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インタビュー

パフォーマンスを上げるために「土台」を無視することはできない

公開:2020年11月 2日 更新:2020年11月 6日

キーワード:姿勢染谷学谷真一郎

サッカー選手のケガ予防やリハビリ、正しい身体の使い方の指導をし、ジュニアからプロまで、多くの選手をサポートしているアシカラ改善院の染谷学さん。姿勢や立ち姿、歩き方の指導を通じて、選手のパフォーマンスをアップさせる手腕は、育成年代の男女サッカー選手から絶大な信頼を寄せられています。

そして、タニラダートレーニングでおなじみ谷真一郎さんは、姿勢、走り方をベースに、スピードやアジリティを向上させるスペシャリストです。姿勢や動作の改善、向上などの共通点を持つお二人の対談を、二回に渡ってお届けします。(取材・文:鈴木智之)

>>後編はこちら

■どのトレーニングも「土台」が無ければ意味がない

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染谷:谷さんのタニラダーを始め、他の方のトレーニングもそうだと思うのですが、基本的に私はどのトレーニングも良いものであると思っています。それを良いものだと受け取れないのは、トレーニングをする側の選手の「土台」が整っていないからだと感じることが少なくありません。谷さんはサッカーをメインで指導されていますが、タニラダーは他の競技にも役立ちますよね?

谷:そのとおりで、サッカー以外のスポーツ、たとえば野球選手もタニラダーでトレーニングをしてくれています。タニラダーは「動きづくり」という、選手の土台を作る部分です。そのため、最初は「姿勢」から入ります。正しい姿勢ができないと、スポーツの動きをしたときに、せっかくのスピードやパワーをパフォーマンスにつなげることができないからです。

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染谷:立ち方、姿勢はすごく大切なところで、それこそが「土台」ですよね。そこを見逃してしまうと、せっかく良いトレーニングをしているのに効果が出ない。あるいは消化不良を起こしてしまいます。タニラダーは、いわゆるステップワークを覚えるのとは少し違いますよね?この動きがちゃんとできたら怪我もしないし、パフォーマンスも上がる。そう感じました。

谷:はい。私は常に「このトレーニングは、試合のどの局面で役に立つか」を、選手たちに説明しています。ラダートレーニングが普及しはじめた時に、ステップの順番を足型に番号を付けた説明書が付いていたんですよ。その結果、顔を下げて下を見て足だけ動かしてステップするトレーニングを多く目にするようになってしまいました。しかし、うまくプレーするためには、顔を上げて周りを見て状況を把握して判断することが必要ですし、良い姿勢で体全体を使ってプレーすることが、とても大切になってきます。

染谷:そこを理解していないと、練習のための練習になってしまいますよね。

谷:そうなんです。顔を下げてラダーを見るのではなく、サッカーの試合中と同じように、首はほとんど動かさず、目だけを動かして足下を見る。そうすることでステップだけでなく、姿勢をキープすることや首を振りすぎないこと、頭を下げないことなど、トレーニング効果が派生していきます。

■崩れた姿勢で起きたミスなのか、技術的なミスなのか?

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染谷:トレーニングを始めた頃は、ラダーのステップを失敗しないようにと、下を向いてしまう子もいますよね?

谷:はい。それは姿勢が崩れた不安定な状態なので、姿勢を正すところから始めます。サッカーも同じで、姿勢が崩れた状態でボールを蹴っても、狙ったところにボールは行きませんよね。

染谷:選手たちを見ていると、「崩れた姿勢でボールを蹴ったのだから、狙ったところとは違う方向へ飛んでいくのは当たり前だよね」と思うことはよくあります。むしろ姿勢が悪く、不安定な状態でボールを蹴って、身体のひねりなどで無理やりゴールの枠に持っていく選手は、素直にすごいなと思います。

谷:指導者側も、「なぜ、その選手が不安定な姿勢でボールを蹴ったのか」を理解していないと、そのミスを改善することはできません。崩れた姿勢でボールを蹴ったら、ミスキックになるのは当たり前なわけで。

