サッカー豆知識

2011年1月 2日

【第3回】ゴールに鍵をかける国 イタリアの守備に対する考え方とは?-「12歳から身につけたい『守備の原則』」

第二回でお伝えしたように、イタリアでは12歳から試合の形式が11対11になります。正式な人数になったことで、個人戦術に加えて『グループ戦術』や『選手同士の連携』が求められるようになります。そこで今回はペルージャやミランのスクールで指導経験のある、フィジカルコーチの井田征次郎氏に、12歳から身につけたい『守備の原則』と『イタリアのスタイル』について、話を聞いていきます。

■12歳から身につけたい『守備の原則』

写真/AFLO
「守備の局面において、自陣ゴール付近で1対1の状況を作られると、守備側が圧倒的に不利になります。なので、まずはその局面を作らせないようにします。そのために大切になるのがカバーリングの意識です。1人が相手のボールにチャレンジをしに行ったら、別の選手がカバーに入る。このような守備の原則は、12歳頃から少しずつ身につけていきます」(井田氏)

相手の攻撃を受けるときに、もっとも注意すべきことはゴール前(ピッチの中央)を割らせないことです。中央を破られると、失点につながる可能性が高まります。

「イタリアではU12の年代から、『ゴールの外側(両サイド)は後からでも対応できるから、まず中央を締めよう』と教えています。これは日本代表のザッケローニ監督が、いまの日本代表チームに言っていることでもあります。これもイタリアでは守備の基本原則のひとつで小さいころから教えられていることなんです」(同氏)

ザッケローニ監督がよく使う言葉に『バランス』があります。大切なのは攻撃と守備のバランス。イタリアではその比重が、やや守備に傾いているようです。

「イタリア人は他のヨーロッパの国と比べて、守備を重視しています。スペインやオランダは攻守のバランスが攻撃に寄っていて、イタリアは守備に傾いている。なぜなら、イタリア人は自分たちが技術的に上手ではないと思っているからです。そこで、自分たちができるサッカーとはなんだ? と考えて導き出した答えが『負けないためにしっかり守り、素早く攻めること』だったのではないでしょうか。つまり、堅い守備からのカウンターアタックです」(同氏)

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