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インタビュー

「フットボールを通じて、地域のために活動したい」Jリーグとトップパートナー契約を結ぶ、いちご株式会社の想い

公開:2023年7月12日

フットボールを支える企業にスポットを当て、想いを聞く企画。今回はいちご株式会社です。同社は2019年より、Jリーグとトップパートナー契約を結んでいます。スタジアムのピッチ脇にある「いちご」という看板に、見覚えのある人も多いのではないでしょうか。

フットボールに限らず、陸上やウエイトリフティング、ライフル射撃の強豪実業団チームを持つなど、スポーツ支援に力を入れるいちご株式会社は、どのような想いでフットボールに携わっているのでしょうか? 

自らも陸上部やライフル射撃部の監督を務めるいちご株式会社の副社長兼COO石原実さんに、話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)

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■Jリーグの理念に共感

――はじめに、事業内容についてお聞かせください。

我々は不動産や国内外の企業を対象とした投資銀行として、2000年に創業しました。いわゆるファンドスキームを使い、百貨店やホテルのような大規模な不動産の証券化や、企業の再生を行い、ファンドビジネスの先駆けとなった会社です。

昨今は「サステナブルインフラ」企業として、不動産とクリーンエネルギーを通じて日本の社会を豊かにすることを目指しています。不動産の役割や機能を再定義し、地域の持続可能性を高めることに貢献したいと考えています。スポーツや農業、医療や教育など、様々な社会課題に対して我々がどう役立てるのかを皆で考え、出来ることを積み重ねております。

――2019年にJリーグのトップパートナー契約を締結しましたが、どのような理由でパートナーに就任することになったのでしょうか?

Jクラブの中には、クラブハウスやスタジアム、練習場や寮など、不動産に関する課題を抱えていたり、また、エネルギー経費の節減やクラブの下部組織の運営などに関する相談先を求めているところがあるということで、我々の専門性を活かしてお手伝いをして欲しいとお声がけをいただき、お役に立ちたいと考えました。
Jリーグは地域の活性化や、クラブを中心とした地域コミュニティを作るという理念を持っていて、そこに賛同したのも参画理由のひとつです。
本業に関連して役に立つことに加えて、持続可能性のある社会を作りたいというJリーグの理念に共感しました。

我々がクラブと地域に入り込み、フットボールを通じて地域のために活動することは、非常に意義のあることだと感じています。

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■「フットボールのいちご」として知名度アップ

――トップパートナーになって4年が経過していますが、どのような成果を感じていますか?

私たちは、先ほど申し上げたように、広告目的で参画したわけではありませんが、フットボールに携わる皆さまに「いちご株式会社」の名前を知っていただく面で、大きな効果がありました。また、当社は株主優待でJリーグのチケットをお配りしており、たくさんのご応募があります。

お客様から「Jリーグを応援しているいちごですよね」と言っていただくことも多く、採用面でも、Jリーグがきっかけで興味を持っていただく方も多いです。

各クラブと協力してイベントを開催することや、練習場、クラブハウス、寮などを建設する際のコンサルティングも増えております。トップパートナーになる前と後では、地域の方々との関わりがものすごく増えたと実感しています。

――今後、各クラブとの取り組みに関して、何か新しいコンサルティングを考えているのでしょうか?

フットボールを頑張っているお子さんをお持ちの保護者やクラブのユース世代の育成に関わる指導者の皆さまのお話しを伺っていますと、フットボールを楽しむための身体づくり、栄養やメニューそのものに関するものが非常に多いことが分かりました。また、そのような皆さまは、新鮮な野菜など食材への関心もとても高い。これは、トップパートナーになり各クラブに飛び込んでみて初めて分かったことです。食事は毎日のことなので、関心が高いのでしょう。

そこで我々は、二つのアプローチを整えたいと思っています。まず第一は、本人の意識を高め、栄養に関する知識を高めるということです。同時に、どんな食材、どんなメニューということを保護者の皆さまの負担感がないようご提案するということです。

アスリートの食事について素晴らしい実績をお持ちの料理研究家、村野明子さんとリレーションをとり、このような課題をどう解決していくのか、どんなサービスが喜ばれるのか、相談をしています。当社の陸上部所属選手に対しメニュー指導をしていただいたり、当社の農業事業の中で入手できる新鮮な野菜や果物とのコラボレーションも考えています。

Jクラブのアカデミーの食事のサポートも検討しています。食事が充実すると競技力も上がりますし、地域の子どもたちも「地元の食材を食べることができる地元クラブに入りたい」と思ってくれて、県外への人材の流出が減ると思っています。

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■フットボール環境を良くする取り組み

――2022年12月に横浜F・マリノスのイベントで、いちごのロゴ入りボール「MY FOOTBALL KIT」を100個ほどプレゼントしたそうですが、このイベントの意義や成果については、どのようにお感じでしょうか?

これは特別支援が必要な児童を含む地域の子どもたちを対象に、フットボールに親しんでいただき、仲間を作って、地域を好きになっていただくきっかけになればいいなと思って取り組んだ企画です。世界中のプロフェッショナルゲームのオフィシャルボールに認定されているモルテンさんが開発した子ども向け知育玩具のボールに注目し、こちらをプレゼントしました。

お子さんはもちろん、保護者からも好評で「子どもがフットボール好きになった」「家でボールを使って遊ぶようになった」「知育玩具なので、壊して作ってと集中力が保つようになった」など、うれしい感想をいただいています。そのような声は、モルテンさんにもフィードバックさせていただき、ともにこのプロジェクトを進めております。

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©1992 Y.MARINOS

――サカイクは小学生年代の選手、保護者向けのメディアなのですが、今後、子どもたちのフットボールに携わるイメージやビジョンがありましたら、お聞かせください。

まず、各クラブや地方自治体、地元の皆さまと協力して、フットボールに親しむ環境づくりに取り組みます。

幼少期の子にボールをプレゼントしたり、試合へのご招待や選手と一緒に入場するといった取り組みを通じて、フットボールを好きになっていただきたいと思っています。

また、子どもたちが安全にフットボールができる環境を作るためにも、各クラブと協力して、日本中にフットボールをする場所ができるようなサポートをしたいです。フットボールやフットサル練習場の整備、学校の部活動の民営化の支援なども考えています。

Jリーグとのパートナー活動は、広告を目的にやっているわけではありません。様々な取り組みを通じて、持続可能な環境や社会作りに取り組んでいます。

我々がこのようなビジネスを展開することは、フットボール人口の拡大や保護者の皆さまの安心、選手の育成やセカンドキャリア雇用にもつながると思っておりますし、そうしたいです。これらを常に頭においてこれからも頑張ってまいります。

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取材・文 鈴木智之

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