染谷:そこで、トレーニングや施術を通して、身体が自然に使えるようになれば、身体的な角度のミスなのか、サッカーの技術的なミスなのか、違いがわかります。違いがわかれば、取り組む練習内容を変えることができます。

谷:いまは身体の使い方のミスも技術的なミスも、同じミスとして括られていますよね。多くの場合、問題がどこにあって、そのミスが起きているのかというところまで、アプローチできていない現状があります。そこをサッカーに関わる人、全員が共有すれば、指導の仕方も変わり、内容も変わると思います。

染谷:そのとおりだと思います。

■「フィジカル」の言葉の定義があいまい

谷:その結果、選手のパフォーマンスも変わります。日本人は器用で繊細なので、動きの部分でも、世界のトップに立てると思っているんです。でも、土台が共有されていないので、いまだに「フィジカルの差で負けた」という言葉を聞くことになる。

染谷:フィジカルという言葉は、非常にあいまいですよね。

谷:あいまいすぎます。僕らからすると、フィジカルの何で負けたんですか? 体格ですか? パワーですか? スピードですか? 持久力ですか? と。

染谷:私はメディカルの人間ですが、メディカルの立場から見ても、谷さんと同じことを思っています。その結果、ただ単にパワーをつけろという話になり、筋トレをしたり。あと「スピード」も、サッカーのプレーにおける解釈は様々だと思います。

谷:そうですね。

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染谷:一般的に「スピード」というと、陸上競技のように「ヨーイ、ドン」の速さの話をしていると思うのですが、サッカーの試合では相手の反応が遅れる動きができれば、速いのと同じです。相手の反応が遅れて、自分の動きがコンパクトになれば、無理がない動きができます。結果としてスピードが上がり、接触によるケガも減ると思っています。

谷:靴一足分、足幅が変わることによって、地面から受け取る力も変わり、スピードが変わります。それに、そういったことも理解した上でトレーニングをしていく必要があります。

染谷:私はメディカルの人間ですが、サッカーのコーチ、フィジカルコーチ、選手の間で共通認識、共通言語があれば、より効率的にトレーニングすることができ、選手の身体の状態も良くなると思っています。

谷:おっしゃるとおりで、私はその土台とスタンダードを皆で共有したくて、メディアでの発信を続けています。土台が共有できれば、日本サッカーは間違いなく変わっていくはずなんです。

染谷:Jリーグなど、トップカテゴリーで指導されていても、それは感じますか?

谷:感じます。ただ1シーズン、一緒にトレーニングをすると、土台の部分を共有できるので問題ありません。移籍で加入してきた選手は土台の部分を身につけていない選手もいるので、最初は戸惑いますが、僕が言わなくても、すでに土台を共有している選手たちがアプローチしてくれます。プロでも、コンディショニングの考え方や身体の使い方などの土台ができていない選手はたくさんいますが、ちゃんと理解してトレーニングすればできるようになりますし、パフォーマンスも上がります。そうすると、もっと大きなクラブに引っ張られて行くわけです。(後編へ続く

■対談した二人のプロフィール

染谷 学 さん(アシカラ改善院)

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鹿屋体育大学卒業 学生時代は柔道専攻。自身が多くの怪我を経験し、助けてくれた柔道整復師に憧れ治療家になる。
柔道整復師として昨年11月末まで都内で整骨院を営む。選手サポートや外部サポート増加に伴い整骨院閉院。
『足底からこだわり全身改善』『人間の足底=土壌』を掲げ、現在は埼玉県にアシカラ改善院(自費診療)を構え、一般~プロアスリート迄、老若男女問わず診ている。院の特徴は①1分以内での超短時間施術。②人体構造上正確な起立と歩行指導。

【主な活動】
オルカ鴨川FCメディカルサポート(2019)
都立高校サッカー部メディカルサポート(2017〜現在)
アスリートサポート(パーソナル)
チーム向けセミナー(インソール講習会、靴の選び方等)

谷真一郎コーチ(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)

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愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』
【取得資格】
筑波大学大学院コーチ学修士
日本サッカー協会認定A級ライセンス
AFCフィットネスコーチ レベル2
日本サッカー協会認定キッズリーダー

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鈴木智之

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