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ジュニア世代で600%の経験値の差が生まれる!?フットサル日本代表のミゲル監督から学ぶ

公開:2012年10月29日 更新:2020年3月24日

キーワード:フットサル

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 45歳の最年長Jリーガー、「カズ」こと三浦知良選手が日本代表になったことでも話題を呼んでいる、フットサル。11月1日(木)からはタイで世界一を決めるワールドカップがいよいよ開催されます。
 
 10月27日には、ウクライナ代表との壮行試合が行われました。カズ選手がフットサル選手としての初ゴールを決めて3-1で勝利した模様を、スポーツニュースなどで見た人も多いのではないでしょうか。試合終了後、日本代表のミゲル・ロドリゴ監督はファンに向けて挨拶でこのようなメッセージを語りました。
 
「今日、会場にお子さんを連れていらっしゃっている方や、サッカーチームを引率されている指導者の方にお願いがあります。ぜひフットサルを子供たちにプレーさせてあげて下さい。フットサルをすることで、将来的にサッカーをすることになったとしても、より高いレベルに到達することができます。ブラジルやスペインといった強豪国の育成年代はフットサルとともにあるのです」
 
 サッカーとフットサルは、ボールを蹴って、ゴールを目指すという、根っこの部分では同じ性質を持ったスポーツです。しかし、ミゲル監督が子供のころは「フットサルをやったほうがいい」と説くのには、理由があります。
 
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■人数が少なく、ピッチも狭い中でボールに触る回数やプレーする責任感が増える

 スペインでは6歳から9歳までフットサルをし、その後、7人制、8人制、11人制と段階を経て行くのが一般的です。ミゲル監督によれば、6歳から9歳までにフットサルを経験した選手と、そうでない選手を比べたとき、「600%の経験値の差が生まれる」ことが科学的に証明されているそうです。
 
 フットサルは、サッカーの1/9サイズのピッチで、1チーム5人によってプレーします。人数が少なく、ピッチも狭いので、1人がボールに触れる回数はサッカーよりも圧倒的に多くなります。育成年代のサッカーの試合を見ていると、上手な選手が1人でずっとドリブルしている光景を見ることがあります。しかし、フットサルでは選手同士の距離が近いので、1人だけでプレーすることはできません。ボールに触る回数が増えるだけでなく、ボールを持っていない選手がパスを受けようとサポートする習慣がつくのです。また、サッカーに比べて一人一人の責任感も増します。5人しかいないので、1人がサボっていたらとても目立ちます。サボることはできません。サッカーではボーッと見ているだけだった選手が、フットサルではちゃんと試合に参加するようになった例は多いそうです。
 
 ブラジルのネイマールや、スペインのシャビ、イニエスタといった選手たちが、試合中に足の裏でボールをコントロールするシーンを見たことがあるでしょう。これは「フットサル発」のテクニックです。狭いスペースで相手との距離も近いフットサルでは、身体からボールがちょっとでも離れたら奪われてしまいます。そのため、足の裏でピタッとボールを止めるのです。トップレベルのフットサルでは、まるでバスケットボールのように正確にコントロールしています。
 
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■フットサル日本代表のミゲル監督が考える、ブラジルと日本のサッカー「差」とは

ミゲル監督は先日の日本とブラジルのサッカーの試合を見たとき、「フィニッシュに差がある」と感じたといっています。ブラジルの選手たちが「ここぞ」というタイミングで一気にスピードアップして、フィニッシュでは確実にシュートを決めてきたのに対して、日本の選手たちは中盤まではボールを運べるのですが、なかなかシュートを打てませんでした。
 
 ミゲル監督は、このフィニッシュの問題を解決するために、フットサルが役に立つと言っています。サッカーでは決定的な場面と言われるGKとの1対1は、フットサルでは必ずしも決まるものではありません。なぜなら、ゴールが小さいため、GKと駆け引きをしたり、シュートコースをしっかり狙ったり、タイミングを外したりすることが必要になるからです。ブラジル代表のシュート練習を見ていると、あることに気がつきます。力任せに蹴っている選手が誰もいないのです。どんな選手も(DFの選手であっても)、シュートを打つ前に必ずフェイントを入れたり、強く蹴ると見せかけてループシュートを打ったりしていました。
 
 「フィニッシュの差」というと、シュートを強く打つシュート力のことだと思いがちですが、そうではありません。子供のころから、フットサルで小さいゴールにシュートを決めるために自然と工夫してきたか、それとも大きなゴールに漠然とシュートを蹴り込んでいたか。そうした積み重ねが、大人になったときにゴール前での決定力として現れるのです。
 

■フットサル日本代表の注目選手は、若いベテラン!?

 ミゲル監督率いる日本代表は、11月1日からタイでフットサルワールドカップに出場します。日本注目選手は20歳の逸見勝利ラファエル選手です。5月に行なわれたAFCフットサル選手権では6試合で7ゴールを決めて日本を優勝に導き、MVPを受賞。アジアナンバーワン選手になりました。逸見選手はブラジル出身で、子供のころから13歳で日本に来るまでフットサルをプレーしてきました。日本のフットサル選手は大人になってサッカーから転向するのがほとんど。そう考えると、逸見選手はチーム最年少ですが、フットサル歴は10年以上で最も長い。いわば「若いベテラン」なのです。
 
ワールドカップで日本代表はブラジル、ポルトガル、リビアと同じグループで、決勝トーナメント進出を目標にしています。カズ選手はもちろん、ミゲル監督が「本物のフットサル選手」という15番の逸見選手のプレーに注目してみて下さい。
 
 
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北健一郎(きた・けんいちろう)//
1982年7月6日生まれ。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、放送作家事務所を経て
サッカー、フットサルを中心にスポーツライターとして活躍中。主な著書に「サカテク」「ゴールキーパー専門講座」(共に東邦出版)、「日本一監督が教える フットサル超速効マニュアル100」(白夜書房)がある。
 
 

 

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文/北健一郎 写真/サカイク編集部

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