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☆注目カード(日本時間)
6月13日AM5:00ブラジル-クロアチア
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いとうやまね
サッカー専門誌のコラムニストとして、またサッカー専門TV 番組、海外サッカー実況中継のリサーチャーとしても活動。著書には、『フットボールde国歌大合唱!』『サッカー誰かに話したいちょっといい話』(東邦出版)、『蹴りたい言葉~サッカーファンに捧げる101の名言』(電波実験社)、『プロフットボーラーの家族の肖像』(カンゼン)、『攻略ガゼッタ・イタリア語でカルチョ情報をGETしよう!』『トッティ王子のちょっぴしおバカな笑い話』(沖山ナオミとの共著・ベースボールマガジン社)他がある。
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Blog:国歌斉唱blog
 
 
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